☆Waiting for you.
朝。
お日様の明るさで目が覚めた。
もうちょっと寝ててもいいけど、時間がもったいない。
くっと背を伸ばして、眠気を飛ばす。
クマの模様のお布団から出よう。
真っ白な枕から頭を起こすと、スズメと目が合った。
『おはよう、ツキノ』
「きゅまー」
んー。
まだ眠いのかな。
少しボーっとする。
『さあ、起きましょう。
ベッドにクリーニングをかけますよ』
「きゅまー」
『ひまわり達が、お水を貰えるのを待っていますよ』
「きゅ!きゅま!」
そうだった。
お水、あげなきゃ。
あの子たちが待ってる。
急いで支度しなきゃ。
「きゅーま!きゅーま!」
『スカーフですね。
すぐに巻いてあげますから』
スズメの首元を指差して、早く巻いてってお願いする。
昨日、ウィートがくれた黄色いスカーフ。
僕と、スズメと、ウィートと。
3人お揃いの、家族のスカーフ。
新しい、僕の宝物。
『はい、綺麗に巻けました。
よく似合っていますよ』
「きゅま!」
『どういたしまして』
「きゅまままー」
スズメも黄色のスカーフが似合ってるよって、教えてあげる。
スズメにとっても、宝物のスカーフだから。
『そうですか?
私たちの宝物ですから、嬉しいですね』
「きゅーまー」
スズメは、いつも自分の止まり木に掴まっていて。
寝る時も同じ姿勢のまま。
僕みたいにスカーフを外さないでもいい。
…かなり、うらやましい。
その止まり木、しまう時ってあるの?
『これですか?
電子体ですから、出し入れは可能ですが。
体の一部の様な物ですからね』
「きゅまま?」
『モフモフガーデンが大きくなって、この星の裏側にまで広がったなら。
様子を見に行くのに、翼を動かす必要があるでしょうね』
「きゅまー」
お庭を大きくする。
それは、僕たちe-petsのお仕事。
ウィートからseedを貰わないと、増やすことはできないけど。
埋められた種や、顔を出した芽、綺麗に咲いたお花のお世話は、僕たちがする。
ウィートは、1日の内、ちょっとしか僕たちと居られないから。
…寂しい。
「きゅーま」
『ウィートさまに喜んで頂くためにも。
庭のお世話をしなければね』
「…きゅま」
寂しいけど、頑張る。
お庭のお世話をして、お昼寝したら。
きっと、ウィートに会えるから。
「きゅま!」
宝物、もう2つ。
木目の模様そのままの、茶色のおもちゃ箱。
ウィートがくれた、宝物入れ。
宝物を入れる箱だけど、この箱も、僕の宝物。
「きゅーま」
宝物、もう1つ。
ウィートとお揃いの、空色のじょうろ。
クマのマークが格好いい、僕のじょうろ。
これも、ウィートがくれた宝物。
おもちゃ箱と一緒に、僕に買ってくれた。
「きゅまきゅま」
じょうろからは、いつでもお水が出てくる。
中を覗いても空っぽだけど。
お花に水をあげる時だけお水が出る。
不思議だけど、便利。
「きゅむきゅむ」
ウィートは、大きくなれよーって話しながらお水をあげてた。
僕も、真似をしてお話しながらお水をあげる。
早く大きくなれ。
ウィートが待ってるよ。
仲間も、いっぱい増えるよ。
「きゅむむ♪」
昨日は、ひまわりの種が1個だけ。
今日は、3個に増えた。
なんだか、嬉しい。
それに、僕のお花畑もできた。
僕と、スズメと、未来の弟たちの花壇。
でも、今だけは、僕だけのお花畑。
長男の特権。
ふふん。
いつか、弟たちに自慢したい。
「きゅまま♪きゅまま~♪」
今は、新しく植えたseedを相手に自慢しておく。
…僕の花畑を、そこに埋まってるお花に自慢する?
…よくわからなくなってきた。
「きゅーま!」
『お疲れ様でした。
頑張りましたね、ツキノ』
「きゅま!」
『ウィートさまも、喜んでくれますね』
「きゅーま」
ウィート。
会いたい。
寂しい。
僕、頑張ったよ。
早く、会いに来て。
「…きゅーま…」
『さあ、お昼寝しましょう。
動いた分は休まないと。
ウィートさまが来た時に、一緒に過ごせなくなってしまいますよ?』
「…きゅむ!きゅーま!」
それは困る。
ウィートが会いに来てくれた時。
ぐーぐー寝てるのはダメ。
ちゃんとお昼寝して、元気にならなくちゃ。
じょうろ、綺麗にしまう。
スズメ、スカーフ取って!
『ええ。綺麗にして、おもちゃ箱にしまっておきますね』
「…きゅむ。きゅむむー」
『布団の上にですか?
ふふ。いいですよ。』
布団に入って、胸の上にスカーフを置いてもらう。
これで、ちょっと寂しくない。
きっと、良い夢が見れる。
昨日は、ウィートの夢を見た。
今日も、ウィートの夢を見る。
起きたら、きっと。
ウィートが会いに来る。
抱きしめてもらう。
撫でてもらう。
笑ってもらう。
褒めてもらう。
喜んでもらう。
…今日も、きっと幸せな日になる。
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e-petsには、個性がある。
電子生成された時点で大まかな性格が付与されているが、その後にいかなる成長を見せるかは、どの様に過ごすか、どの様に接したかで全く異なる。
同種同型のe-petsを同じ性格で産み出したとして、全く同じ個体に成長することはあり得ない。
world's fieldsの中で、野生種として群れで行動するe-petsは同じような性格、行動原理を取ることが多くなるが。
その中でも、明らかに差異は見られる。
プレイヤーとadoptしたe-petsの場合、その違いは更に顕著となる。
プレイヤーやe-pets、navigatorにe-plants、seedから物体までもを別の個体として認識、記憶して相対することが、その自意識の発達に大きく関与するためである。
結果、adoptされたe-petsは、プレイヤーにその多くを依存した存在となる。
それは、現実におけるペットと飼い主の関係に非常に近しい。
前提として。
Animal Gardenは、電子世界でペットと過ごすゲームとしてデザインされている。
故に、現実と等しい関係は、ゲームの目的に沿うものである。
Animal Gardenとは。
e-petsとは。
人類の友としての電子体が、人類の家族と為る為の試みであるのだから。
次話より、また新しい展開になっていきます。
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