マイホーム、マイガーデン 8
「どーっこに植えよーっかなーっ!」
「きゅーっまっまま~♪」
産まれたばかりのひまわりの種を大事に掲げて、ツキノと手を繋いでシュガーハウスの周りをくるくる歩く。
家の近くに植えるのは決定済みなんだけど、ひまわり畑を造るエリアをどの向きにするかってことが大事なんだ。
玄関のドアから見て正面。
家から出入りする時に、沢山のひまわりがお出迎えしてくれるって素敵だよね!
ひまわりだけのお庭にするつもりはないけど、それでも僕にとって最初のseedがひまわりの種だったんだから。
特別な位置に広げてあげるってくらいの特別扱いなら、いいと思うんだよ!
まぎれもなく、僕の第一候補!
ドアから見て右か左。
真正面じゃなくてもホームに帰ってくれば目に入る位置だし、なにより大規模なひまわり畑にするつもりだから、あとからモフモフガーデン全体の調整がしやすいのが利点だね。
育てきったe-plantsは場所の移動、植え替えもできるらしいけど。
大きなひまわり畑ってなると、それなりの通貨が必要なんだって。
チュートリアル中っていうのもあるんだけど、僕っていま、一文無しだからね…イベントを頑張って、GPを稼がないと!
ドアから見て裏側。
ここの利点は、家の中から見やすいってことが挙げられるかな。
ツキノのベッドから一番近いってのもポイントかな?
僕がログインできない時間、ツキノが眠っている時に、少しでもひまわり畑が近い方が寂しくないかもって考えると…一気に有力候補になっちゃう!
まぁベッドの位置は簡単に動かせるし、ツキノが起きてる時間はひまわりのお世話をしてくれるらしいから、僕の取り越し苦労だとは思うんだけどね。
むしろ、ドアから近い方が、ツキノには親切なことになるのかな…?
うーん。
まだ家もそんなに大きくは無いし、考え過ぎかなぁ。
あれこれ考えながら歩いて、シュガーハウスを一周しちゃったよ。
どこに植えても綺麗なひまわり畑ができるって想像できるし、後悔するってことは無さそうだけど。
記念すべき、モフモフガーデンのe-plants第一号の子なんだから。
しっかり考えて、決めてあげないとね!
「どーしよっかー、ツキノー。
ひまわり畑、どこに造ろうね?」
「きゅむ?きゅま!」
「…ここ?」
「きゅま!」
「そっかー…ねぇ、スズメさんはどう思う?
ここに植えて、ちゃんと育つかな?
太陽の当たり方とか、大丈夫?」
『はい。問題ありません。
e-plantsと太陽光については後ほど説明しますが。
私も、ひまわり畑はここが良いと思います』
「きゅま~?」
ここじゃないの?みたいに小首を傾げるツキノを見て。
静かに、優しく僕たちを見守ってくれるスズメさんを見て。
内心、ちょっぴり苦笑い。
あれこれ考えても、初めに良いと思った場所が答えになったもんね。
もちろん、僕たちのseedのことをじっくり考えたことは、大事な時間だったってわかっているけど。
真面目に考えた上で、最初の印象で良いんだって。
みんながそう思ったんだから。
もう、後悔のしようがないよね!
絶対に、ここがベストの場所だよ!
「…うん、そうだよね。
僕も、最初からここにしたいって思ってたんだから。
ちょっと考え過ぎてた」
「きゅむきゅむ」
「よーっし!
モフモフガーデンのひまわり畑は、シュガーハウスの玄関正面!
ドアを開けたら、一面のひまわり畑が見れるようにしたい!
その第一歩。
最初の子が、このひまわりの種だよ!」
「きゅま!きゅまー!」
『素晴らしい景色になるでしょうね』
「うん。
綺麗な、素敵なお庭にするために!
みんなで頑張ろうね!
イベントも!
ひまわりのお世話も!」
「きゅむきゅむ!きゅむー!」
『お手伝い致します、頑張りましょう』
「頑張るぞーっ!おーっ!」
「きゅまーっ!きゅまーっ!!」
『おー!』
~~~~~~~~~~~~~~~
☆スズメさんのアニガー講座・e-plants編☆
『e-plantsは、植物であって、植物ではありません。
私やツキノが食事を必要としないように、e-plants、ひまわりもまた食事を必要としないのです。
私たち電子体にとって、休眠こそが有機体にとっての栄養補給と考えて頂いて良いでしょう。
自意識を持つからこそ、精神を休める時間が必要になるのです』
『極端な話。
何もしなくてもe-plantsは育ちます。
成長に必要な要素は、全てホームエリアが賄ってくれるためです』
『では、何もしなくて良いのでしょうか。
何もする必要が無い?
手をかけ、世話をする楽しみも無い?』
『我々電子体には食事は必要ありません。
しかし、味覚を持ち、嗅覚を持ち、視覚を持ち、聴覚を持ち、触覚を持ち、感情を持ちます』
『手を握れば、ツキノは喜ぶでしょう?
ウィートさまの優しい言葉は、身を震わせるほど、幸せの感情を生みました。
これから、美味しいものを一緒に食べられる日が来るかもしれないと、期待してしまっています。
私たち電子体は、楽しむこと、喜ぶことができるのです』
『きっと、この子もそう。
ウィートさまの手の平の温かさを、覚えているでしょう。
ウィートさまに手ずから植えて貰ったことを、忘れないでしょう。
ウィートさまに大きくなれと話しかけて貰ったことを、幸せだと思うでしょう。
ウィートさまにかけて貰ったお水の味に、心から喜んでいるでしょう』
『貴方が口にされる、家族という言葉。
一緒にという言葉。
楽しくという言葉。
その優しさが、私たちにとって最高の活力に、喜びに繋がります』
『どうか、そのままのウィートさまで、と。
navigatorの私が言葉に出してはいけないのですが』
『それでも、貴方の家族として、どうか願わせて下さい。
ひまわりの種として産まれたこの子に。
これから先、増えるであろうこの子の仲間たちに。
ツキノの次に、その次にとadoptされる子たちのために。
貴方の優しさを、与えてあげて』
『私も、ツキノも。
全力で貴方をサポートします。
プレイヤーのためではなく、ウィートさまのために。
電子体としてよりも、大切な家族として』
『…全く。
たったの二日で、私情を優先するダメnavigatorになってしまいました。
ですが、これはウィートさまが望まれた私の在り方なのですから、責任を取ってもらわなければ困りますよ?
末永く、一緒に居させてくださいね?』
次回は佐藤麦のお話です。
沢山いいねを付けて貰えました、ありがとうございます。
ブックマーク登録して頂き、嬉しいです。
評価ポイントを付けてくださり、とても幸せです。
がんばります。




