マイホーム、マイガーデン 6
「うーん、自信が持てないなあー」
「きゅまー?」
星ひとつ丸ごとプレゼントっ!
…なんて、実際にされちゃった僕は。
いまだに放心状態みたいです。
あれから、スズメさんは丁寧に説明してくれた。
要するに『自由に、好きなように、無理のない範囲で』って言ってくれたけど…衝撃が大きすぎるよー。
多分、誰にも想像もできない事だよね?
地球の反対側まで君の土地です、なんて言われるなんて…人生で一番あり得ない事だもの。
まぁ地球じゃないし、ゲームの中の話だからなんだけどさー。
それにしたって、スケール大き過ぎるって!
『繰り返しになりますが、ウィートさまがこの星に責任を感じる必要はございません。
ホームエリアは、プレイヤーのために用意された空間であって、プレイヤーが何かをしなければならない場所ではありません。
…極端な話ですが。
ホームの設定も、ガーデンの説明も、e-petsとのadoptでさえも。
絶対に行わなければならない、プレイヤーの義務ではありません。
ゲーム内での活動には大きく制限がかかりますが、それもプレイヤーの自由意志に委ねられています。
Animal Gardenは、ウィートさまが‘やりたい’と思ったことに挑戦できる世界です。
仮に、モフモフガーデンへの干渉を断ったとしても。
この星や、この世界が壊れたりは致しません。
私達は、貴方に、心のままに楽しんでいただきたいのです』
「うん…わかった!
何もわかってないけど、何かわかった!
僕は、みんなと一緒に、自由にモフモフガーデンを造るよ!」
「きゅま!」
地面の裏側とか、見えない場所まで気にしたって仕方ない!
難しい話は置いといて、簡単な話から。
そう、まずは目の届く範囲からだ。
それでもまだまだ広いから、手の届く範囲から考えよう。
具体的には、シュガーハウスの目の前から、庭づくりのスタートだ!
「ずっと楽しみにしてたコンテンツだもん、楽しまなきゃね!」
「きゅーま!」
「一緒に頑張ろうね、ツキノ!」
「きゅ~ま☆」
あっ、さっきのお願い覚えててくれたの?
ツキノは可愛いね~!
どうせだったら、ポーズも取っちゃおうか!
右足で立って、左足の膝を曲げて…そうそう!
あとは両手を握って、口元にあてて、ウインク!
「きゅま~☆」
「あわーっ!
かわいい!
あざとい!
あざと可愛いよ!
ツキノくん最高かわいーっ!」
「きゅまっ!」
「命名、可愛いのポーズ・星!
ツキノくん、決め!」
「きゅまっ☆」
「わぁい!
ツキノくんかわいい!
やったー!」
これこれ!
僕がアニガーに求めているのは。
モフモフかわいい子たちと、わいわい楽しく遊んで過ごすことなんだよ!
いきなりの大きな話にびっくりしたけど、いつまでも難しい顔をしてちゃダメだよね!
家族と、楽しく。
これから先も、アニガーの世界で色々なことに驚いたり、ショックを受けたりすると思うけど。
自分の中に一つ、大事な軸ができたような気がするよ!
『ふふ。可愛いですよ、ツキノ。
ウィートさま、驚かせてしまって申し訳ありませんでした。
楽しんで頂けるかと思い、問いかけという形を取ってしまいましたが。
その実、私が楽しむことに比率が多く割かれていたようにも思います。
調子に乗り、分をわきまえなかったこと。
navigatorとして、猛省致します』
「わっ、そんな、謝ったりしないでよ、スズメさん!
僕が大げさに驚いちゃっただけなんだから!
猛省なんてされちゃったら、次から問題を出してくれないかもってことでしょ?
そんなの嫌だから。
一緒に、楽しく過ごそうよ!」
『ですが、navigatorとしては看過されざる考えでした』
「いいって、いいって。
だって、問題って形じゃなくても、どっちにしろびっくりはしたもの!
それに、スズメさんも楽しんでくれたなら、僕も嬉しいし。
僕だってスズメさんのこと、ナビゲーターってより家族って思ってる比率の方が全然大きいから、それでお相子だよ!
そうだよねっ、ツキノ?」
「きゅまきゅま」
『…お気遣いありがとうございます、ウィートさま。
ツキノも、ありがとう。
…ウィートさまにそう言って頂けるのなら。
navigatorとしての私よりも、皆の家族としての私をより大切にして。
楽しみながら、ご一緒させて頂きたく思います』
「うん!ぜひぜひ、そうして欲しいよ!
僕たちで、一緒に。
楽しいことを、たくさん見つけよう!」
「きゅむきゅむ、きゅまーっ!」
あー、良かった。
スズメさん、なんとなくわかっちゃう位に落ち込んでたみたいだから。
いつもみたいに優くてあったかい雰囲気に戻ってくると、すごく安心する。
スズメさんも、もう僕の大事な家族なんだから。
ナビゲーターだからって理由で、遠慮しすぎたりはしないでほしいんだ。
大事な役目ってこともわかるけど、楽しむことまで止めたりはしないでほしい。
さっき決意したばっかりの『家族と、楽しく』っていうのは、『家族も、楽しく』じゃなきゃダメなんだから…いま決めたことだけど!
それにさ、スズメさんは『僕の』ナビゲーターさんなんだから。
ちょっとくらいのワガママは言ってもいいよね!
『不思議ですね。
navigatorとして、私情でプレイヤーに不利益や不都合を与えるなど、あるまじき失態でしたのに。
ウィートさまに楽しんで欲しかった、一緒に楽しみたかったという気持ちを、家族として許されるなんて。
ふふ。私は、ウィートさまの家族に加えて頂けて、とても幸せに思います。
ありがとうございます、ウィートさま』
気持ち、さっきよりも軽やかな、明るい感じの声調で話すスズメさん。
元気になって、家族ってことに前向きになってくれたのは嬉しい…けど。
あんまり感謝されると、僕、照れちゃうよーっ!
「えっと、どういたしまして、かな?
こちらこそ、家族になってくれて。
僕のところに来てくれて。
ありがとう、スズメさん」
『はい。どういたしまして、ウィートさま』
「きゅまっ!きゅままーっ!」
「もちろんツキノもだよ。
僕のところに来てくれてありがとうね、ツキノ」
「きゅ~ま♪きゅまま~♪」
「うんうん。どういたしまして、ツキノ」
「きゅ~ま~♪」
アニガーで集まった僕の家族。
大事に、大切に。
仲良く、楽しく。
一緒に過ごしていかなきゃね!
「これからもよろしくね!
ツキノ!
スズメさん!」
「きゅまー!」
『はい。よろしくお願いします、ウィートさま』
展開が遅くて申し訳ございません。
書きたいことが書けて、作者は幸せです。
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