第1話 ハズレ令嬢の追放と、雨の中の小さな神様
初めまして、ご覧いただきありがとうございます!
本日から新しく、もふもふ達に囲まれたまったり溺愛日常ファンタジーの連載をスタートしました。
お仕事や学校、毎日の生活でクタクタに疲れた夜、「お布団の中で読んで、とにかくストレスゼロでホッと癒やされるお話」を届けたくて執筆しています。
【毎日21時】に、心がぽかぽか温かくなる優しい日常をガシガシ更新していきますので、これからのエルマともふもふ神獣の物語を、どうぞお気軽に楽しんでいってください!
「エルマ! お前のような『奇跡の魔法』一つ使えない無能なハズレ聖女は、我が公爵家から追放する!
当然、王太子殿下との婚約も破棄だ!」
きらびやかな夜会の中心で、実の父親から冷酷な言葉が突きつけられた。
周囲の貴族たちから、クスクスと小馬鹿にしたような笑い声が漏れる。
婚約者だった王太子は、私の異母妹の肩を抱き寄せながら、汚いものを見るような目で私を見下ろしていた。
「お姉様、可哀想に……。でも、魔法の使えない聖女なんて、この国には必要ないのよ?」
妹の勝ち誇ったような笑み。
私は何も言わず、ただ静かに一礼して、その華やかな会場を後にした。
――これで、やっと自由になれる。
馬車も与えられず、冷たい大雨が降る王都の路地裏を歩きながら、私は小さく息を吐いた。
私は無能なんかじゃない。ただ、彼らが重宝する「攻撃魔法」や「派手な治癒魔法」が使えなかっただけだ。
私に宿っているのは、【万獣共鳴】という別の古い力。この世界のあらゆる生き物と言葉を交わし、心を通わせる力だった。
冷たい雨の中、疲れ果ててボロボロになった私が、路地裏の自販機――ではなく、古い教会の軒下で足を止めたときだった。
ゴミ箱の陰にある小さな木箱の中から、かすかに「きゅぅ……」という、か細い鳴き声が聞こえた。
そっと覗き込む。
そこにいたのは、雨に濡れてぶるぶると震えている、手のひらサイズの真っ白な子犬……のような、不思議な生き物だった。
額に小さな一角があり、つぶらな黒い瞳が、怯えたように私を見上げている。
「……かわいそうに。寒かったね」
私がそっと両手で抱き上げると、その小さな生き物は、私の指先を短い前足でぎゅっと握りしめてきた。
その瞬間、頭の中にぽかぽかとした優しい声が響く。
『あったかい……。おねえちゃん、だあれ?』
この子はただの子犬じゃない。この国では絶滅したはずの、伝説の神獣の幼体だ。
気づけば私は、その白い毛玉を自分の上着の胸元にそっと包み込んでいた。
「おい、そこのお嬢さん。こんな雨の中で何をしているんだ?」
突然、頭上から低く、だけどひどく心地のいい声が降ってきた。
見上げると、豪奢な黒いマントを羽織った、信じられないほど見目麗しい銀髪の青年が、私に傘を差し伸べて立っていた。その胸元には、隣国の最高位武官である『辺境伯』の紋章が輝いている。
「そんなに濡れて……。よければ、私の屋敷で温かいお茶でもどうかな?」
青年――ラインハルト様は、私の胸元で丸くなっている白い毛玉(神獣)を見て、優しく目を細めた。
神獣は、初対面の人間には絶対に懐かない気性の激しい生き物のはずなのに、ラインハルト様の優しい魔力に安心したのか、「きゅふっ!」と嬉しそうに鳴いて、彼の差し出した大きな手に頭を擦り付けた。
「おや、この高慢な神獣に気に入られるなんて。君は、一体何者なんだい?」
ラインハルト様は驚いたように目を見張り、それから、凍えている私をそっと抱き起した。
冷たかった私の世界に、初めて本物の「ぬくもり」が灯った瞬間だった。
私をバカにして追い出したあの国が、聖女の結界を失って大パニックになるのは、もう少しだけ先のお話。
私の、もふもふ達に囲まれた、新しくてどこまでも甘いほのぼの日常が、ここから始まる。
第1話をご覧いただき、本当にありがとうございました!
最悪な家族や婚約者からついに脱出し、優しくて最高にかっこいいラインハルト様、そして真っ白でちいさな神獣の赤ん坊に出会うことができました……!
これから毎日、エルマちゃんが美味しいスープや焼きたてパンをハグハグ食べながら、世界中のもふもふ達に限界まで甘やかされる平和な日常をお届けします。
次回第2話、「銀髪辺境伯の豪華すぎる公邸に拾われたエルマ。温かいお風呂と極上のココアで癒やされ、おこげに似た神獣をふかふかにブラッシングしてあげたら、ラインハルト様から『君を一生離したくない』と過保護に溺愛され始めて――!?」という、最高の癒やし回が始まります!
「この設定は絶対に面白くなる!」「神獣のきゅふっが可愛すぎて癒やされた……」「エルマちゃんに幸せになってほしい!」と思ってくださった方は、ぜひページ下部の【ブックマーク(フォロー)】や【評価(☆☆☆☆☆)】をポチッと押して、応援していただけると凄まじい励みになります!
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