緋美の提案。
光「起きたよ、もう大丈夫…」
そう言って俺たちが部屋を出ると、
緋美が阿修羅のような形相で俺を睨んできた。
こわっ…!
母「良かったわ、気がついて。
日向野くん、大丈夫?疲れちゃったのかしらね。何か飲み物いれてくるわ。リビングでゆっくりしていてね!」
月「僕も手伝うよ〜。」
そう言って二人がキッチンに行った隙に、
ここぞとばかりに緋美が話しかけてきた。
緋「先輩!!」
緋「やってないっすよね?!」
光「うん。さっき意識が戻ったばっかりだし、血はあげてないよ。」
緋「いや、そっちじゃなくて!」
光「……ッはぁっ!?」
光「つ、付き合ったからって、いきなりそんなことにはならないよ俺は!お前じゃあるまいし!!」
光「てかさぁ!静夢のチャッピーR15仕様にしたのお前だろ??自分の欲望貫き通すために、静夢にそういう知識つけないようにしやがって!」
光「知識がない分、無意識に爆弾投下してくるし、純粋な目で見つめてくるし、命がいくつあっても足りないよ!!」
緋「だって、知識つけちゃったら…。」
緋「きっと作法や儀式も嘘だってバレるし、吸われてる時の俺の態度も…キモがられるはず……。」
緋「ずっと、何も知らずに、俺の血だけ飲んでればいいのに……。」
緋「でもでも、しーちゃんが望むなら、太陽に強くなることも応援したいし、食べ物の味、知って欲しい気持ちもあるんです!!」
緋「本当に!!本当ですよ!?」
いや、まだ疑ってもないのに、
今ので逆に怪しく感じちゃったよ…
緋「それで俺、いいこと考えました!」
緋「先輩も、バリバリの童貞だし、しーちゃんに教えられることは何もないじゃないですか。知識もメンタルも、雑魚じゃないですか。」
光「まあそうだけど?!言い方腹立つな!!」
緋「そこで、造詣だけはマリアナ海溝なみに深い俺が、レクチャーするってのは、どうですかね……。」
は……?
光「……つまり?」
緋「つまり、」
緋「……3人で───。」
ガタッ!!
俺は椅子から崩れ落ちた。
緋美は床の俺を見下ろし、真面目な顔で手を差し伸べながら、
緋「先輩は、上と下、どっちがいいですか?」
緋「それとも………」
光「やめろおおおおおおおお!!!」
光「正夢にするな!!!」
緋「えっ?」
光「…いやっ、」
光「…3人は、おかしいだろ……」
光「……でも……ちょっ…と聞きたいんだけど、俺真ん中になったとして、」
光「お前どこなの?」
何を聞いてるんだ俺は!!
でも好奇心が……
緋「俺は、一番下っすね」
緋「下から順番に、俺、先輩、しーちゃん。」
緋「月城ブラザーズで、先輩を挟んであげますよ。」
光「俺の下なの!?お前はそれでいいの??」
緋「いいんです。まずは、参加することに意義がありますからね!」
緋「順繰り前に送っていけばとは、思ってますけど…。」
光「トランプみたいに言うなよ!!!」
緋「でも、悪い話じゃないでしょ?」
緋「先輩ひとりじゃ、一瞬で気絶して、すぐふられますよ?」
そんなことない!!!
……って、言いたかったけど、
悲しいかな、あり得ない話じゃない…
だからって、弟と3人でって、おかしくない?!
でももはや、何がおかしくて、何が正しいかなんて、
俺にはわからなくなってきていた。
月「お待たせ〜!こーくんはミルクココアにしたよ〜。緋美はお砂糖とミルクたっぷりのカフェオレだよ!」
月「クッキーもあるよ!」
月「昨日、お母さまと一緒に生地作ったんだぁ。冷凍しとくとね、食べたい時に焼きたて食べられるの!美味しくできてるといいなぁ〜。」
静夢はフリルのついた白いエプロン姿で、
焼きたてのクッキーを振る舞ってくれた。
あああ…静夢はやっぱり天使だよ……
緋「しーちゃんのクッキー、めちゃくちゃ美味いよ!お店出せるよ!!」
月「そう?えへへ!」
緋「ね、先輩!」
光「あ、うん。本当に、サクサクして美味しいよ。」
緋「しーちゃんも、早くこの味知りたいよねえ〜」
緋「方法もわかったし、せんぱ〜い、頑張りましょうねえ〜!」
緋美め……!!!!!




