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―――そのうち佐久間さんと警察と自衛隊の方々が来てくれた。
警察や自衛隊の人たちは、後藤さんの他、先日襲撃を受けて応援に来てくれた人たちだった。あと俺たちの護衛に来てくれた高橋さんとその上司さんたちだ。
ここからは配信は止めておこう。
さすがに物々しすぎる。
「田川さんおはようございます。大変なことになりましたね」
「佐久間さん、ほんと困りますね……。聖王国に管理とかされると……仮想敵国が隣にいることになるわけで、そうするとここは最前線になるので滅茶苦茶いやですね……。
……家、国に買い取ってもらったりできるのでしょうかね?」
「t……そうですねー。うーん、ここの家の管理は国がして、異次元ゲートの送迎も田川さんのほかに、サンクさんアミール族やディルス族の異世界から来て地球に住んでる人に交代でしてもらうようにしてもよさそうですよね。
いっそのこと、ここを地球用ギルドにしてしまうのでもいいかもですね。少し議題に上げてみます」
佐久間さんと話してから、ここまでの一連の流れやアミーラさんが駆け込んできて説明されたことをもう一度みなさんに伝える。
ここが最前線ということが分かったようで、ピリッとした顔をされてる方が多い。
特に後藤さんなんかは、佐藤さん拉致の件を一度経験しているからか厳しい顔しているな。
念のため酔い止めとディルス族のクッキーを食べてもらう。
警察の方や自衛隊の方々が異次元ゲートの部屋に陣取って隊列を組んでいる。
俺と佐久間さん、ライメットさんはその後ろで待機中だ。
……じりじりと時間だけが過ぎていく。
待機まじ辛い。ミケ大丈夫かなぁ? 心配すぎる。
―――ひょいと異次元ゲートから翡翠ちゃんフレヤさんノッサさん、ミケとアヴィラさん、それとルトミスさんが戻ってきた。
『キュキュ』
「タガワー戻ったよー!」
「ただいまですわ!」
「こんにちは。こちら対応終わりました」
ルトミスさんがピリピリしてる警察や自衛隊の方々を見て一瞬びっくりしていた。
そりゃそうだよな。
無事でよかった……。
「ミケ! 大丈夫だったか?」
ミケが足元に来て尻尾をふるふるとさせながらすりすりしてくれるから抱っこして撫でる。
今度は頭にすりすりと挨拶してくれる。うんうん、無事っぽい。よかった……。
ミケを抱っこしながらルトミスさんに声をかける。対応終わったってどういうことだろう?
「ルトミスさん、こんにちは。そちらどうなったのですか? アミーラさんのお祖母さんは大丈夫ですか?」
「田川さんこんにちは。僕がこちら待機いたします。族長は解放されました。お怪我もなく無事でございます。
そして人族の街の副ギルドマスター、今はこちらの異世界対応部ギルド、アミールギルドという名前になったようでしたが、えっと、そこのギルドマスターになっているのです。
その方が説明したいということで田川さんを呼んでおります。行っていただけますか?」
「……俺? ですか? じゃあ佐久間さんと後藤さんと自衛隊の方も一緒でいいでしょうか?」
「大丈夫です。お願いします」
首をかしげながら佐久間さんと顔を見合わせてから、後藤さんと自衛隊上司の方と手をつないで異次元ゲートに一緒に行く。
「ではいきましょう」
―――異次元ゲートから外に出ると何も変わったところはなかった。
イゴラフさんも待機しているしね。
「イゴラフさん、アミーラさんのお祖母さんがご無事でよかったです。帰りましたらアミーラさんにも連絡しますのでご安心ください」
「なに、田川殿、田川殿のおかげで丸く収まったようなものなのだ。こちらこそ助かったぞ」
……? 俺? なんで俺?
「ギルドマスターが待っておるのでな。行って説明を受けて欲しい」
「わかりました」
後藤さんも自衛隊の方々も魔力酔いになっている人はいなかったので一緒に向かう。自衛隊はたしか慣らしているんだったもんな、さすがだ。
―――さて、隣にあるアミールギルドに向かう。
アミールギルドはゲル様式ではなく木造になっていた。いつのまに?
なんか副ギルドマスターが着任するときに直していたらしい。
中に入るとギルド内人族の街にあったギルドと間取りは一緒だった。
聖王国の件があったから殺気立っているかな? と思ったけれど、それどころか和やかな雰囲気だ。
俺たちを見て受付の方が応接室に通してくれた。
副ギルドマスター、あ、今はギルドマスターか、のガラットさんに、カイルさんアンドリューさんがちょうど来ていたようで打ち合わせ? のようなことをしていた。
「こんにちは、ガラットさん。先日は人族の街でお世話になりました。こちらのギルドのギルドマスターになられたのですね。聖王国はどうなったのですか?」
「田川さん、こんにちは。聖王国の件は、……そうですね、聖王国ではなく『聖王国とは無関係な個人的集団』がアミール族族長を拘束、そしてギルドへの暴行、脅迫ということで、こちらのBランクの方々により制圧されました。
現在は移送中です」
「ん? 個人的集団? ……聖王国ではなく個人の思想でということにしたのですか?」
「……しー。まあ、そうですね。対聖王国とすると国対国の戦争になってしまいますし、最終的に古代竜殿が納めましたので聖王国も引いて、それを落としどころにしたということですね」
「古代竜……? あ、翡翠ちゃんのお母さんですか?」
「翡翠ちゃんというのは古代竜殿の幼竜のことですな?
そうです、その幼竜と妖精たちが古代竜殿に異次元ゲートの危機を伝え、古代竜殿がそれを受けてここを縄張りにする、そしてこの土地の守護者であるアミール族を保護すると宣言したことによって人族はここに手を出せなくなりました。
なんでも田川さんが古代竜の加護を持っているということですので、アミール族の王子アヴィラ殿と田川さんのご家族、養い娘のミケ殿がご結婚され、アミール族も加護の一端に入ったと古代竜殿が言っておられました」
「あぁーそういう……? 聖王国が出張っちゃうと俺がちょくちょく来れなくなる、イコール翡翠ちゃんの様子がうかがえない、それとドラゴンさんの怪我治せないってことでかな? ……なるほど? ……なんか丸く収まったからいいってこと?」
「ははは! そうですそうです、結局はそういうことです。
いやー、まさか古代竜の加護を持つ人が異世界にいるとは聖王国も思わなかったようで、……ほんと古代竜が自ら動くなどと誰が考えます? ……私も驚きましたよ」
「俺も驚きました」
「……俺も」
ガラットさんにカイルさんアンドリューさんが頷きながら笑っている。
へー、珍しいことなんだねえ。
「そして聖王国はその宣言がなされたのを聞いて、驚いてアミール族族長を解放、そのままギルドにこれは聖王国がしたことではない、個人的集団が暴走したと宣言、そのまま制圧、移送とことが一気に進みました。
田川さんがいてくださってありがたいのはこちらです」
ガラットさんにカイルさんアンドリューさんが尊敬のまなざしで見てくる。えぇー?
加護ってそんなにあれだったのか、あれ。
あとでドラゴンさんにお礼言いに行こうっと。
なんにせよ、みんな無事で平和でよかった。これから異世界で冒険したい人も多くなるところだったのに、全部なくなってしまうところだったもんなー。
ガラットさんがぼそっと呟いた。
「妖精族の族長候補まで来てましたしね」
「族長候補?」
「え? 古代竜の側にいる妖精族は妖精族族長候補と言われているんです。双子のどちらかが候補でしょう」
「あ、そうなんだ? へー」
「ははは! 田川さんは軽いですな……! 人族の前にはなかなか姿を見せない妖精族なんですがね? さすがに加護持ちというところでしょうか。
……私はこのままここのアミールギルドで業務しますし、なにかと色々融通できると思います。これからも田川さんとは仲良くしていきたいですね」
「もちろんこちらこそよろしくお願いします」
―――そこからは、カイルさんアンドリューさんにも、佐藤さんの同僚さんたちが会いたがっていたことを伝え、ドラゴンさんにもお礼を言って―――返事は『構わぬ』だけだったけど―――ついでに魔力活性化でドラゴンさんの治療をして帰ってきた。




