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―――一通りのアミーラさんのお出かけ場所の予定を話し合ってほっとしていると、先生が沈痛な面持ちで俺を見ていた。
どうしたの?
「……ところで虎太郎君、君が頭に塗ったところがかゆいんだがね……? どうなってる? 見てくれないかね……?」
頭かゆい……? え、失敗してたらどうしよう。
「え、……えぇ……!?」
なんかゴマ粒みたいなの生えて来てる。
てか生えるの早すぎる。
あ、これ原液じゃなく、少し薄くした方がいいかもなぁ。それかもう少し滑らかになるように魔力水増やすかな?
画像を撮って先生に見せる。
「これ、生えて来てますよね?」
先生がわなわなしてる。
だよねー? 生えて来てるよね?
……実験成功じゃないか!? ……思ってたよりちょっと効果が強すぎたけど、増毛はいけそう。
あとこれ間違えて脱毛したところとかに塗ったら逆効果になるからそこらは気を付けないとな。
「虎太郎君!! これを売ってくれないか!! いくらでも出す!」
「先生これまだ実験途中です。あと、これだと少し効能が強すぎるので、かゆくならないくらい弱めてこれからも実験させて欲しいので、出来た試作品は差し上げます。そのうちふさふさになれるようにしてみますよ!」
―――さて、じゃあ家に帰って佐久間さんに連絡しよう。んでSNSで増毛の試作品出来たって報告して、売り込み出来るように種まいておこ。
【田川@ミケ:先日配信で少し話した錬金術を使っての増毛の薬の件で進展です。なんとか完成し、で、一応実験して少し生えたのは確認できました!
こちら画像です。塗布前、塗布後。
ちなみにこの方は異世界に少し行ったことがあるため、普通の方より魔力があると思います。
異世界に行ったことのない魔力のない方は今度塗らせてもらいたいと思ってます。結果は今度SNSに出しますね。
この軟膏はこれからもう少しブラッシュアップしてまだ実験するので製品化するのはまだまだ先かもですが、よろしくお願いします。
今日は実験とかしていてGoTubeで異次元ゲート垂れ流ししておりませんが、少し配信するかもです URL #猫#異次元ゲート 】
―――佐久間さんに電話しようっと。
「佐久間さんですか? 田川です。お疲れ様です」
『田川さん、お疲れ様です。……何かありましたか?』
「佐久間さん、俺からの連絡に警戒するようになってるのやめてくださいよー。
あのですね、先生の提案のアミーラさんの観光場所ですが、三山で地球の神域観光、その後日本海側に移動してお寿司、五重塔や千年杉を観光、クラゲ水族館を観光、由良海岸を観光、道の駅で魚のおやつ、保護猫カフェ観光、という予定みたいです。どうですかね? アミーラさん魚が好きみたいなので、海関係にしたようです」
『ふむふむ。けっこうタイトな予定組んでますね。護衛の観点から護衛担当と確認しますが、少し減るかもしれません。伝えておきます』
「あとスライムの件ですが、聞いてきました。
分裂防止の網の袋というものが異世界にあって、スライムはそれに入れると分裂しないそうなのです。そして、分裂するときに突然変異する確率があるそうなので、分裂防止袋に入れておくと安全だと思うと言ってました。
分裂防止袋は三か月に一回交換が目安だそうです。
ちなみに分裂防止袋作れるのは無属性らしいですよ! やり方はまったくわかりませんが」
『スライムの件はありがとうございました。異世界らしい安全対策なのですね、で、やはり突然変異があるのですね。
そうしますと……スライムを使うとしても日本ですと、その袋の安全性を確認してからになりそうですね。何はともあれ実験が必要と……。こちらも研究課に伝えておきます。
それから、研究課の三上からですが、魔石の在庫があるようでしたら売ってほしいと言ってました』
「魔石俺も使う感じなのですよね。んー、あとで行商人さんに頼んでおきますね。……ではこれで失礼しますね」
―――あと、秤と生クリーム混ぜ器とビー玉を買ってくるついでに、会社に顔出して所長に軟膏塗らせてもらおう……。もう気になって仕方ない。
会社着いた。俺の家から近いんだよな。
「所長すみません、早退させてもらったのに所長に用事があって戻りました。もう定時ぎりぎりですがいてくれてよかったです」
「田川君、どうしたんだ」
「あの、ここだけの話なのですが、これ増毛の軟膏なんです。一人の人は生えてきましたが、その人少し魔力あるんです。で、異世界行ったことない所長にも塗ってみたいのですがいいですか?」
「……は? 急になんだ!? って……増毛……? 生えて来てる? ……やってくれ」
増毛の話しし出すとみんな潔いのちょっと面白い。
えっと、塗る前の写真とってから塗ってみる。ブラッシュアップ前にやっておかないと、魔力有り無しの違いが判らないからな。よかった。
「で、少し時間置きたいので、俺ちょっと買い物行ってきます。終わりましたらまた寄ります。塗った軟膏拭かないでくださいね。あと少しかゆくなるかもですが、それはたぶん再生だと思うのでそのままにしてください。じゃあちょっと行ってきます」
頭を触りたいらしい所長に釘を刺してから買い物に出る。
―――秤と生クリーム混ぜ器とビー玉を買って会社に戻ってきた。ホームセンターと百均ショップが近いからありがたい。
帰りこのままサンクさん乗せて帰ってもいいな。
「所長、定時すぎてしまって申し訳ない。どうですか? かゆいですか?」
「田川君、……かゆい。そして気になって触りはしないが鏡で見てみたんだが、……これ、……これ、生えてきてないかね!?」
「見てみます。失礼します」
お。
先生よりはちょい少ない感じもするけれど、生えて来てるな。
先生よりも年齢が上なのも関係あるかなー?
魔力が関係してるだけかなぁ?
まあそこらはさすがにわからんが、生えて来てる。よし写真とっとこ。
「生えて来てます。これ前に実験した人の画像ですが、これよりは少し少ない感じですが、十分ですよね。おおーよかった! 所長、ありがとうございました」
「田川君! これを売ってくれないか!」
先生と同じ反応してて笑うんだが。
「所長これまだ実験途中で、あとかゆくならないようにしたいのでまだ売れないんですよね。……出来た試作品は差し上げますから」
「そうかそうか! 協力するからな! がんばってくれたまえ!」
きらっきらの眼で見て両手で俺の手を握ってくる所長、力強いな!?
「では今日はこれで帰りますね。サンクさん一緒帰るかい? 佐藤さん待つ?」
「出来れば一緒にお願いしたい」
サンクさんと帰りながら、車の中でサンクさんに相談された。
「田川さん、ミオさんの同僚の天女さん方が、異世界のビデオ配信動画の切り抜き? を見て、護衛の人とコンパ? したいとミオさんに言ったらしく、ミオさんがどうにかできない? と俺に希望してきたのですが……」
同僚の天女さんて。
「それで、俺のパーティの者も天女の方々に会えたら喜ぶと思うんです。異次元ゲートに行って一緒につれてきたいのですがいいですか?」
あ、家を通るからか。どうぞどうぞ。
てか、家の中通らなくても、異次元ゲートのとこ直通のドア出来たし、そのときうちの方にもカギ掛けられるようにしてもらってるから、そこから出入りしていいよー。
ああ、こっちの方は連れて行くのはだめだからね。
たぶんもうすぐ受付解禁になると思うから、ちょっと待とう。
―――それにしても異世界に方々との合コンかー。面白そうだなぁ。




