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―――さて家に戻ってきた。
なんか色々ありすぎてどうなってんだ。
けっこう疲れるんだよなーっていうか疲れがとれないんだよなぁ。四十代になるとぜんぜん違うよ……。
そうそう、念のためね、ミケが怒っちゃってシャーされると悪いから、翡翠ちゃんと避難用に異次元ゲートに入れるところにいるようにしつつミケを呼ぶ。
「ミケー、アヴィラさーん、ただいまー。アヴィラさーん、ちょっとお客さんいるから、ミケの抑えお願いするかもしれない。ミケーちょっときてー。この子と仲良くできるー?」
……ミケがやってきた。アヴィラさんが心配そうにミケを見てる。
「ミケー、けっちゃん。この子ねー、あっちで魔力飽和状態で体調悪くしちゃってね、この世界で魔力を放出したいんだって。で、ここらへんにいるだけでいいって言われたんだけど、ミケ大丈夫? いちおうこの子がいた、あ、名前は翡翠ちゃんってつけたんだけどね、きれいな緑色だろ? ああ、それで翡翠ちゃんがいたところが森だったから、普段は裏山にでもいてもらうのでもいいかなと思ってねー」
アヴィラさん腰が引けてるの、これやっぱ竜族? の方が格上なのかね? 知らないけど、さっきイゴラフさんが敬語だったし。
ミケが匂いを嗅ぎに来た。翡翠ちゃんが一瞬ピクリとしたけど、「ここはミケが先住だからね?」と言ったら「キュッ」と答えたから、わかってるね。
ミケもだけど、この子も賢い子だなー。
「ねえええ!!! これなーに!!? これえーー!!」
「おねえさま!!! 今はたてこんでるようですのでいけません!!」
「ねえええ!! フレヤをみてよおおお!!」
「あー、君たちも来ちゃったのか。んー、いいけども、今はミケが翡翠ちゃんと仲良くなれるかの調査中だから、ちょっと待ってて」
ミケがすりっと俺にすりすりしてきた。うん、許可でた。
ああ、翡翠ちゃんにも挨拶してるし大丈夫そうだね。
「ミケ、翡翠ちゃんと仲良くできるかー! ミケは賢いしかわいいしでほんとえらいねぇー! ううーーん、かわいかわいー!! 俺の寿命半分やるから長生きしてくれよー!」
よしよし、ミケ、シャーもしなくてよかった。まだ翡翠ちゃんが子供なのわかったんかなー。よかった。
ミケをわしゃわしゃ撫でて、まんざらでもなさそうなミケがほんとかわいくて癒されるなぁ。
って、後ろがうるさいなー。全く。
……ぎゃーぎゃー騒いでいるフレヤちゃんを見ると、配信画面の前を飛んだりカメラに顔くっつけたり色々やらかしている。
なにやってんだもー。
配信画面のコメントが恐ろしい勢いで流れている。ああー。全く読めない。経緯と詳細だけは一瞬見えた……ううーーん、今説明めんどい。今度にしとこ……。
いちおうSNSには書いておこうか、世話になってるしなぁ。
¥500
【田川さーーーん!!】
¥1,000
【妖精!!?】
【うおおおおお本物の妖精!!】
¥50,000
【経緯と詳細うおおおおおお】
¥100
【田川さん気づいてえええ】
【なんか話してる!!】
¥3,000
【まってドラゴンいない?】
【ミケたん】
【アヴィラ君びびってるように見えない?】
【妖精ちゃんが邪魔で見えない】
¥50,000
【ガチ恋距離】
【カメラとんとん】
…
……
………
【田川@ミケ:妖精の子たちは勝手についてきちゃって……配信デビュー出来るかは不明です。まあ今度ちゃんと翡翠ちゃんはしますので、もうー、うるさくてほんと申し訳ない。
GoTubeで異次元ゲート垂れ流ししております URL #猫#異次元ゲート 】
【田川@ミケ:それと、切り抜きをたくさん見ていただいてありがとうございます。
専門の切り抜きの子が作ってくれています、これからもよろしくお願いします。
GoTubeで異次元ゲート垂れ流ししております URL #猫#異次元ゲート 】
なんか昨日の動画とか、もう切り抜き作ってくれててね、再生数が半端ないんだよね。
そそ、プロポーズのやつね! たしかに剣の誓いみたいでかっこよかったもんなあ。
―――ふとみるとアヴィラさんもおっかなびっくりだけど翡翠ちゃんに挨拶をしていた。
うんうん、アヴィラさんも大丈夫そうだね。よかった。
「翡翠ちゃん、裏山なら森っぽいから居心地いいと思うんだけど、どうする? 今から見に行く?」
「キュッ」
お、行きたそう。うん、んじゃいこか。
と、ミケが珍しく俺の足の前に来た。ん? これはなんか用事ある? 行くなっていう態度だ。
「ミケどした?」
ん? アヴィラさんが? ああ、アヴィラさんも行きたいの?
え!? ここ? あ、アヴィラさん舐めすぎちゃったの? あーまさか、運動できないストレスたまった? 毛繕いしすぎたか。
なんかアヴィラさんが毛繕いしすぎてハゲになったとこがあるっぽいなー。ミケが心配したのか。はー、なんていい子。
アヴィラさん、家の中ではおもちゃでたくさん遊んでいるけど、やっぱりトラには狭いし、あとあっちでは外で魔物狩ったりしてたもんなぁ。外も警戒してもらうようにするのもありだね。
「んー、じゃあそだね。アヴィラさんも行こうか。裏山もアヴィラさんの縄張りにしてもらって警戒してもらった方が安全だしね。ミケは今お留守番できる? あ、ルトミスさんに来てもらおうか。それなら交代もできるしね、いいかも。ちょっと待ってて」
―――ルトミスさんに言ったら一瞬にして来た。ミケの護衛だもんねー、そりゃくるね。
「よし、んじゃ裏山探検隊、行こうかー! ついでに山菜でもとってくるのもありだな」
アヴィラさん、あとから貰った治療薬を薄くして塗ってあげるからね。さすがにストレスで毛が薄くなるのは申し訳ない。
―――裏山は翡翠ちゃんもアヴィラさんもとても気に入ってた。いやー、売らなくてよかった。
基本はアヴィラさんが縄張りとして警戒しつつ、翡翠ちゃんが木漏れ日の入る良さげな場所で休んでることになったようだった。
ま、俺はよくわからないけど、多分二人で意思疎通してる感じだったから大丈夫そう。
ちなみに、見かけた山菜はきちんと取ってきた。ヨモギは近所のおばさんが欲しがってるからいつもあげてる。草餅になって返ってくるから俺も嬉しい。
ウドは天ぷらが好きだ。ビールにすごく合う。胡麻和えはめんどいから作らない、美味しいんだけど手間がなー。近所のおばさんにヨモギと一緒に上げると胡麻和えにしてくれるからそれもあげる。
―――家に帰ってきてミケに報告する。
うん、翡翠ちゃんは基本裏山にいるって。たまには来てもらってみんなでゆっくりしようね、と言ってある。
でだ、さっきアヴィラさんに薄めた薬を塗ったんだけど、もう毛が生えて来てるなー! はやい。てかミケにもあったなぁ……親父が入院して家にいなくなったらストレスで禿げちゃってなーかわいそうだった。
……ハゲ? 毛が生える?? それって人間でも効くのか…!?
ちょっと待とうか、これ人間に効いたらものすごい儲かりそう…!
誰か人族で実験になってくれる髪が薄い人会社にいなかったかなぁ……うーむ……。
俺、業務内容しか会話しないからわからないぞ。
そういや、獣医の先生がすこーし髪が後退していたな……、ちょっと聞いてみる……? うーん、しかし話題がセンシティブすぎるからな。……あとで反応良さそうなら聞いてみるか。
ああ、でもだめだ。アミーラさんのお祖母さんが秘薬って言ってたしなー。人様から預かったものを勝手に表に出すわけには行かないからな。ううううむ、しかし金も欲しいしな……薬草がどんなのかだけでもイゴラフさんに確認してみよう。
……こっちでも似たようなのあったら作れそうじゃね?
俺、作れないかなー? なんか無属性で錬金術がどうこういってた気がするんだよなー。たしか……。それにそんな効能はいらないしなー。こっちの薬草とか山菜でできないかな。




