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異世界臨時公務員始めました(ゲートあります)  作者: 仲田野 寿


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―――どうしてもビールを味見したい俺は、話しかけてみることにした。


 いやーでもやっぱり怖い。だってでかいんだよな。護衛の人たちよりもなんかでかい。あと鎧とか剣が使い込まれてる感じがして強そうなんだよ。


 「さっきからうろうろとどうかしたのか? どう見ても冒険者じゃなさそうだし、ギルドの受付はあっちだぞ」


 やっぱり怪しいやつに見えたのだろうか。後ろから話しかけられた。

 木のコップに入ったビールを手に持っている。


 話しかけようと思っていた人たちのお仲間さんのようだ。


「こ、こんにちは。今日初めてギルドにきたのですが、酒場が併設されているのを知らなくて、その飲み物に興味があるのですがお金がないのです。物々交換は出来ますでしょうか?」

「ギルドが初めて……? 金がない? そのカッコ、もしかして貴族様か?」

「あ、いや、貴族ではないのですが」

「違うのか? どういうことだ……? まあいい、物々交換か、うーむ。物によるな。何と交換できるんだ? まあここに座れ」

「おい誰だ?」

「あ、こんにちは。今ビールと交換してもらおうかと思ってて、ありがとうございます、えっと、これと出来ますか?」

「ビール? エールのことか?」


 準備したビー玉を一つ取り出した。


「なんだこれ? ……ほぅ? これは美しいな……。いいだろう、よし。これをやろう、飲め」


 光に透かしてみたり匂いを嗅いでみたり、コンコンと触れたりと珍しそうだ。ビー玉いい感じだなー。

 ちなみに、ビデオカメラは回したまま机においてある。


「おお!? なんだこれ?」

「ありがとうございます!!!」


 ぬるいけどビールだ!!! ちょっと薄いけど! はぁーうまい!!


「うまそうに飲むなー! 良い飲みっぷりだ」

「お前、その石とエール一杯はだめだろう。ここはギルドだ。なにかあるとギルドの査定にひびくぞ」

「……あー。そうだな……。まあ、価値がわからんからな。銀貨五枚くらいで買い取ろう。エールは銀貨一枚で一杯飲めるぞ」

「何から何までありがとうございます!!」


「……田川殿、佐久間殿が呼んでいるようですので、こちらに来ていただけますか……?」


 あ、ルトミスさんが迎えに来ちゃった。


「ごちそうになりました! ありがとうございました! では」


 お礼を言って佐久間さんのところに戻る。


「田川さん、何をやってるんですか。ビール飲んでたんです?」

「いやー。視察しないとですしー! エールっていうんですってー。ちょっと薄いビールでしたけど美味しかったですよ! んで、これが銀貨だそうです。きれいですねー!」

「ああー。なにかと銀貨を交換したのですか? ……これは本物の銀なのでしょうか? 一枚いただいてもいいですか? それと、何と交換したのか……後で詳しく聞かせてください。そしてギルドの応接室で交渉ができるとのことでしたので、一緒にきていただきたい。ルトミス殿にも来てもらいます」



 ―――ギルドの応接室には、メガネでスーツを着てる男性がいた。全然冒険者っぽくない。サラリーマンみたいだ。


「話はお聞きしました。私はこちらのギルドの副マスターをしています。ガラットです」

「……異世界の国家危機管理部所属、佐久間と申します。こちらは田川殿と、アミール族のルトミス殿です」


 ―――副マスターだって! マスターとかかっこいいな。サラリーマンにしか見えないのに!


「冒険者登録を実際にしてみたいとのことでしたので、こちらに記入いただいて、ああ、そうですね。そちらの文字で書いていただいてから、口頭で言ってもらって代筆しますね。……そして出来たカードに血を一滴、終わりましたらこの水晶に手を触れてください」

「うおおー! かっこいい!!」

「田川さん!」

「あ、申し訳ありません、つい」


 なんか今のリアクションがうれしかったようで、副マスターさんがにっこりしている。地方から出てきた子供を見てるみたいな感じで恥ずかしすぎる。やはりビール飲んじゃったのがだめだな。そういやよく考えたら仕事だった……。


 で、俺も冒険者登録することになった。えー、俺もう四十歳だし冒険とか無理無理の無理だぞ。絶対すぐ死ぬ。

 佐久間さんだけでいいじゃん……? あの水晶はやってみたい気もするけど。


「配信でギルドカードを例題として見せられるし田川さんもやりましょう」

「むむむ、まあいいか。じゃあ、あの、これステータスとか見れるんです?」 


 ステータス? と言われたので、ないんだなとわかった。そりゃなー……才能が数値で見えたらすごいことだもんな。


「力とかのステータス? 数値などはカードにはでません。異世界の方では出るのですか?」


 副マスターは一瞬がたっと立ち上がる感じになったけど、佐久間さんの無情な見れませんという答えに座ってた。


「ステータスという数値はでませんが、自分の魔力属性がなにかはわかりますよ。わからないと事故になりかねませんので」

「事故ですか? どのような……?」

「へええーってうちの世界の人たちは魔力ないんじゃないの? かなり少ないけどあるの?」


 一気に質問されて少しほほえんだ副マスターだったけど、きちんと答えてくれた。


「そうですね。あまりないのですが、例えば、強い魔力と火の属性がある子がいました。魔力の強さを知らずに子供が火の魔法などを使ってしまい火事になるとか、ですね。親が分かっていれば、魔力を抑えるとか出来ますし、火だと分かっていれば対抗属性、この場合は水ですね。を準備しておくなどできます」

 

 へええー! ちょっと興味出た。

 話をしながらカードを受け取り血を垂らす。針で突く感じなんだけど注射みたいで怖いな。あと指先は嫌だったので二の腕あたりに刺してもらった。


「そちらの世界にも、少しは魔力があるとは思います。少ないだけでしょう。田川殿にも多少なりともあるようですしね。そちらにも属性はあると思いますよ」

「そうなんですかねー? うちの世界であんまり属性とか感じたことないですけど」

「ううーん……そうですね、例えばこちらで特に属性が強い方だと、その人がいると雨が降りやすいとか、ありますね」

「ああ!! ありますあります!! 雨男とか晴れ男とかって属性持ちってことなの!? ええーすごい!!」


 水晶に触れたけど、光るとかそういう演出はないんだなー。わかんなかったや。魔力少ないからかな。

 

 おっと、佐久間さんのカードが出来てきた!! 佐久間さんも珍しい方で雷らしい! かっこいい!!

 と思ってたら、佐久間さんは、あ、静電気……と呟いてフリーズしてた。なんか思い当たることあるっぽいな。


 俺は……無属性? なにそれ? え? 珍しいんだ? ふーん? で、なにかいいことあるの? ええー、わかんないの? なにそれー、つまんない。

 

 あとは耐性もある人はあるらしい。たとえば麻酔聞きにくい人は耐睡眠とか、逆に弱熱とかもあるらしい。猫舌の人とかそうなのかも? 酒も酔いにくい人は耐性あるっていうけど本当にあるらしい。面白いなー。耐寒とか耐熱とかもそうなのか。寒いところの人は環境で耐寒をとれるとかもあるみたい。


 俺も二日酔いにならない耐性ほしい……!!




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