表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】『稀代の天才』、死に戻りしたので、怠惰に過ごします  作者: 海瑠トワ
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/31

第24話

本日はもう1話22時に投稿予定





 国王陛下の印章が入った手紙を見下ろして考え込んでしまった。ユリウスが見せてくれた手紙には、先日の件の処遇が記されていた。


「落ち込んでるの?」


 心配気な声に顔を上げると緩く首を振った。


「そうじゃないわ。彼のしたことは簡単に許せる事じゃないし、仕方ないと思っているわ。」


「じゃあ、なんでそんなに悲しそうな顔をしているの?」


 ユリウスの言葉に軽く唇を噛んだ。


「……私が、彼を変えてしまったのかしら。」


 前世、私がいなくなった後の事情等は知らない。

 けれど、どこか壊れたような彼は異常だった。


「君のせいじゃない。」


 落ち着かせるように肩を撫でるユリウスは、私の隣に腰を下ろして深く息をついた。


「彼は、断ろうと思えばそうできた。エリシアを想っているなら、あんな事はしない。」


 カイトは、コーネリア家を敵視していたケーリオス公爵家に取り引きを持ち掛けられたそうだ。


 捕えられ、大人しくなった彼は全てを話したらしい。


 あの夜会の日、レイリーンは父親の名を使って私をユリウスから引き剥がした。「彼女を失ったユリウスを慰めたらいい」そう言ったケーリオス公爵の話を鵜呑みにしてしまったのだ。


 それを聞いたユリウスは、「頭が悪い令嬢だからマークしていなかった」と悔しげにしていた。だからこそ彼女が利用されたのだろう。


 そして、それはカイトもだった。

 こんな怪しい取り引きを受けるなんて。昔の彼はもう少し慎重な人だったと思っていた。


「気に病む必要は無いよ。彼らは自分の意思で君を陥れた。重労働に修道院。自業自得じゃないかな?命があるだけマシだと思って欲しいね。……まぁ、とは言っても、エリシアは優しいからなぁ。」


 少しむくれた様子のユリウスは、以前より裏の顔を見せてくれるようになった。今回の処遇も、少し生ぬるいのではと口を尖らせていたくらいだ。


「……思うところがあるのは事実だけど、そうね。気にしていても仕方ないわね。私も、もうすぐ母親になるんだもの。強くならなきゃ。」


 気分を切り替えるようにソファに深く腰掛ける。

 そんな私を見て、ユリウスは呆れたように笑う。


「エリシアはもう少し大人しくしててよ。僕は心配で仕方がないよ。」


 困ったように呟かれた言葉にフッと笑う。


「初めはそのつもりだったんだけどね。誰かさんに影響されたのかしら?」


 何もせず穏やかに生活するつもりだった。田舎に引き篭って花を育てるのもいいなと。

 それなのにいつの間にか隣にいたいと願う人に出会って、彼の守るこの国のためになにか出来ないかと思っている。


 覗き込むように首を傾げれば、青い瞳が細められる。


「僕のせいだって言いたいの?」


 じゃれるように私の肩に頭を擦り付けてくる。


「そんなんじゃないわ。」


 擽ったくて笑いが漏れる。サラサラの金の髪を撫でてあげれば、「ふーん」と機嫌のいい短い返事が返ってくる。


「ふふ、明日は休みでしょう?久しぶりに街へお出掛けでもしましょう?」


「ふふ、いいね。魔道具と魔法書と、あの怪しげな骨董品店も見たいなぁ。」


 ウキウキとした子供のような顔に、いつまでも変わらないなぁと思う。


「いいわね。楽しみだわ。」


 私もユリウスに微笑むと、優しい口付けが降ってくる。

 満足気に鼻を鳴らした彼は、ご機嫌に明日の予定を立て始めた。愛おしいその横顔に、そっと重ねた手をゆっくりと握った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ