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偏屈な召喚者は異世界でも変わらない  作者: 35
第4章 マーク森林編
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第9話 四人衆

「も、もちろんやっていただければ助かるが、オオバチの被害はかなり深刻であるし、人間が魔物退治をしてくれれば、信用もしてもらいやすい」


フレードリクとしては願ったり叶ったりの話なのでもちろん賛成した。


「だが、そんなに多いのか? 前に50匹ほど倒しているはずだ」


「ああ。鳥人族や他の皆も頑張ってくれているが、一向に数が減らないんだ」



「何か元があるのかもしれない。調査してみるか」


「二一様、またご迷惑をお掛けしますがお願いします」


「いいって。遠慮しなくなったから話が早くていい。森を見てくるから、カトリーネさん、ピッキーを頼めるか?」


「ああ」


「フレードリクさん、ピッキーとカトリーネさんをここにいさせてもいいか? 鳥人族の街に置いとくのも心配だし」


「それくらいなら構わんよ。こちらで責任を持つ」


「じゃあ、他の3人は一緒に来てくれるか?」


「うんっ」

「はいです」

「了解でございます」


そして二一、歩、クレアロッテ、ジャンマリアのマーク森林魔物討伐が始まった。



ダダダダダダ!


ピカッ!


ズシャッ!


キン!


二一のマシンガン、歩の光魔法、クレアロッテの攻撃にジャンマリアの耐久性で次々現れるオオバチを撃退していった。


「オオバチばっかだな」


二一達は1日でかなりの数の魔物を倒していたが、ほとんどがオオバチで、たまにネガビーがいたり、まれにラポネと呼ばれるかなり大型のアリの様な生物もいたが、ほぼオオバチだった。


オオバチの情報を調べてみても、オオバチはどのような環境にも適応できるので、特別マーク森林がオオバチの住みやすい環境とは思えなかった。


「プチ狐、確かオオバチは準魔物じゃないよな」


「そうでございます」


「じゃあオオバチはちゃんと魔物として、生み出されてるわけか……。でも元が分からん」


倒しても倒しても出てくるオオバチがどこから来てるかが分からず、ジリ貧になりつつあった。


「あ、しまったです!」


考え込んでいると、クレアロッテの声が耳に届いた。


「耳折れ? どうした」


「二一さん、ごめんなさいです。1匹オオバチを逃してしまったです」


「オオバチが逃げたのか。まぁ別に戻って仲間を呼ばれても別に一緒……、あ!」


その時二一は閃いた。


「耳折れ、どうしてオオバチは逃げた?」


「えっ、えーとですね。針を折ったんです。そしたら、急に戦意が無くなって……」


「なるほど……。試すか……」



その次にあまりオオバチの数が多くない襲撃が来た時に、作戦を実行した。


「よし、1匹上手いこと針を折ったな」


すると先程クレアロッテが倒したオオバチ同様、急に向きを変えて逃げ出した。


「よし、追っかけるぞ」


二一の作戦はオオバチふくめ、魔物の出処を狙うものだった。


オオバチの情報は情報通で知ることができたが、オオバチが逃げる事への情報は得られなかった。


オオバチは高い攻撃力と凶暴性から、出会うなら原則逃げの一択しかない。


万が一戦うなら、低い耐久をついて一撃で倒してしまうのが安全である。


つまり、中途半端にダメージを与える、ましてや針だけを折るなど、ただのリスクの高い行為でしかなく、誰もやっていなかった。


誰も知らないことは、情報通は知ることは出来ない。それが情報通の僅かな弱点だった。知っていることしか知らない。


だから、二一は確信を持った訳ではなく、推定での行動だった。


「これで何かわかるのっ」


「テレビでハチの巣を駆除する時に、ハチを1匹捕まえて、そいつを追っかけてハチの巣を見つけるやり方を見たことがある。理屈が一緒かは知らんが、試しただけだ」


そして4人はオオバチを追いかけた。


「ビンゴか?」


オオバチを追いかけると、かなり深い茂みを抜けた後の、岩の塊の小さな石の隙間に逃げ込んだ。


「あれは外からじゃ岩にしか見えないです」


「上も塞がってるから、鳥人族も分からなかったよねっ」


「中は空洞化してるのでございますか?」


「とりあえず、入ってみっか。マシンガンで」


二一はマシンガンを構えると、オオバチがはいった隙間のあたりの岩を攻撃した。


激しい轟音で岩が砕け、岩の中がむき出しになった。


「な、なんだ?」


その中の光景は冷静な二一をしても、流石に予想外だった。


先程までは、全く人の手の入っていない自然だったのに、岩の内部には紫の魔法陣が地面に描かれ、不気味な薬が周りにあり、それはまるで怪しげな科学者の部屋のようだった。


ピカッ!


すると魔法陣が黒く輝きはじめた。


「おおっ?」


魔法陣の輝きが治まると、そこには魔物が現れた。


「えいっ」


先手必勝とばかりに、歩が光魔法をあて、魔物を倒した。


「ナイスだナイス。どうやらここがいわゆる蜂の巣って訳か」


改めて確認して見ると、禍々しい紫の魔法陣はまさに怪しかった。


「これを、壊せばいいのかなっ」


「いや、待て。壊してめちゃくちゃ出てきても不味い。調べてからだ」


『魔法陣』


闇魔法使い及び上級の魔物が作り出すもので、魔物の死骸を使って作る。その、死骸に使った魔物を一定期間排出することができる。

魔王や幹部が作る魔物よりも性能はおちる。

魔法陣の破壊は作った本人による解除か、より大きい闇魔法を使う。それ以外で攻撃すると、魔法陣に魔力が吸い取られる。


「やっぱ危なかったな」


情報通の効果で、魔法陣の解除方法も分かった。


「闇魔法なら、こいつだ」


そして二一はドゥンケルハイトを取り出し、魔法陣に刺した。


キィィィィィィィン!


すると全員が耳を塞ぐほどの高い音がなり、


バリン!


魔法陣はガラスが割れるようにその魔法陣は形を失った。



「これは成功か?」


もちろんこの二一の問の答えが分かるのは作った存在だけである。


「あらら〜、これはすっかり破壊されちゃったねー。うんうん成功だよ」


そして急に聞こえた声は、その二一の問に答えた。


「誰だ!?」


「初めまして〜、魔国四人衆が1人、クサブエだよー」


現れたのは全身緑色の少年の様な見た目だったが、背中の紫の羽や長すぎる手足は魔物を感じさせた。



「四人衆だと?」


『魔国四人衆』


魔国の長はもちろん魔王。2番手に側近がおりその次が四天王に当たる。そして、更にその次の4人、いわゆる幹部候補に当たる4人を四人衆という。


こちらはあまり一般的でも無く、入れ替わりも多いので、情報は無いが、つまりは魔国における7位から10位に当たる。


「マジか……」


二一含め全員に緊張が走った。


数が圧倒的な魔物においての実力者、しかも何をしてくるかも分からない。となれば気を抜くことは出来なかった。


「そんな警戒しないでー。何もしないよー」


クサブエは高い声で答えた。


「何もしないわけ無いだろう」


「いや、ほんとに僕は焦ってるんだってー。僕は魔法陣を作っておいて、そこから戦うんだ。準備をしとかないと戦えないんだよ。僕自身の戦闘力は低いんだ、おっと」


「じゃあ倒すまでだ」


クサブエが話している間に、二一がマシンガンで攻撃した。


「うーん、不意打ちも猫ちゃんと狐ちゃんまでいちゃ無理だしなー。ねーねー、見逃してくれない?」


「見逃す義理がない」


「そっかー、まぁ逃げるけどね。もうマーク森林には用事ないし、ベルナリンプで魔王様のお手伝いしなきゃだし。ここには手出しにこないから、魔法陣壊せる人がいるんじゃ意味無いし、じゃねー」


「逃げられたか……」


まるで先程までいたのがまぼろしかのようにクサブエは逃げてしまった。


「もう良いじゃん二一ちゃんっ。今回はこれでっ」


「はい。これで魔物退治も終わりましたです」


「相手の力も未知数。ここは引き分けでよしと致しましょうでございます」


「……ああ。そろそろ帰らんとピッキーも、心配するか」


二一としてはめんどくさいことを後にするのは嫌だったが、とりあえず目標は達成したので納得して帰ることにした。








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