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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第一章 犬の丘のにぎやかな毎日 ―― 走って、吠えて(吠えられなくて)、また走って

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第五話 プードルの「賢い」は嬉しいけれど

その日の昼すぎ、プードルは丘のてっぺんに一匹でいた。


草がやわらかくて、風が気持ちいい。ボーダーコリーの計画書を最後まで読んだ日から少し経つ。


あの日、「一言で言えた」と言われたボーダーコリーの顔が、何となくまだ頭に残っている。あの顔が悪かったわけじゃない。でも、何かが引っかかっている。


そこへ、バセットハウンドがのっそりとやってきた。


「どうした」


と、プードルが聞いた。


「においの図書館に追加があってな」


「ありがとう。でも今日は何も調べてないよ」


「おまえじゃなくて、おまえのことを調べてた」


プードルは首をかしげた。


「おれのこと?」


「うん。今日、少し元気がなかった。においでわかった」


プードルは少し黙った。


バセットハウンドは何も言わずに、どかりとプードルのそばに座った。急かさない。ただいる。それだけだ。


「……ボーダーコリーと知恵比べをしたら、また引き分けになった」とプードルはゆっくり言った。「それ自体はいいんだけど、引き分けになるたびに、周りのみんなが「やっぱり」って顔をするんだ。「賢いもんな」って。それがなんか……」


「なんか?」


「嬉しいのか、嬉しくないのか、よくわからなくなる」


バセットハウンドは、ふんふんと鼻を動かした。考えているときの癖だ。


「おれも似たことがある」


「バセットハウンドが?」


「においの話をすると、だいたい「さすが」って言われる。でも「さすが」って言われると、なんか……鼻だけの子みたいな感じがして、ちょっと複雑だ」


プードルは少し笑った。


「わかる。それわかる」


「そうだろ」


ふたりはならんで、丘の下を見た。グレイハウンドが走り比べコースをひとりで走っている。ハスキーがショロイツクインツレとならんで日向に座っている。柴犬とフレンチブルドッグが何かを言い合っている。


いつもの犬の丘の、いつもの午後だ。


「賢いのは本当のことだろ」


と、バセットハウンドが言った。


「そうだけど」


「本当のことを言われるのが嫌なわけじゃないんだな」


「うん。ただ……賢いだけじゃないところも、あるんだけどな、って」


「そっちは?」


プードルはすこし考えた。


「泳ぎも得意だよ。でも言ったことがない」


「なんで」


「なんとなく、賢い子がそういうこと自慢しても、って思って」


バセットハウンドは耳をぴくんとさせた。


「もったいないぞ」


「そうかな」


「そうだ。おれはにおいだけじゃなくて、昼寝も得意だ。そっちを言うようにしてから、少し楽になった」


プードルはしばらく黙って、それから声を上げて笑った。


「昼寝が得意……」


「今日はもう三回寝た」


「それはすごい」


「だろ」


夕方の風が丘の上をわたった。草がさらさら揺れた。


プードルはその日の夕方、水難救助プールでひとりで泳いだ。


冷たかった。気持ちよかった。


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