表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第六章 はじめての広場 ―― ちがうから、おもしろい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/50

第十一話 チワワとピグミーマーモセット、小さいもの同士 語り手:チワワ



広場の端に、ものすごく小さいものがいた。


おれよりも小さい。


おれは世界でいちばん小さい犬の種類だと言われている。それなのに、目の前にいるのはおれより小さい。


「おまえ、何者だ」


「ピグミーマーモセット。サルだ」


「サルでそんなに小さいのか」


「世界でいちばん小さい霊長類らしい」


「おれは世界でいちばん小さい犬だ」


「そうか」


おれたちはしばらく向き合った。


「おまえが広場の扉を最初に開けたのか」


「そうだ」


「なんで」


「来たかったから」


「怖くなかったか」


「怖かった」


「でも開けたのか」


「開けた」


おれはピグミーマーモセットを見た。小さい体で、小さい前足で、でも目がまっすぐだ。


「おれも似たことがある」とおれは言った。


「何が」


「怖いのに前に出ること。なんでそうするのかわからないけど、体が前に出る」


「わかる」とピグミーマーモセットが言った。


「わかるのか」


「同じだから」


おれはしばらく考えた。


「小さいと、「なんでおまえが前に出るんだ」みたいな顔をされる」とおれは言った。


「おれも同じだ」


「腹が立つか」


「立つときもある。でも、気にしないようにした」


「どうやって」


ピグミーマーモセットは少し考えた。


「前に出ることに意味があるから、出る。だれかに認めてもらうために出るんじゃない。そういうことにした」


おれは少し黙った。


「……おれも、そういうことにする」


「ただ、おれとおまえで、理由が違うかもしれない」


「何が違う」


「おれは「来ないと、ずっと怖いままだから」前に出る。おまえは?」


おれは考えた。


「……おれは「怖くても、行かないと気が済まない」から前に出る」


「うん。違うな」


「違うな」


「でも、前に出るのは同じだ」


「同じだ」


「仲間だな」


「仲間だな」


ふたりで、噴水のそばに座った。


「怖いものって、いるか?」とピグミーマーモセットが聞いた。


おれは少し考えた。


「……大きい肉食動物、は、正直少し怖い」


「おれも」


「でも向かっていくだろ」


「向かっていく。怖いから向かっていかないといけない」


「同じだ」


「同じだ」


ふたりで、しばらく黙っていた。


「……いつか、そういう子が来るかもしれないな」とおれは言った。


「この広場に?」


「この国に、もっといろんな子が来るかもしれない。おれたちが知らない種族も」


ピグミーマーモセットは空を見た。


「……来たら、また前に出ればいいか」


「おれもそうする」




黒板に、ふたりが刻んだ。


チワワ:「小さいのに前に出る仲間がいた。サルだった」


ピグミーマーモセット:「前に出る理由は、出たいからだ。それだけでいい」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ