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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第六章 はじめての広場 ―― ちがうから、おもしろい

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第十話 みんなで落とし物を探した日    語り手:シンガプーラ



落とし物ボックスに、わけのわからないものが入っていた。


広場の端に、木でできた小さな箱がある。落とし物を入れておく箱で、「これ誰の?」と刻んだ板が貼ってある。ネザーランドドワーフが設置した。


その箱を開けたら、中にいくつかものが入っていた。


石が一個。羽が一本。草の束。貝殻。それから、読めない字が刻まれた小さな石の板。


「だれの?」


おれは広場にいた子たちに聞いて回った。


ホーランドロップ、レックス。ヨウム、コールダック。チンパンジー。ボーダーコリー、グレイハウンド。ベンガル。


みんなに見せたが、「自分のじゃない」と言う。


「石はどう見てもふつうの石だ」とグレイハウンドが言った。


「どこにでもある石だ」とボーダーコリーが言った。


「羽はどの種類だ」とヨウムが長々と説明を始めた。コールダックが「わかんなかった」と要約した。


「草の束はナキウサギっぽい」とホーランドロップが言った。でもナキウサギに見せたら「自分のじゃない」と言った。


「貝殻は……」とチンパンジーが貝殻をしげしげと見た。「川か海の貝だ。ここの近くで採れるものじゃない」


「どこから?」


「わからない」


「石の板の字、読める子いる?」とおれは言った。


全員が石の板を見た。だれも読めなかった。


「古い字だ」とヨウムが言った。「あるいは違う種族の文字か」


「どこから来たんだ」


「……わからない」


少しの間、みんなが黙った。


「何かから来たものだ」とボーダーコリーが言った。「ここ以外の場所から」


「ここ以外の場所って」


「わからない。でもここに置かれているということは、だれかが意図的に入れた」


「なんで」


「届けたかったんじゃないか」


全員でもう一度、落とし物ボックスの中身を見た。石、羽、草の束、貝殻、石の板。




そのとき、バセットハウンドがすっと近づいてきた。


貝殻に鼻を近づけた。


ふんふん、と。もう一度。


「……海のにおいがする」


「海?」とレックスが聞いた。


「うん。それから、深いところの水のにおい。それから……知らないにおいだ。ここじゃない、どこか遠くの」


「ここじゃない、どこか遠く」


「うん。でも、嫌なにおいじゃない。穏やかなにおいだ」


バセットハウンドは石の板にも鼻を近づけた。


「……これも同じにおいがする。貝殻と同じ場所から来たものだ」


全員が黙った。


ゆっくり考えた。


「来年の春に、もう一回確認しよう」とレックスが言った。


「なんで春」


「春になると、何かが動き出す気がする。特に根拠はないが」


「それは根拠にならない」とボーダーコリーが言った。


「でも何かが動き出す気がする、っていうのはわかる」とホーランドロップが言った。


「そういうことにしておこう」とおれは言った。


ものは全部、また落とし物ボックスに戻した。




全員がそれぞれ黒板に刻んだ。


ヨウム:「落とし物ボックスに不明なものがあった。詳細は聞きに来ること」


コールダック:「貝殻があった。川か海から来たものかもしれない」


チンパンジー:「読めない字の石の板があった。解読できなかった。来年また試みる」


ボーダーコリー:「何かを届けようとした者がいる。だれなのかはわかっていない」


グレイハウンド:「難しい話の間、昼寝していた。よく眠れた」


ベンガル:「謎は謎のままでいいこともある」


ホーランドロップ:「春になると何かが動き出す気がする」


レックス:「触り心地のいい草の束が入っていた。だれのだろう」


シンガプーラ(わたし):「これを入れた子は、ここのことを知っていたはずだ」




その夜、バセットハウンドは広場の端に立って、もう一度空気をかいだ。


貝殻のにおいは、地面のほうから来ていた気がする。上からではなく、下から。


「……下か」


ひとりごとを言った。


地面の下に、何かがいるのかもしれない。


でもバセットハウンドは急がない。においはまだここにある。いつかわかる。


ゆっくりした足取りで、昼寝の場所へ向かった。


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