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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第六章 はじめての広場 ―― ちがうから、おもしろい

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第八話 スフィンクスとショロイツクインツレ、はじめて話した日   語り手:スフィンクス



エリアが違う。だから、会ったことがなかった。


でも、似ていると思っていた。毛がない、ということが。




広場でひとりでいたとき、ショロイツクインツレが来た。


見たことがある。遠くから見たことが、何度かある。


近くで見ると、肌の色がわたしと少し違う。わたしはしわしわとした感じで、ショロイツクインツレはなめらかだ。でも、毛がないのは同じだ。




ショロイツクインツレは、メキシコ生まれの犬だ。古代アステカ文明の時代から人間とともに生きてきた、歴史ある珍しい犬だ。最大の特徴は、ほとんど毛がないこと。肌がそのまま見えている。体温がとても高く、そばにいるとほんのり温かい。「天然カイロ」と呼ばれることがあるが、本人はちょっと複雑な顔をする。




「スフィンクスか」とショロイツクインツレが言った。


「そう。あなたがショロイツクインツレ」


「そうだ」


ふたりで少し黙った。


「……毛がない」とわたしは言った。


「毛がない」とショロイツクインツレも言った。


「気になる?」


「気になる」


「わたしも気になる」


「どのくらい気になる」


「触られるとき、少しだけ」とわたしは言った。「ふわふわじゃないから、相手がびっくりする。最初だけだけど」


「触られると?」


「おれも同じだ。触るとあったかいから、「あ」という顔をされる」


「「あ」ってどういう「あ」?」


「驚いた「あ」。あったかいとは思っていなかった「あ」。そのあとは「すごい」と言われることが多い」


わたしも同じだった。


「……同じだ」


「おれたちは似てるな」


「会ったことがなかったのに」


「エリアが違うから」


しばらく、ふたりで噴水を見ていた。


「毛がないことを、どう思ってる」とショロイツクインツレが聞いた。


「複雑」とわたしは正直に言った。「他の子のふわふわを見ると、少し羨ましくなる。でも、体温が伝わりやすくて、それはいいことだと言われる」


「おれも複雑だ。冬はきつい。でも、ハスキーと並ぶと、おれが少し暖かくて、あいつが少し涼しくて、ちょうどいいらしい」


「ちょうどいい」


「うん。ふたりにとって、ちょうどいい。それを知ってから、少し楽になった」


わたしはショロイツクインツレを見た。


似てる。でも、違う。毛がないという共通点はあるが、エリアも、体の感じも、冷たいのが好きか暖かいのが好きかも、ちゃんと違う。


「……エリアが違っても、話せるんだな」


「話せた」とショロイツクインツレが言った。


「また来る?」


「来る。ここは来やすい」


「そうだな。どのエリアでもない」


「どのエリアでもない場所が、ちょうどいい」




ふたりで黒板に刻んだ。


スフィンクス:「エリアが違っても、同じ悩みを持つ子がいた」


ショロイツクインツレ:「体温が高いのは、役に立つことがある」


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