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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第六章 はじめての広場 ―― ちがうから、おもしろい

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第五話 猫がサルに、真似された 語り手:ノルウェジアン



木の上から見ていた。


広場の中を、チンパンジーが歩き回っている。石畳の模様を見たり、噴水の仕組みを確かめたり、でかい木の根の広がり方を調べたりしている。


わたしも高いところから観察するのは好きだ。


だから降りていった。




チンパンジーは、木の根の一本をのぞきこんでいた。


「何を見てる」とわたしが聞いた。


「根の深さを確かめてる。この木がどこまで根を張っているかが気になって」


「わかるの?」


「地面のやわらかさを触れば、だいたいわかる」


「へえ」


チンパンジーはわたしを見た。


「おまえは木に登るのが得意だろう」


「得意だ」


「根元から見ると、木はどう見える?」


わたしは根元を見た。


「……上に行くほど枝が増えていく。でも根元は一本だ。全部ここから始まってる」


「それが面白い」とチンパンジーが言った。「一本の幹が、こんなに広がる。枝も、根も」


「そうだな」


チンパンジーはわたしの動きを少し見ていた。


それから、同じように木の根をよじよじと登ろうとした。


チンパンジーは器用だから、木登りも得意だ。でもわたしの登り方と少し違う。


「……登り方を真似した」とわたしは言った。


「そうだ。足の使い方が違う。参考にしたかった」


「真似されるのは嫌じゃないが、なんか変な感じがした」


「変な感じ?」


「見られながら真似されると、なんか、じろじろ見られてる気がして」


「それは申し訳なかった」とチンパンジーが言った。「一言言うべきだった。「真似していいか」って」


「……そうだな。一言あれば変な感じはしなかった」


「覚えておく」


チンパンジーはまた木に前足をかけた。


「「真似していいか」」


「どうぞ」


チンパンジーはわたしの登り方をよく見て、同じように足を使った。少しぎこちなかったけど、登れた。


「……なるほど、こうか」


「うまいじゃないか」


「おまえのほうがずっとうまい」


「慣れの差だ」


木の枝から、ふたりで広場を見おろした。


石畳が広がっていて、噴水がある。でかい木の黒板に、だんだん字が増えてきている。


「いい景色だ」とチンパンジーが言った。


「うん」


「猫も木の上が好きか」


「好きだ。ひとりで考えるのに向いてる」


「今日はひとりじゃないが」


「今日は、それでいい」


チンパンジーは少し笑った。


ふたりでしばらく、木の上から広場を見ていた。


同じ高さから、同じ広場を見ている。


「また登っていいか」とチンパンジーが言った。


「どうぞ。ただし一言言ってから」


「わかった」




黒板に、ふたりが刻んだ。


ノルウェジアン:「木の上から見ると、広場は小さく見える。でも、そこにいると広い」

チンパンジー:「真似するときは一言聞く。覚えた」


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