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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第六章 はじめての広場 ―― ちがうから、おもしろい

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第四話 サルが犬に触った日 語り手:ゴールデンレトリバー



広場に来るのは毎日だ。


来るたびに、黒板に何か刻まれている。だれが刻んだかはわからない。でも毎日少しずつ増えていく。今日もそれを見ようと思って来たら、サルがいた。


ワタボウシタマリンと、その弟だ。


ふたりで広場のど真ん中にいた。弟のほうは噴水の縁の上に乗ろうとしていて、兄のほうが止めようとしていた。


「危ない」


「危くない」


「落ちたら濡れる」


「濡れたらいい」


「水が冷たい」


「冷たかったら出ればいい」


朝の広場に、そのやりとりが響いていた。


わたしは噴水のそばへ歩いていった。


「こんにちは!」


ふたりが振り返った。


「犬だ」と弟が言った。


「うん、犬です! ゴールデンレトリバーです!」


「大きい」


「ありがとう!」


「褒めてない」


そのとき、弟がわたしの毛に触れた。ちょこん、と。前足の指先で、ぽんと。


「……ふわふわだ」


わたしはしっぽを振った。


「よく言われます!」


弟はもう少し触った。ぽんぽんと。


「すごくふわふわだ」


「ありがとうございます!」


兄が少し引いた顔をしていた。


「急に触るな」


「ふわふわだから触った」


「相手が嫌かもしれない」


「嫌じゃないですよ!」とわたしは言った。「触ってもらうの、嬉しいです!」


「本当に嫌じゃないのか」と兄が申し訳なさそうに聞いた。


「本当に! どんどん触っていいです!」


弟はもっと触った。兄も、おずおずと少し触った。


「……確かにふわふわだ」と兄が言った。


「よかった!」


三匹でしばらく、噴水のそばに座った。


「サルのこと、怖いと思ったりしないか?」と兄が聞いた。


「全然!」とわたしは言った。「みんな友達!」


「今日会ったばかりでも?」


「はい!」


兄はしばらく何も言わなかった。


「……それはすごいな」


「そうですか?」


「ほとんどの子は、知らない相手には少し時間がかかる」


「あ、そうなんですか」


「おまえは最初から全開だ」


「そういう性格なんです!」


弟がまたわたしの毛を触った。


「兄ちゃん、ここ来てよかったな」


「……そうだな」




黒板に、三匹が刻んだ。


ゴールデンレトリバー:「みんなに会えた! うれしい!!」

ワタボウシタマリン(兄):「サルも来てみた。広場は中立地帯らしい」

ワタボウシタマリン(弟):「ゴールデンレトリバーはふわふわだった」




その日の夕方、ゴールデンレトリバーが犬の丘に帰ると、柴犬がてっぺんにいた。


「サルと話した」とゴールデンレトリバーが言った。


「そうか」


「最初にいきなり触ってきた。でも悪意はなかった」


「サルはそういうもんだ」


「そうなんですか?」


「そういうもんだ」


柴犬は空を見たまま言った。それ以上は何も言わなかった。でも、その言い方が、「それでいい」という意味に聞こえた。


ゴールデンレトリバーはしっぽを振った。


広場には、また来よう。


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