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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第六章 はじめての広場 ―― ちがうから、おもしろい

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第二話 犬と猫が、同じ場所にいた 語り手:三毛猫



扉が開いていることに気づいたのは、シャムだった。


当然といえば当然だ。


「広場の扉、開いてる! 中に黒板があって、字が刻まれてる!」


朝の猫の路地に、シャムの声が響いた。


わたしは日向ぼっこデッキで目を細めた。また始まった。


「どんな字が?」


「「こんにちは」って、二回! 爪あとの太さが違うから、ふたりが刻んだ!」


「ふたりが別々に「こんにちは」と刻んだってこと?」


「そう! おもしろくない?!」


おもしろいかどうかはわからないけど、気にはなる。


わたしは立ち上がった。




広場は、思っていたより広かった。


石畳が続いていて、噴水がある。噴水の水音は、ずっとこっちまで届いていた音だったんだ、と思った。


でかい木の黒板は、本当に大きかった。


近づいて、目を細めて文字を追った。「こんにちは」が、ふたつ。爪あとの太さが違う。


「かわいい」とシャムが言った。


「どっちが先に刻んだんだろう」


「小さいほうが先だと思う。なんかそんな感じがする」


わたしもそう思った。


そのとき、足音がした。犬の足音だ。複数いる。


わたしとシャムは振り返った。


フレンチブルドッグとゴールデンレトリバーが広場に入ってきた。向こうもわたしたちに気づいて、止まった。


しばらく、四匹が広場の真ん中で向き合った。


「……猫がいる」とフレンチブルドッグが言った。


「……犬がいる」とシャムが言った。


「入っていいですか」とゴールデンレトリバーが言った。真剣な顔で。


わたしは少し考えた。広場はだれのものでもない。入ってきていけない理由もない。


「どうぞ」


「ありがとうございます!」


ゴールデンレトリバーはそう言って、ものすごい速さで広場に走り込んできた。


「わあ、広い! 噴水だ! でかい木の黒板だ! 「こんにちは」って刻まれてる! かわいい!」


シャムが少し圧倒されていた。


フレンチブルドッグは、もう少し慎重に入ってきた。広場の石畳を踏んで、あたりを見渡した。


「思ったより広いな」


「そうね」とわたしは言った。


「猫はここに来たことあるのか」


「今日が初めて」


「おれたちも」


「扉、いつから開いてたんだろう」


「わからない。気づいたら開いてた」


わたしとフレンチブルドッグは、しばらくならんで黒板を見た。


「刻もうかな」とフレンチブルドッグが言った。


「チョークがある」


フレンチブルドッグはチョークを取って、少し考えてから刻んだ。「犬も こんにちは」


わたしはチョークを受け取って刻んだ。「猫も こんにちは」


ゴールデンレトリバーが「わあ、増えた!」と言った。シャムが「おもしろい!」と言った。


四匹で黒板を見た。「こんにちは」「こんにちは」「犬も こんにちは」「猫も こんにちは」。


なんだかおかしくて、笑いたいような気持ちになった。


わたしは笑わなかったけど、すこし口元が動いた。


隣でフレンチブルドッグが、これもすこし口元を動かしていた。


「また来ていいか」とフレンチブルドッグが言った。


「わたしが許可できることじゃないけど」


「そうだな」


「来たければ来ればいいんじゃないかと思う」


「そうだな」


ゴールデンレトリバーはすでに噴水のそばにいた。噴水の水を前足でつついていた。楽しそうだ。シャムは「今日のこと絶対みんなに話す」とすでに路地の方向を向いていた。


わたしはもう一度黒板を見た。「こんにちは」が、四つになっていた。


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