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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第五章 サルの森のさわがしい毎日 ―― 独り占めしたい気持ちと、手放す勇気

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第四話 ワタボウシタマリン、双子の弟が言うことをきかない



ワタボウシタマリンには、双子の弟がいる。


名前もワタボウシタマリンだ。ふたりは「兄」と「弟」と呼ばれている。弟は、なかなか言うことをきかない。




ワタボウシタマリンは、コロンビアに生きる小型のサルだ。頭部の白いわた帽子のような毛が特徴で、体はとても小さい。双子を産む習慣があり、父親が育児の中心を担うことが多い。世話焼きな性格で、仲間が困っていると放っておけない。




「こっちに来い」と兄が言った。


「嫌だ」と弟が言った。


「危ないから降りてこい」


「危くない」


「落ちたらどうする」


「落ちない」


弟は発明工房の屋根の上にいた。いちばん高いところだ。


「チンパンジーに怒られるぞ」


「チンパンジーはいない」


「帰ってきたら怒られる」


「帰ってきたら降りる」


兄はため息をついた。理屈が通っているようで通っていない。


うろうろしていたら、クモザルが高い木のブランコから降りてきた。




クモザルは、中南米の熱帯雨林に生きるサルだ。手足と尻尾の五本を全部使って、木の間をすばやく移動する。アクロバットが得意で、高いところが好きだ。




「屋根の上、楽しいか」とクモザルが弟に言った。


「楽しい! 景色がいい!」


「そうだろうな。おれも高いところが好きだ」


クモザルは屋根の高さを見た。クモザルが毎日いる木の高さに比べたら、かなり低い。


「危なくはないと思うが」とクモザルが兄に言った。


「そういうことじゃない。いつの間にかいなくなってるのが問題だ」と兄は言った。


「気づいたらいた」と弟が言った。


「気づいたらいたって、どうやって登った」


「……わからない」


「わからないのか!」


「自然に登った」


クモザルは少し考えてから、屋根の上に軽々と跳び上がった。弟のそばに降り立った。


「こっちから見ると、いい景色だな」


「でしょ!」


「ただ、降りるときは気をつけたほうがいい。登るより降りるほうが難しいから」


「どうやって降りればいい?」


「後ろ向きで降りると楽だ。足から先に」


「教えてくれる?」


クモザルが手順を見せた。弟はそれを見て、同じようにゆっくりと降りた。


地面に着いた。


「できた!」


「うん。次からはそうやって降りろ」


弟は兄を見た。兄は安心した顔をしていたが、すぐに困った顔になった。


「だから最初から登るな」


「登りたかった」


「なんで」


「高いところが好き」


「……そういうことを、登る前に言え」


「言ったら止められる」


「止める」


「だから言わない」


ため息がふたつ重なった。兄のため息と、クモザルのため息だ。


「弟の気持ちはわかる」とクモザルが言った。「高いところは気持ちいい。でも、登る前に一言言えば、だれかが一緒に来てくれるかもしれない」


弟は少し考えた。


「一緒に登っていい?」


「おれはいい」とクモザルが言った。


「じゃあ次は言う」


兄はもう一度ため息をついた。


「次は止める」


「止めてみろ」


「止める」


「無理だ」


「……試す」


クモザルは高い木のブランコへ戻りながら、小さく笑っていた。兄弟というのは、面白いものだ。


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