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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第五章 サルの森のさわがしい毎日 ―― 独り占めしたい気持ちと、手放す勇気

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第三話 マンドリルのかおのひみつ



マンドリルは、中央アフリカに生きる霊長類の中で最も大きい地上性のサルだ。オスの顔は青・赤・黄と鮮やかな色に彩られている。この色は健康状態や興奮度によって変化する。派手な顔は威嚇や求愛に使われるが、同時にとても目立つ。


マンドリルはそれが気になっている。




その朝、マンドリルは池の水面に顔を映していた。


青と赤と黄色が、水の中に映っている。


静かな池だ。風がないから、水面がほとんど揺れない。揺れない分、顔がくっきりと映る。青い線と赤い面と黄色い縁が、そのまま映る。


「……今日も派手だ」


「派手だな」とホエザルが通りがかって言った。




ホエザルは、中南米の熱帯雨林に生きるサルだ。陸上の動物の中で最も大きな声を出すといわれていて、その声は数キロ先まで届く。本人が一番困っている。




「わかってる」


「かっこいいと思うけど」とホエザルが言った。かなり大きい声で。


「そういう問題じゃない。見られる。どこにいても顔が目立つから、すぐ見つかる。たまには隠れたい」


「おれも似たことがある」


「声か」


「うん。静かにしたいときに声が大きすぎる。内緒話ができない」


マンドリルは水面を見た。


「……じゃあ、お互いそういう体か」


「そうかもしれない」


「慣れるものか」


「慣れはしない」とホエザルは言った。「ただ、しかたないとは思ってる。生まれつきだから」


「しかたない、か」


「うん。でも」とホエザルはすこし声を落とした。それでもかなり大きかった。「おれの声で、森のみんなが朝に起きるだろ。あれ、おれにしかできないことだとは思う。みんな迷惑そうだけど」


マンドリルは少し笑った。


「……それはそうだな」


「マンドリルの顔も、同じじゃないか。目立つから、みんなが覚えてる。よく見つけてもらえる」


マンドリルは水面を見た。青と赤と黄色の顔が映っている。


「……目立つことと、すぐ見つけてもらえることは、同じことか」


「同じことだと思う」


マンドリルはしばらく黙っていた。それから、水面から顔を上げた。


「……まあ、そういうことにしておく」


「それでいい」とホエザルが言った。かなり大きな声で。


マンドリルは苦笑いした。


「静かにしろ」


「してる」


「してない」


「してる」


この会話がかなり遠くまで聞こえていたが、ふたりは気づかなかった。


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