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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第四章 トリの枝道でうたう ―― その声は、誰かの心にとどいている

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第七話 トリの枝道の歌合戦



「歌合戦をやろう」と言い出したのは、セキセイインコだった。


「ルールは?」とキンカチョウが聞いた。


「歌う。それだけ」


「審査は?」


「しない。ただ歌う」


「それは歌合戦なのか」


「楽しいから歌合戦だ」


そういうわけで、歌合戦が開かれた。




夕方の枝道に、全員が集まった。歌ステージに一匹ずつ上がって、歌う。それだけだ。


セキセイインコが最初に上がって、歌いながら話した。何を言っているかよくわからなかったけど、元気だった。


コンゴウインコは歌ではなく、羽を広げて見せた。「これも表現だ」と言った。だれも反論しなかった。


オカメインコは小さな声で短い歌を歌った。冠羽がずっとぴんと立っていた。歌い終わったとき、冠羽が急に横に広がった。


「今の冠羽は?」とセキセイインコが聞いた。


「恥ずかしいのか嬉しいのか、両方」とオカメインコが言った。


ハトは「歌を知らない」と言ったが、「帰巣本能についての即興詩」を読んだ。韻を踏もうとした形跡があった。うまくいっていない箇所が多かった。本人は気にしていなかった。


コザクラインコはセキセイインコのそばから離れたくなかったが、セキセイインコが「行っておいで」と言ったので、ステージに上がった。小さな声で、まっすぐ歌った。歌い終わって「よかったよ」とセキセイインコが言った。コザクラインコの羽がふくらんだ。


キンカチョウはステージには上がらず、全員の様子を記録した。「個人的には上がりたくない」と言った。だれも無理強いしなかった。


キバタンはものすごい声で歌った。音程は関係なかった。でも全力だった。歌い終わったとき、自分で泣いた。感動したらしい。


コールダックは「農業の歌」を歌った。「種をまいて、水をやって、育てる」という内容だった。シンプルだったが、ニワトリが「いい歌だ」と言った。


ニワトリはステージに上がって、いつもの朝の鳴き声を出した。


全員が少し目を覚ます感じがした。


「朝じゃないのに朝の感じがする」とコザクラインコが言った。


「朝は気合だ」とニワトリが言った。


「哲学だ」とキバタンが言った。




そして最後に、カナリアが上がった。


枝道が静かになった。


カナリアは少しだけ空を見た。夕暮れが始まっていて、空が橙色と青の間の色になっていた。


歌い始めた。


最初の音が出た瞬間から、空気が変わった。


コンゴウインコは羽の手入れを止めた。ハトは上を向いた。コザクラインコはセキセイインコの羽に顔を埋めた。キンカチョウは記録するのを忘れた。


キバタンは泣いた。今日もまた、止まらなかった。


歌が終わった。


しばらく、だれも何も言わなかった。


「……いい声だ」とヨウムがようやく言った。


「うん」とオカメインコが言った。冠羽がゆっくり揺れている。


カナリアはステージから降りた。


「泣かせてしまった」と小さく言った。


「泣きたかったから泣いた」とキバタンが泣きながら言った。


「そういうものか」


「そういうもの!!」


カナリアは少しだけ、羽を膨らませた。




夜になって、みんながそれぞれの枝に戻った。


キンカチョウだけが残って、観察ノートの木の前にいた。


今日の記録を刻む。


歌合戦のこと、それぞれの歌のこと、キバタンが泣いたこと、カナリアの声のこと。くちばしで、ひとつひとつ丁寧に。


刻いていて、ふと思った。


今日の記録を、将来だれかが読むかもしれない。別のエリアの子が読むかもしれない。


「その日の夕暮れ、カナリアが歌った。空が橙色と青の間の色をしていた」。


そう刻んだ。


それから、足あとのことも刻んだ。


「共用エリアの地面に、複数の足あとが残っているという。ヨウムから聞いた。いつか確かめに行く必要があるかもしれない」。


ノートを閉じた。空を見た。


星が出ていた。


どこか遠くで、草が揺れる音がした。ウサギ草原の方向だろうか。


そこでも今頃、だれかが空を見上げているかもしれない。




その頃、サルの森では――


ニホンザルが温泉の縁に腰をおろして、湯気の向こうを見ていた。


遠くから、かすかに声が聞こえた。


歌、だろうか。


「……うるさい」


ひとりごとを言った。


でも、温泉から出ようとはしなかった。


湯気に包まれながら、もう少しだけ聞いていた。


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