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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第四章 トリの枝道でうたう ―― その声は、誰かの心にとどいている

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第六話 ヨウムの話が長すぎる問題、カナリアが解決する



ヨウムは、中央アフリカに生きる大型のインコだ。灰色の体に赤い尾羽が特徴で、「鳥のアインシュタイン」と呼ばれることもある。語彙が豊かで、文脈を理解して言葉を使う。物知りで、少し偉そう。でも本当はさみしがりだ。説明が長い。




その日の昼、ヨウムが枝道のみんなを集めた。


「今日は面白いことを知ったので、共有する」


全員が集まった。


「動物の足あとには種族ごとに特徴があって、それを読み解くことで、だれがどこを通ったかを記録できる。これを「足跡学」という。まず足の指の数について説明するが、鳥類は基本的に四本指で……」


セキセイインコが枝の上で左右に揺れはじめた。


「……足指の形は三種類あって、前向きが三本で後ろが一本の「三前一後型」が一般的で……」


コザクラインコがセキセイインコにそっとくっついた。


「……一方で猛禽類は……」


キバタンの冠羽が完全に下がった。


「……この足跡学を応用すると、共用エリアの地面に残った足あとから、そこを通った種族がわかる可能性がある。つまり、扉の向こうに何が……」


「ちょっといい?」


カナリアが言った。


全員がカナリアを見た。


「なんだ」とヨウムが言った。少し意外そうだ。


「今の話、一言でいうと、足あとを見ると誰が来たかわかる、ってこと?」


「……そういうことだが、前提となる知識として足指の構造から……」


「それは後で聞く。まず一番大事なことだけ言ってくれる?」


ヨウムは黙った。


一番大事なこと。


「……共用エリアの地面に、いろんな足あとが残っていた。種類が違う。ということは、扉の向こうへ行ったことがある子が、複数いる可能性がある」


「それ、最初に言えばよかった」


「前提が必要だと思って……」


「みんな今の一言で、ちゃんと聞く顔になったよ」


ヨウムは全員を見た。


確かに、さっきまでよそ見をしていた子たちが、今は前を向いている。


「……そうか」


「詳しい話は、興味がある子が聞けばいい。全員に最初から全部言わなくても」


「……そういうものか」


「そういうものだと思う。ヨウムの話はおもしろいから、もったいない」


「もったいない?」


「最初に長いと、聞いてもらえない。でも一番大事なことを最初に言えば、もっと聞いてもらえる」


ヨウムは少し黙った。


それから言った。


「……それは知らなかった」


「うん」


「勉強になった」


「うん」




セキセイインコが「カナリアすごい」と小さく言った。キンカチョウが日誌に記録した。「カナリア:ヨウムの話を要約。全員が聞く態勢になった」。


ヨウムはしばらく考えてから、もう一度全員に向かって言った。


「共用エリアに複数の足あとがある。だれが行ったかはわからないが、扉の向こうを知っている子が、ここの中に何匹かいる可能性がある。以上だ」


「それだけ?」とコンゴウインコが言った。


「詳細が聞きたい者は、後で来るといい」


キバタンが羽を広げた。


「行く! 詳しく聞きたい!」


ヨウムは少し驚いた顔をした。それからゆっくり頷いた。


「……わかった。待ってる」


その夜、ヨウムとキバタンは観察ノートの木のそばで話し込んでいた。


ヨウムの話は長かったけど、キバタンは全部聞いた。泣いたり笑ったりしながら。


ヨウムは、だれかがちゃんと聞いてくれることが、思っていたより嬉しかった。


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