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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第四章 トリの枝道でうたう ―― その声は、誰かの心にとどいている

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第二話 ハトが迷子になった(でも認めない)




ハトは、中東から地中海沿岸が原産の鳥だ。人間と長い歴史を持つ鳥で、「伝書鳩」として遠い場所へ手紙を運んできた。帰巣本能が非常に強く、千キロ以上離れた場所からでも自分の巣へ帰れる。方向感覚が自慢だ。




ただし、トリの枝道のハトは、迷子になる。


なぜかはわからない。でも迷子になる。そして認めない。




その日の昼、ハトは枝道の外れを歩いていた。


「…………」


周りを見た。知らない木が続いている。


「…………」


もう少し歩いた。知らない岩がある。


「…………」


立ち止まった。


迷子だ。絶対に迷子だ。でも認めない。これは探索だ。


「あれ、ハト?」


声がした。キンカチョウだ。


「探索中だ」とハトは即座に言った。


「枝道からかなり離れてるけど」


「把握してる」


「じゃあ、どっちが枝道の方向?」


「……あっちだ」


「逆だよ」


「……そうか」


「一緒に戻ろうか」


「迷ってないが」


「わかった。一緒に枝道の方向へ向かおう」


キンカチョウはすたすたと歩き始めた。ハトはその後ろについていった。ついていく形になったが、ハトは「ついていっている」とは思っていない。同じ方向へ向かっているだけだ。


枝道に戻ると、セキセイインコが「あ、帰ってきた」と言った。


「探索から戻った」とハトが言った。


「迷子だったんでしょ」


「違う」


「キンカチョウが連れてきたじゃない」


「一緒に向かっただけだ」


セキセイインコはキンカチョウを見た。キンカチョウは日誌に記録していた。「ハト:迷子の状態で発見。本人は探索と主張。頑固さは変わらず」。


「ハトって帰巣本能あるんでしょ」とセキセイインコが言った。


「ある」


「じゃあなんで迷子に」


「迷子ではない」


「じゃあなんで「探索」のたびに違う場所にいるの」


「……地形を研究している」


「いつか認めると思うよ」


「認めることがない」




その夜、ハトは観察ノートの木のそばに立っていた。


木の幹の割れ目に、キンカチョウの日誌がしまってある。今日の「探索」のことも書いてある、たぶん。


ハトはしばらくそこに立っていたが、日誌には近づかなかった。


空を見上げた。星が出ていた。


帰巣本能はある。それは本当だ。自分の枝はいつでも帰れる。でも知らない場所に行くと、少し、わからなくなる。


「……地形を研究している」


もう一度、だれもいない場所で言った。


少しだけ、小さい声で。



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