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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第四章 トリの枝道でうたう ―― その声は、誰かの心にとどいている

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第一話 セキセイインコとオカメインコ、感情のすれ違い

トリの枝道は今日も、空が広い。 木の枝から見上げると、どこまでも青い。 ただし朝だけは、ニワトリの声で始まる。 問答無用で。




トリの枝道について


トリの枝道は、背の高い木々が並ぶ道だ。


枝が空へ向かって幾重にも広がっていて、その間を風が通る。風が来るたびに葉がさわさわと鳴って、木全体が話しているみたいだ。地面は木の根がうねって凸凹しているが、飛べる子たちにはあまり関係ない。


歌ステージがある。大きな枝が平らになった場所で、そこに立つと声がよく響く。カナリアが歌うと全員の目が潤むので、使用する前に申告するきまりになっている。


高さランキングの木もある。どこまで高く飛んで、どの枝に爪あとをつけられるかを競う木だ。コンゴウインコが一位を長い間守っている。印がついている場所は高すぎて本人しか確認できないが、だれも疑わない。


観察ノートの木は、キンカチョウが管理している。木の幹の割れ目にノートがしまってある。今日の出来事、気づいたこと、みんなの様子が細かく記されている。


そして毎朝、夜明けと同時に、ニワトリが鳴く。


ここに暮らすトリは、十一匹だ。


セキセイインコとオカメインコは、枝道でいちばんの仲良しだった。


のはずだった。




セキセイインコは、オーストラリア生まれのインコだ。体が小さくて、鮮やかな色の子が多い。歌いながら話すことがある。テンションが常に高い。朝から全力だ。


オカメインコは、オーストラリア生まれのインコだ。頭のてっぺんに冠羽という長い羽があって、これが感情に合わせて動く。嬉しいとぴんと立つ。怖いと下がる。リラックスすると横に広がる。本人の意思とは無関係に動くので、感情を隠せない。




その朝、ふたりは歌ステージの近くで向き合っていた。


「わたし、昨日のあれ、嬉しかったと思ってたんだけど」とセキセイインコが言った。


「あれって?」


「コンゴウインコが新しい羽の磨き方を教えてくれたやつ。すごいね、ってわたしが言ったら、オカメインコが黙ってたから」


「黙ってたわけじゃない」とオカメインコが言った。


「でも何も言わなかった」


「考えてた」


「考えてたの? なんで?」


「コンゴウインコの話、わたしはあまり興味が持てなくて。どう言おうか考えてたんだ」


セキセイインコは少し黙った。


「黙ってると、嬉しくないのかなって思った」


「嬉しくないわけじゃない。ただ興味が……」


「でも黙ってたら伝わらないよ!」


オカメインコの冠羽がぴんと立った。


「ごめん。でも何でも声に出せないこともある」


「わたしは声に出さないと気持ちが伝わらないと思ってる」


「わかってる。でもわたしは少し考えてから話す方が……」


「考えてる間に話が終わっちゃうじゃない!」


ふたりの声が少し大きくなった。


そこへ、キンカチョウが枝から降りてきた。




キンカチョウは、オーストラリア生まれの小さなトリだ。全身が白黒で、頬に丸いオレンジの模様がある。研究者みたいな気質で、観察日誌をつけている。意見は言わないことが多い。でもときどき、核心を突く。




「記録していいか」とキンカチョウが言った。


「今じゃないよ」とセキセイインコが言った。


「でも大事なことを言ってる気がして」


「大事かどうかはわからない」


「どっちの話もわかる気がする」とキンカチョウは言った。「セキセイインコは声に出さないと不安になる。オカメインコは声に出すまでに時間がいる。どっちも本当のことだ」


ふたりは黙った。


オカメインコの冠羽がゆっくり下がった。怒りではなくなった。困っている感じだ。


「……わたし、声に出すのが遅いのは直せないんだけど」とオカメインコが言った。


「直さなくていいと思う」とキンカチョウが言った。「ただ、考えてるってことを伝えるのはできるんじゃないか。「考えてるから少し待って」とか」


「……それなら言えるかも」


「わたしも待てる」とセキセイインコが言った。「待てないんじゃなくて、不安だっただけだから。ちゃんと待つって言ってくれたら」


オカメインコの冠羽が少しだけ、ぴんと立った。今度は嬉しいときの動きだ。


「……言う。これからは言う」


「うん」


「言えなかったときは、冠羽を見て」


「冠羽で感情がわかるの?」


「だいたいわかる」


セキセイインコはオカメインコの冠羽をじっと見た。


今はゆっくり揺れている。


「今は?」


「少し恥ずかしい」


「なんで」


「キンカチョウに全部見られてたから」


キンカチョウはすでに日誌に記録していた。


「記録していいか」


「もういい」とふたりが同時に言った。



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