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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第三章 ウサギ草原のふしぎな話 ―― 信じてほしいことが、ある

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第四話 ライオンヘッドの大風の日

その日の朝から、風が強かった。


ウサギ草原は風が通りやすい地形だから、強い日は草がべたんと倒れるくらい吹く。遠くまで草の波が広がって、草原全体が一方向に押されている。空は青いのに、地面だけがざわざわしていた。


ライオンヘッドは、朝から巣穴の入り口に座っていた。




ライオンヘッドは、ベルギーで生まれた品種のウサギだ。頭の周りだけに、ライオンみたいなたてがみ状の長い毛が生えている。もともとは突然変異で生まれた特徴で、その見た目が気に入られて品種として育てられてきた。たてがみが自慢で、毎朝三十分かけて整えている。強風の日は外に出たくない。たてがみが崩れるから。




「……絶対に出ない」


草原を見ながら言った。


草がべたんと倒れている。たてがみが今あの中に入ったら、想像するだけで嫌だ。


「出なくていいんじゃない」とレックスが言った。


レックスは、フランス生まれのウサギだ。ビロードのような短くて密な毛が特徴で、触ると信じられないくらいなめらかだ。この毛並みが自慢で、前足で毛を整えることを好む。触られると体から力が抜けてその場から動けなくなる。


「レックスは平気なの?」


「平気。毛が短いから風でどうにもならない」


「……ずるい」


「たてがみがある分、かっこいいでしょ」


ライオンヘッドは外を見た。風がごうごう吹いている。昨夜三十分かけて整えたたてがみが、今日一日崩れたままになる。


「また整えればいい」とレックスが言った。


「整えるのに三十分かかる」


「毎日やってるじゃないか」


「毎日やってるから大事なんだ!」


レックスは少し考えてから言った。


「……ならやっぱり出なくていいんじゃない」


「でも今日、備蓄小屋の手伝いをナキウサギに頼まれてる」


「代わりに行ってきてやろうか」


ライオンヘッドはレックスを見た。


「本当に?」


「うん。おれは風でどうにもならないから」


「……ありがとう」


レックスが備蓄小屋へ出かけた。風の中を歩いていくレックスの毛は、ほとんど動かない。ビロードの毛は密度が高いから、風に負けない。


ライオンヘッドはそれを、巣穴の入り口から見ていた。




昼になっても風は収まらなかった。


ライオンヘッドは巣穴の中で、たてがみをゆっくり整えながら過ごした。


フレミッシュジャイアントが巣穴の外から顔を出した。


「ライオンヘッド、いる?」


「いる」


「ご飯、持ってきた。出られなそうだから」


ライオンヘッドは少し驚いた。頼んだわけじゃない。でも確かに、今日はまだ何も食べていない。外に出るのが嫌で、後回しにしていた。


「……ありがとう」


「いいよ。風、強いもんね」


差し入れを受け取って、巣穴の中で食べた。温かかった。


風がごうごうと巣穴の外で鳴いていたけど、中は静かだった。




夕方、風がおさまった。


ライオンヘッドは外に出た。草原の空気が洗われたみたいに、澄んでいた。


夕暮れの光が差し込んでいた。


レックスが備蓄小屋から戻ってきた。


「たてがみ、整えようか」とレックスが言った。


「……いいの」


「うん。おれ、触るのは得意だから」


ライオンヘッドはしばらく考えて、頷いた。


レックスがたてがみをゆっくり整えはじめた。ライオンヘッドはじっとしていた。


夕暮れの光がたてがみに当たって、金色に光った。


レックスが前足を止めた。


「きれいだ」


「……そうかな」


「うん。やっぱりかっこいい」


ライオンヘッドは何も言わなかった。


でも、そっぽを向いた。顔を隠すように。


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