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なかよしの設計図は作成中です。  作者: 鍵しっぽハンター
第二章 猫の路地のひみつ ―― 素直じゃないけど、ちゃんと見てる

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第四話 メインクーンと虫の大事件

昼の日向ぼっこデッキに、メインクーンが伸びていた。


ふさふさした長い毛が日差しに当たって、温かい。目が細くなる。眠りかける。


そのとき、鼻先に何かが降りてきた。


ちいさな羽のある虫だ。


「っ、っ、っっ!!」


メインクーンが飛び起きた。




メインクーンは、アメリカ生まれの大型猫だ。家猫の中でいちばん大きい種類のひとつで、体重が九キログラムを超えることもある。ふさふさした長い毛と大きな足、ふわふわのしっぽが特徴だ。大きいのに身軽で、木登りもできる。ただし虫が、ものすごく苦手だ。本人は認めたくない。大きいし、強そうだし、虫が怖いのはなんとなく面目がない。でも見ると体が固まる。




デッキから転がり落ちて、路地を走った。


「虫! 虫! だめ! だめだめ!!」


「どうした」


と、スコティッシュフォールドが言った。


「虫! デッキに! 小さいやつ! 羽のある!!」


スコティッシュフォールドはゆっくり立ち上がった。




スコティッシュフォールドは、スコットランド生まれの猫だ。耳がぺたんと頭に折れていて、丸い顔に丸い目で、全体的にまるい。よく後ろ足をまっすぐ前に伸ばした独特のポーズで座る。哲学者みたいな雰囲気がある。怒っている子の隣に黙って座るだけで、なぜか場が和む。




デッキのほうへゆっくり歩いていった。


虫を見た。


虫はそのまま飛んでいった。


「いなくなった」


「ほんと?!」


と、メインクーンが路地の角から鼻先だけ出した。


「うん」


「……確認してくれる?」


スコティッシュフォールドはデッキをゆっくり一周した。虫はいない。


「いない」


「ありがとう……」


メインクーンはおずおずとデッキに戻った。また伸びた。でも今度は目をしっかり開けている。


「大きいのに虫が苦手なんだね」


と、シンガプーラが通りがかりに言った。


「大きさは関係ない」


「そうかな。おれはあんなに大きかったら虫も怖くないと思う」


「関係ない」


「メインクーンが怖いなら、おれが怖くてもしかたないな」


「そういうことを言いたかったわけじゃないんだが」


ベンガルがシンガプーラを肩に乗せたまま石畳を通りかかって、デッキをちらりと見た。


「メインクーンが虫で逃げた?」


「避難した」


「逃げたんでしょ」


と、シンガプーラが肩の上から言った。


「避難だ」


「どっちでもいいじゃない」


と、ラグドールがのんびり言った。


全員がラグドールを見た。石畳の上で横になって、目が半分閉じている。さっきからずっとそこにいたが、みんな気づいていなかった。


「虫がいなくなったんだから、もう終わった話でしょ」


メインクーンは少し黙った。


「……そうだな」


「デッキ、戻るなら半分あけとく」


「……ありがとう」


メインクーンとラグドールが日向ぼっこデッキに並んで横になった。メインクーンの方が三倍は大きいが、ラグドールは全く気にしていない。


日差しが、気持ちよかった。虫は、戻ってこなかった。


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