第7話 王都アポロメルタン裏グルメ集! 12
「魔王様出撃でございます!魔王様の留守は、不肖、宰相のわたくしめが城を預かりましょう。騎乗トカゲ、転移の他、魔王様には専用の騎乗邪竜がおり、空から進軍して火のブレスを吐けますが、如何なさいますか?」
邪竜従えてんの!?
「その邪竜は、全員乗れますかな?」
わたしすかさず尋ねた。
「元々は一人乗り。だけど、女の子サイズのルナルナや、ラクディア姫のどちらかなら、魔王の膝には乗れるだろう。」
ゴアノス=ジューダスことクロウ、即断。
「安全な邪竜にはルナルナを乗せる。ラクディアとベガ=ギガルガは騎乗トカゲで着いてこい。作戦変更だ。ソチシェ公国を丸ごと焼き払ってから上陸、残る勇者パーティを撃破する!」
わたし達、悪どーい!!
空から国を焼き払っちゃうのね!?
でも、数では劣る魔王軍四人組……!
こっちだって必死なんだからァ!!
「かしこまりました!魔王様へのねっとりしっとりした執着で、必ずや騎乗トカゲで追いついてみせますよ!!」
「ルナルナに美味しい役目を奪われたものの、わたくしは最強筋力の姫ですわ!騎乗トカゲをとばしソチシェ公国現場にて、魔王様への愛を体現すると致しましょうッ!オーッホッホッホ!!」
モコちゃんのセリフのターンだが、モコちゃんはモジモジ。
「如何致しましたかな?メイドのルナルナ殿!」
「……ちょっと、プレイヤー発言させて。確かにパラメータやスキル運用は、上手くいったけど、僕のキャラクリは圧倒的にお姉ちゃんやチップ兄ちゃんに劣ってる。なんか薄いし、個性が無いの。改善案ある?」
カイヤさんが言った。
「本来、勢いを削ぐプレイヤー発言はあまり良くないが、モコは初心者なので認める。各自、改善案をあげて。」
「うーん。剛力!魔王城の床を削り荒らすようなメイド……は、出来ませんわね。筋力パラメータが平均ですもの。」
「むむー。メイドですから、慎ましさは大事ですしなぁ。」
「……魔王に身分違いの片思いでもしてみる?」
ええー!!
「そ、それだと、ルナルナがまともポジなだけに、正ヒロインになってしまわないですかな!?」
「魔王様がカリスマ過ぎるが故ですわ。罪深い通り越して徳高いお方ですもの。ですが、肝心の魔王様にもご意見をいただかなくては。さすがに魔王軍全員に片思いされる側なのです、やりにくさを感じるなら、この案はボツですわ。」
魔王即答。
「やりにくいわ。馬鹿野郎共が……ラクディアとベガ=ギガルガだけでも、持て余すわ。」
魔王なのかクロウなのか、どちらにせよ、恋愛に興味無いのは事実だしねー。
「まぁ、今更一人増えても変わらんが……いいか?ラクディアやベガ=ギガルガのような、己の鼓舞や、仲間関係で使え。俺に対し、妙な接近はすんじゃねぇ。あくまでキャラクリとしての自分作りに使いやがれ。」
モコちゃん、キャラシートに熱心に書き込んでいる。
「つまり、キャラ作りの為の片思いで、エンディングで魔王が誰かとくっつく訳ではなく。ハッピーエンドはあくまで、魔王軍全国制覇と、みかん呪詛の解除ね?」
カイヤさん、ボヤく。
「ゲームマスター的には、別に恋愛ハッピーエンドの邪魔なんかしないが。それはそれで、プレイヤー達の織り成すストーリーだ、尊重するが?」
魔王反対。
「断固反対だ。俺が恋愛演劇などやれる訳も無し、考えてもみやがれ。もう、てめぇらもキャラに愛着が湧いたろ。一人との恋愛エンドは、残る二人のバッドエンドだ。魔王からしても、僅かな人数で勝ち取った勝利を、魔王軍をバラバラにする末路には、導かんだろうよ。」
えらい!
えらいよ魔王!
「ベガ=ギガルガ、感動致しました!仲間の為の決断、見事です魔王様!!」
「魔王様のご英断のもと、わたくし達も、僅かに妬み合いながらも、魔王様への愛で団結しますわよ!さぁ、ルナルナ!騎乗邪竜の上、魔王様のお膝は如何!?わたくしから奪った特権、特に何も無いとか言わせませんわよ!」
モコちゃん、復活!ルナルナになった!
「うふふ。スキル運用有能で良かったあ。魔王様のお膝に座れるだなんて、身分の差はあれ、ルナルナ、一生妄想してられますぅ!お皿をピカピカに磨きながら、脳内ではわたしを守る魔王様の目から魔王様ファイヤーが!うふふ!」
なんと妄想癖メイドルナルナ爆誕!!
たしかに妄想癖なら、ダイレクトに魔王様にアタックはしないもんね。
「移動力判定。ダイスを3つ振って、邪竜組はダイスの目3以上で到着。1のゾロ目は空中事故。トカゲ組はダイスの目5以上で到着、こちらは2人一緒に並走してる訳だから、ラクディアとベガ=ギガルガどちらかが5以上なら到着、事故は無しだ。」
邪竜組はクロウがダイスを振る。
6のゾロ目!?
「異様に目が高いな……」
「伊達にカジノ破りしてねぇんでな。」
「サービスをつけよう。到着してさらに焼き払ってる最中だ。トカゲ組は?」
チップがダイスを3つ握る。
「ベガ=ギガルガはあまり運がありませんから、わたくしが先に振りますわ。とう!」
ダイスは、1、1、3。
あっぶねー!!チップ、言うだけ言っておいて、ギリギリじゃないの!
「ホ、ホホホホホ!ちょっとスレスレですが、到着ですわ!」
「焼き払ってる中の生き残りを叩くとしましょう!」
カイヤさん、シナリオをまくりながら話した。
「邪竜にサンダーボルトが落ちる!勇者パーティの魔術師の遠隔攻撃だ。邪竜を飛ばせていたら、空からのサンダーボルトの格好の的だ。」
「邪竜を上陸させ、ラクディアとベガ=ギガルガと合流する!」
「了解。その前にダメージ判定だ。邪竜の魔法防御-(魔術師の魔力×ダイス3個)の値が邪竜のヒットポイントを削る。魔王の魔法防御-(魔術師の魔力×ダイス3個)の値が魔王のダメージ、ルナルナは……ダイス3個振って10以上なら防護結界成功、失敗ならルナルナの魔法防御-(魔術師の魔力×ダイス3個)がルナルナのダメージだ。」
え?
え?
バトルシステム……なに、その計算式?
「ベガ=ギガルガは疎いので、補佐しますわ。」
モコちゃん、ダイスを3つ振る。
6、3、2!クリアだ!防護結界成功!
「やったぁ!魔王様も邪竜も守れました〜!!」
「よくやったルナルナ!邪竜を着陸する!!」
「ラクディアお嬢様!魔王様が上陸を!」
「ベガ=ギガルガ、わたくし達も合流しますわよ!!」
魔王軍合流!!
やったぁ!ついに勇者パーティとのバトルが始まるのね!!
カイヤさんが叫んだ。
「魔王ゴアノス=ジューダス!!この国を好き勝手にはさせないぞ!!勇者パーティと遭遇した。勇者パーティは戦士の勇者エッダ、魔術師のルミナス、拳法家のワン、盾役重装備戦士のゴルゴダだ!陣形はこのシート、ゴルゴダの後ろからエッダとワンが攻撃し、最後尾のルミナスが魔術詠唱。」
「待て。勇者エッダさえ倒せば、残りは名目の無い残党だな?」
「残党だ。だが、仲間意識がある。エッダを倒しても敵対はしてくるぞ。」
「盾役のゴルゴダに攻撃手段は?」
「硬いだけだ。ただし、拳法家のワンは異国の僧侶、戦いながら回復魔法を使う。」
魔王、指示!!
「俺とベガ=ギガルガは盾役となり、隙あらば拳法家を削る!ラクディアは盾役のゴルゴダを総崩しになぎ倒せ!魔術師の攻撃は、一番後ろのルナルナが対応!行くぞ!!」
「仰せのままに!!」
「盾役なんて、わたくしのモーニングスターのサビにして差し上げますわ!!」
「ルナルナ、サポート行きます!!」
いざ、バトルだ!!
とはいえ、難しい計算式がわたしにはわからない!
ダイスを振ってみて、チップに計算してもらって、リアクション担当だ。
「わたしの鉄壁、崩せるものなら崩してみせよ!!」
「勇者パーティざわめく。こいつ、装備すらないのに、ダメージ1だと……!?」
ん?
装備って?
チップが叫んだ。
「どああ!!ベガ=ギガルガ!!貴方、破廉恥ですわッ!!装備欄が真っ白でしてよ!?」
え?
「装備欄なんて、ありましたかな?」
モコちゃんもびっくり。
「あちゃー。ルナルナもサポートすれば良かったですぅ。つまり、ベガ=ギガルガ様は、ずっと全裸?」
「ええ!?わたし、マッパだったんですかな!?」
カイヤさんが告げた。
「わざとじゃなかったのか。生身の防御力勝負かと思ってた。まぁ、今まで仲間たちは気にしてなかったんだから、慣れてるんじゃないか?ハイレグビキニパンツくらいならあげようか?」
「え?え?装備って、鎧じゃないのですかな?」
チップが慌てた。
「鎧の下にもチュニックやら衣服がありますのよ!!」
わたし、カイヤさんの教えで、慌てて装備欄にハイレグビキニパンツを書いた。
「まさか、わたくし達の仲間に全裸、いえ、ハイレグビキニパンツが一人いただなんて……」
「プロレスラーみたいなもんだ。今更気づいたのはおかしい。慣れで通すべきだ。」
チップもため息ながらに、演じた。
「ホーッホッホッホ!勇者パーティ、脆弱なり!ベガ=ギガルガの生身の肌にダメージ1とは、お笑い草ですわ!よろしい。わたくしが血祭りにあげた後、笑い話として語り継いであげましてよっ!!」
「ラクディアのモーニングスター判定だ。モーニングスターは範囲攻撃、うまくしたら、盾役以外にも当たる。まずは範囲判定。ダイス3個で10以上なら盾役と拳法家、ダイス3個6のゾロ目は勇者にも当たる。」
「ダイス3個、合計12!盾役と拳法家!拳法家などわたくしの火力なら撃破同然ですわ!!」
「盾役と拳法家の防御力-((ラクディアの攻撃力+モーニングスターの攻撃力)×ダイス3個)でヒットポイントにダメージだ。」
「ダイス3個、合計16!」
「盾役は大ダメージで、盾の損傷で防御力-130。拳法家はトマトのように破裂した。」
「オーッホッホッホ!回復魔法はもう望めませんわよ!!」
すごいすごい!じきに勇者も餌食よ!!
「ルミナスは勇者に攻撃力強化魔法!ダイス3個で6のゾロ目!勇者、攻撃力3倍で魔王に斬り掛かる!」
3倍!?6のゾロ目なんて普通出る!?
「ルナルナが転移で魔王様を回避させます!」
「ルナルナ、勇者の素早さ-(スキル高速詠唱×ダイス3個)、合計は?」
「10です!」
「ギリギリ魔王が転移!転移先は?このマス目から、スキル分10動かせる。」
「最後尾、魔術師ルミナスの地点です!」
「ぉぉ!ナイスですぞルナルナ!!」
「よし。ルミナスは俺が殺る。」
「魔王のターン!攻撃力は平均値だが、魔王のパラメータは他キャラの数倍だ!相手は貧弱魔術師!当たり判定さえ成功したら即死だ!当たり判定はダイス3個で6以上!」
「ん?低くありませんかな?」
「この魔術師は魔力と魔防に特化した高速詠唱持ちだが、既に自分のターンを終えている。飛んできた魔王の拳を防ぐ術は素早さのみだ。」
魔王、ダイス3個を振る。
「16だ。」
「魔術師のルミナスは、魔王の一撃で飛んでいき、建物のクレーターになった。即死だ。」
「残りは盾役と勇者のみですわ!魔王様とわたくし達の挟み撃ちです!!」
「勇者は魔術師の死によって攻撃力3倍魔術が解除された。次のターン、盾役のゴルゴダから。ベガ=ギガルガに攻撃!」
「ん?ちょっとお待ちを。我々の大将より、わたしを?」
「ゴルゴダも盾役だ。魔王の一撃なら持ち堪えるが、魔王より脅威なラクディアを破りたいだろう。魔王と違ってラクディアは一撃当てれば死ぬんだ。ベガ=ギガルガさえどかせば、だが。」
「ほほう。しかし、わたしとラクディアお嬢様の攻守コンビを破れますかな?」
と、キャラは演じつつ、計算式はチップにお任せだ。
「ダイス3個合計6!目は低いですが、ベガ=ギガルガの鉄壁であれば!!」
「ベガ=ギガルガのダメージは2。一応、ゴルゴダは会心の一撃だ。次は勇者の前にラクディア!」
「ここで仕留めますわよッ!!」
「ルナルナ、ラクディア様にバフをかけていいですか?」
「可能だ。ルナルナはなんのバフを?」
「射程距離広範囲バフを使います!」
「ラクディアのモーニングスターの範囲までだが、成功すれば勇者ごと行ける。ダイス3個合計10で成功だ。」
「ダイス3個、合計12!」
「それではラクディア、射程距離判定は無し。ルナルナのバフで全体攻撃になる。ダメージ判定を。勇者とゴルゴダの防御力-((攻撃力+モーニングスターの攻撃力)×ダイス3個)だ。」
「ダイス合計18!!最大火力ですわッ!!」
うぉ!
チップもそういや、ギャンブル好きだしね。
負けたらうちのパーティが借金するんだけどさ。
「ゴルゴダ撃破!そして勇者エッダはトマトのように破裂して即死だ!」
「やりましたわ!」
「魔王軍、チームワークで絶好調ですな!」
「まだだ。」
「え?」
魔王様、冷静に見てる。
「ソチシェ公国は内乱状態だ。今王城に魔王軍の軍旗を掲げても、そもそも王家が謀反されているな?」
「その通りだ。そちらは、偵察次第でストーリーもあったが、まぁいい。今のままではソチシェ公国を傘下には出来ない。」
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