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第7話 王都アポロメルタン裏グルメ集! 11

 クロウはパラメータ割り振りの際、モコちゃんを呼んだ。

「モコ。パラメータ割り振りの助言をしな。」

「最重要は魔力!次点で防御力かな。魔王ゴアノス=ジューダスは回復出来ないから、防御力は重要だよ。その他はバランス型にして、仮に仲間が死んでも、耐久戦に持ち込めば勝てる。魔術のおすすめは、防御魔法とホワイトミスト。魔術を攻撃力に割かなければ、魔力を温存しながら、魔王の怪力で素殴り出来るからね。魔王はクラスが魔王だから、これで、好物のひとつでもあれば、完成だ。」

「すごーい!モコちゃん、初心者なのに!」

「まぁ、伊達に魔族じゃない訳だし。」

 クロウがシートを見せた。

「俺の魔王はゴアノス=ジューダス、パラメータはヒットポイント、魔力、防御力重視で、耐久戦に持ち込む。好物は酒だ。今はみかんジュースしか飲めねぇがな。」

 カイヤさんがため息をついた。

「まぁ……全滅したらシナリオクリア出来ないしな。強いのがいても、いいんじゃないか?」

 モコちゃん、自分のキャラを紹介した。

「僕は現実でエンチャンターだから、ゲームではソーサラーにした。魔族階級は低めで、魔王城のメイドさん。防護結界や転移魔術、悪魔信仰による回復術式と全体バフ、あえてサポートタイプにしたよ。名前はルナルナ。魔力特化だけど、ルナルナさえ生きてれば、魔王以外は回復できる。」

 カイヤさん、頷いた。

「まぁ、仕方ないか……ゲームマスターから助言だ。生き残りたかったら、ルナルナを狙う奴から倒せ。それじゃあ、ゲーム開始までに各自水分補給。」

 うわ、喉カラカラだった!

 飲み物をいただきながら、向こうの卓を見る。

 もう、ゲームが始まってる。

「おお……我が天命よ!何故わたしに宿敵を与えたもうたのか!おぉ、愛する我がグ!!わたしは汝を置いて戦わねばならぬ!国などいらぬ!欲するは我が血湧き肉躍る戦いのみ、なれば!!ゆくぞ赤兎ッ!!此度こそこの槍にて我が天敵を打ち破らん!!」

 うわっ!?

 エスメラルダなの!?めちゃめちゃかっこいいじゃん!!元から声低いけど今はイケボ!

「なにゆえ、ひるむのか!なんじこそがわがこうてきしゅ、わがてんめいのおとこよ!なんじがいらぬならば、われがてんかをいただくとしよう!なんじのうつくしい、きさきとともに!!ゆくぞじゅそうりん!!さぁ、おおいにかわきをいやそうではないか!!われらのちでしかいやされぬ、かわきなればこそっ!!」

 えっ?

 ニャビ?

 …………ニャビよね?

 何か降霊術使った?

 チップが耳打ちした。

「リファイラスさん、ニャビは推定300歳ってよ。一応、ニャビには今まで見たもんの知識はあんの。だいたい、元々ゲームブック欲しがってたろがい。」

 えぇ〜〜!?

 あ、危ない!叫んでたらゲームが台無しになるところだった!

 あの漢くさい武将のセリフ考えてるの、ニャビなの?

 その知識、日常に役立てらんない訳?

 そうかぁ〜。

 てっきり、読めないし無駄だからと思って、スルーして来たけど、ゲームブック買ってあげなくっちゃあね……。

「お辞めになって、チャング様、ワンチェン将軍!!わたくしの為に、お血を流されないで下さいッ!!」

 ラゴゥ。

 ヒロインなんかい。

 ラゴゥとモコちゃんがやりたかったのって、これなのね。傾国の美女ポジ。

 正直、天命の戦いが白熱してる方が気になって、今んとこラゴゥ演じるグさんはモブだ。今のシーンじゃなくて、チャングサイドのシーンなら出番があるのかしら?

 カイヤさんが合図した。

「出遅れたけど、こちらも開始する。ーーーエルン=ファルファロ歴580、先代魔王は勇者パーティに倒され、魔王軍残党は新たな魔王ゴアノス=ジューダスを台頭に北の大地に落ち延びた。670年には若き魔王ゴアノス=ジューダスは相応しい力を身に付け、各国に宣戦布告するのであった。ゴアノス=ジューダス、一言。」

「てめぇら……死にな。」

 魔王、めちゃめちゃガラ悪ッ!

「我が道を行くゴアノス=ジューダスに、最強勇者パーティからみかんしか食べられない呪詛をかけられてしまった。後戻り出来ないゴアノス=ジューダス。彼に忠誠を誓う魔王軍残党は、先代魔王の姫君、幹部ラクディア=ラ=クーガ率いる僅かな軍勢である。ラクディアを守るベガ=ギガルガ護衛隊長、そして魔王城メイドのルナルナが、各国勇者パーティに挑むべく、立ち上がるのであった。魔王様、わたくしは魔王城、宰相ルブレでございます。見事な宣戦布告であられました、率直にダイ!まずは出陣になられる領地ですが、誰を偵察に回されますか?」

 クロウは考えた。

 ルナルナさえ温存すれば、回復出来るけど……。

 ラクディア単体ではラクディアが死ぬ訳だし。

「偵察はしねぇ。単体ごとに始末されちゃ戦力減退だ。魔王の俺自ら、ラクディアとベガ=ギガルガとルナルナを率いて、出る。」

「いきなり強国に当たる恐れがありますが、よろしいので?」

 クロウはMAPを広げ、魔王ゴアノス=ジューダスとして、そしてクロウとして告げた。

「どの道近隣のこの二国を手にしなけりゃ、通り道は作れやしねぇ。近隣にラスボス勇者がいる訳でも無ければ、偵察はいらねぇはずだな?」

 カイヤさん、いきなりダイスを取った。

「パーティ全員に噂判定をあげよう。わたしより判定が上回ったら、噂を知ることが出来る。」

「ここで噂判定ですの!?それって近隣にラスボス勇者が配置されているようなものですわ!魔王様、わたくしが偵察に行きますから、進軍はお待ちになって!」

「如何なさいますか、魔王様?」

 カイヤさん、本当にバッドエンド要素満載で来てるんだ。

 ジェダイトさんは、これクリア出来た訳?

「……チッ。ラクディア=ラ=クーガ!偵察を任せる!」

「はっ!魔王様の仰せのままに!来なさいベガ=ギガルガ護衛隊長!わたくしの守りとなるのです!!」

 チップ、うまい!攻守揃えば、さすがに偵察ぐらいは成功するはず!

「かしこまりました、お嬢様!魔王様、我らのねっとり猛烈な魔王様愛で、偵察ぐらいは何のそのですよ!!」

「まぁあ!!なんて図々しい!!わたくしの魔王様愛を応援なさい、ベガ=ギガルガ!!ましてや色目を使うとは、言語道断ですわッ!!」

「お嬢様、チッチ。そんなに奥手ではアピールになりやせんぜ?」

「はよ行け、てめぇら。」

「キャー!鋭いお言葉が癖に刺さりますわーッ!!それでは偵察第一陣、この貞淑なわたくしとねっとり猛烈なベガ=ギガルガが、魔王様への愛を込めて、成功させてみせますわ!」

「愛は魔王軍を救いやすぜ!!」

 カイヤさん、いや、宰相ルブレが尋ねた。

「ドMのラクディア姫とねっとりベガ=ギガルガ護衛隊長は、いざ、偵察へ。ラクディア姫、騎乗トカゲを使われますか?それとも、ルナルナの転移魔術を使われますか?」

「そのような引っかけ、乗りませんわよ!騎乗トカゲを使います!」

「ソチシェ公国、ミカーニャ王国、どちらへ?」

「当然、小さい方へ!ソチシェ公国の偵察に参りますわ!!」

「ラクディア姫とベガ=ギガルガ護衛隊長は騎乗トカゲを飛ばし、ソチシェ公国へ。しかし、一歩踏み込めば矢の嵐。状況認識判定を。ダイスの目は5以上で成功だ。」

 わたし、ダイスを振って3。

 この矢の嵐見て、気にしてないってことよね。

 チップはダイスを振って4。

 チップまでも!?

「街に矢が振り、火の手が上がっていても、二人は気にせず進んで行く。」

「蚊が飛んでますわね。まぁ、これしき気にもなりませんわ。おほほほほ!見なさいベガ=ギガルガ、花火ですわ!あぁ、魔王様とゆっくり鑑賞したいものですわね!」

「ハッハッハ、それだったらわたしは魔王様とラクディアお嬢様に焼きそばを焼いて差し上げますよ!ねっとり猛烈な火加減で!それにしても確かに蚊が多いですが、こんな蚊に刺されても痛くも痒くもないですな!なんと美しい花火でしょうなぁ、パレードでも見て勇者パーティの噂を探しますか!」

「刺さった?」

 カイヤさんすかさず言った。

「ベガ=ギガルガ、矢が刺さって防御力判定。ダイス3個、1のゾロ目以外はダメージ無しだ。」

 防御力に振り切ったからかしら。

 わたし、ダイスを振って、なんと1のゾロ目が!運悪ッ!!

「ベガ=ギガルガ貫通、ダメージ1。」

「まぁあ!ベガ=ギガルガ、貴方、大きな蚊が刺さってませんこと?」

「なんのなんの!わたしの鉄壁にかかれば、蚊の貫通ぐらい痛くも痒くもありやせんよ!」

 気づけーッ!!アホ二人組!!

「では、さっき貴方が言ったように、パレードでも見物しながら、勇者パーティの噂を聞き込みますわよ。」

 よし、拾ってくれた!

「二人がパレードだと思って向かった灯りは、反乱軍の松明の灯りであった。王軍はまさに風前の灯だ。ダイスの目3以上で認識判定成功。」

 わたし、さすがに言った。

「何か、我々の認識判定、ダイスの目高めではありませんかな?」

「よく気づいたな脳筋コンビよ。君たちの知力は1、ダイスの目はそれによる。」

 ほんとだ。元々知力1のバカコンビじゃあなぁ。

 チップがダイスの目4を出して、やっと成功。

「これ……内乱じゃありませんこと?まぁ、美しい花火に殺戮のパレードには違いありませんが。反乱軍が優勢、革命になりますわ。勇者パーティはどちらサイドでしょう?」

 わたしのダイスの目、2だ。

「内乱だったんですか、お嬢様?わたしにゃ蚊も同然ですが……勇者パーティがどちらかで、わたし達が組みする側が変わりますな。」

「勇者パーティの判別はダイスひとつ、判定6で成功。」

 高ッ!!

 二人とも6まで出なかった。

 正直、偵察より魔王軍で攻めた方が良かったんじゃないの?

「まぁ、わたくし達は魔王軍。内乱で弱ったこの国を叩いてしまえば、自然と勇者パーティは瓦解しますわ。それに、再び来た時には魔王様とも美しい花火を楽しめます。帰還しますわよ、ベガ=ギガルガ。」

「ラクディアとベガ=ギガルガの報告を聞いた魔王。どうなさいますか?ソチシェ公国を叩きますか?」

 ここまでわたし達が役たたずだったんだ。

 クロウ演じる魔王にも、スタート地点みたいなもの。

「……よくわかったぜ。パラメータ割り振りとスキル、ゲームマスターの難易度調整好きがな。魔王軍は俺が全員率いてソチシェ公国の偵察に出る。あくまでルナルナを囲んで全員ルナルナの防御。偵察判定はルナルナに、いざと言う退路もルナルナの転移、偵察失敗及び勇者パーティと遭遇時は、俺とベガ=ギガルガが盾となり、ラクディアの攻撃でダメージを与え、ルナルナは回復や支援!全軍、ソチシェ公国に出撃するぞ!」

「かしこまりましたわ!このラクディア、地獄までもお供致しますわよッ!!」

「マグマの海も泳いでついて行きますぞッ!!」

「はい!!」

 うわー!!

 魔王かっこいい!!

「戦闘時の要はお前らだ、頼むぞ攻守コンビ!」

 魔王、もといクロウ、充分リーダー適正あるよ!そりゃそうよね、ラウムのお(かしら)だもん!

「御意に!わたくしの脳筋は戦闘時に生かさせていただきますわ!!」

「同じく!我が防御力、バトルにてご覧あれ!!」

「支援はルナルナだ!いざと言う時は逃げつつ生き残ってサポートしろ!」

「魔王城メイドルナルナ、かしこまりました!幹部の皆様と魔王様の支援の為、全力で生き延びますね!!」

 やっとルナルナ登場!待たせちゃってごめんね!!

Copyright(C)2026 燎 空綺羅

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