第7話 王都アポロメルタン裏グルメ集! 10
マロン=マロヌス陛下の元に戻ると、マロン=マロヌス陛下は目を輝かせて、ワクワク、ドキドキ。
「こんな大人数久しぶり!人数が多いから、二卓に分かれようか?ゲームマスターいる?」
カイヤさんが答えた。
「わたしがゲームマスターやる。ジェダイトと何度もやってきたし。」
エスメラルダが、尋ねた。
「カイヤ、ゲームマスターってなんだい?」
「ゲームのシナリオ、敵キャラや村人のNPC全てを担当する人だ。ジェダイトは勇者やりたいから、自然とわたしがゲームマスターに。」
ラゴゥとチップはノリノリだ。
「俺たちは慣れてるから、別卓に別れてプレイヤーサポートしよっか。」
「うむ。ダイスの計算も、見てやんにゃあな。」
ダイス?
わたしはダイスを知り尽くした大人、クロウに尋ねた。
「クロウ、ダイスってゲームの何に使うの?」
「肝っ玉、俺に聞くな。俺はギャンブルのカジノや丁半しか知らねぇぞ。」
ここは、現役の子供たちに聞くべき?
「ニャビとモコちゃんは?」
「にゃあ、しあないお。れもね、げぇむ、やりたかったんらあー!」
「僕は見た事あるー。ゲームにダイス使うの。喋って、キャラクターになりきって、肝心な行動ごとに、ダイスで正否を判定する。バトルで攻撃が当たったかどうかとか、ダイスの目とステータスパラメータを元に計算してくの。それでシナリオクエストをこなしていく。それがプレイ方法じゃない?」
なるほどねー。
わたし、かなり気になったところがある。
「モコちゃんありがとー。あのね?わたし、計算すごく苦手なんだけど。勿論、手持ちのお金と金貨の枚数は暗記してるよ?セールの安売りは暗算出来るし。でも、お金以外の計算は何が何だか。筆記試験も、計算は落第点でさ。誰か、サポートしてくれない?」
わたしに、チップがついた。
「うぃー。ほんじゃ、俺慣れてっから、俺がおまいのダイスの計算すっから、おまいはダイス振って、キャラになりきってリアクションしー。」
「ありがと!じゃあわたしはチップとコンビね!よろー!」
「あいー」
手持ち無沙汰のクロウに、カイヤさんが声をかけた。
「アンタ、キャラのなりきりとか難しそうだな。わたしの卓で、わたしの補助として、魔王にならないか?」
「む?……俺はあくまで神に仕えるプリーストだが……まぁ、乗ってやらんでもねぇ。」
クロウほど魔王に適任な人材、なかなかいないでしょ。ていうか、魔王以外の演技出来なくない?元から魔王みたいなもんだしさ。
マロン=マロヌス陛下が車輪のついたホワイトボードを二つ、指示して、カイヤさんが運んで来た。
「はい、皆聞いて!初心者の人もいるから、一から説明するね!幼少期にゲームブックにハマってた人にはわかることだけど、このゲームはテーブルトークRPGだよ!机の上で話し合いながら遊ぶバトルゲームってこと!でも人数が多いから、僕のゲームとカイヤのゲームの、二卓に分かれまーす!プレイヤーの皆が選べるのはゲームひとつ、キャラクター一人だよ!たくさんキャラクターやりたいとか、世界観構築したいなーって人は、貴重なゲームマスターの卵だから、まずプレイしながら学習し、どんどんゲームを開発してねっ!えーと、つまり、遊べるゲームは一人ひとつなので、まずは各ゲームのPRポイントを聞いて、参加したい卓を選んでねー!」
そして、片方のホワイトボードをカイヤさん側に渡す。
「カイヤのはこっち!急いで書こうね!」
「わかってる。時間との戦いだからね。」
二人は、サラサラ〜っと、ゲームの紹介点を書いていく。
一瞬でホワイトボードにびっしりと!
マロン=マロヌス陛下とカイヤさんは、じゃんけんして、買ったのはマロン=マロヌス陛下だ。
「じゃあ、僕の卓から紹介しまーす!僕のシナリオで重要なのはここ!舞台はアジア!始皇帝亡き世に、天命の帝の剣を抜いた二人の男!宿命のライバル同士の天下取りバトル!つまり、プレイヤーVSプレイヤーです!ゲームマスターの僕は舞台背景や部下達、冒頭の物語を進行しまーす!決着はプレイヤー次第!!帝になるのはどちらか!?アジア歴史浪漫譚!!もちろん、宿命の二人以外のプレイヤーは、好きな方に味方していいし、内通、裏切りもありです!こんなところかな。次はなんと即興のカイヤ!!」
「わたしの卓で重要なのはここだ。プレイヤーは魔王軍。勇者パーティの呪詛でみかんしか食べれなくなった魔王軍は、魔力回復が行えない。プレイヤー諸君には、魔力が尽きてしまう前に、各国の勇者パーティの撲滅を目指してもらう。各地の拠点MAPはこれだ。この領地を勇者パーティとの戦いに勝って占領して行き、最終的に最後の勇者パーティと決着をつけると、みかんの呪詛が解除される。各地の洞窟や秘跡には、勇者打倒のヒントやキーアイテムが存在する。魔王軍の全国制覇でゲームクリアだ。まぁ、こんなところか。」
ザワザワしたけど、一応確認した。
「話し合っていいの?」
「ご自由にー!」
何故か既に移動して、マロン=マロヌス陛下の卓に座ったニャビ。
「話、わかってなかったのかしら?」
わたしのぼやきに、ラゴゥが首を振る。
「ううん。あのお話はニャビの好きなタイプだし、ワクワクしてるみたい。」
エスメラルダが悩んでる。
「栗坊のゲームは、ちょっと難しくないか?歴史要素も関わってくるし。」
カイヤさんがピシャリと告げた。
「母さんは弟と遊ぶべきじゃないのか?」
「そうだ……生きて会えたんだから、そうなんだが……世界史苦手なんだよ……アジアなの?」
わたしは興奮気味に話した。
「カイヤさんの卓さ、絶対クロウを生かした作戦よね!勇者の敵側って、ちょっと面白いかも!」
「んじゃ、俺とおまい、カイヤさんの卓行く?クロウの兄貴が主人公だよな。俺も気にならあ。」
クロウは戸惑い気味だ。
「俺が……みかんしか食えない魔王だと?なんで余計なへっぽこ設定つけやがった?」
「グロ注意だから。人間食べてたら、誰もわたしの卓に来ないぞ。」
ラゴゥはもじもじしながら、何を思ったか決まったらしい。
「俺、マロン=マロヌス陛下の卓行きたいな。宿命の二人じゃなくて、仲間キャラで。」
エスメラルダがため息ながらに言った。
「なら、あたしは栗坊の卓の、天命の剣抜いた片割れをやるよ。先に言っとくが、あたしの習った知識は古い。だいぶいかめしい武人になるが、いいのかね?」
「そーゆーのがいいの!」
もう席についているニャビが挙手した。
「にゃあは、しょーぐんがしたいから、まろんのげぇむ。れも、ころもがやったら、むじゅかしいの?」
「全然!大いに正義をぶつけ合って欲しいし、ゲームの世界は自由だよ!わからない知識はサポートするからね!」
ニャビ、満足した。
「にゃあ、てんめいのぶじん〜!」
最後は、モコちゃん!
各自の卓は今、丁度3人!
「モコちゃんは、どっちがやりたいの?」
「正直迷うんだよね〜。僕、項羽と劉邦好きだし。それって道教の仙人も仏教の僧侶も出来るんだよね?」
「うん!魔術師や僧侶は、仙人やお坊さんって感じだよ!」
「ん〜。でも、多分、僕がやりたい役は、ラゴゥ兄ちゃんがやりたい役だよね?」
「え、モコもやる?二人いても大丈夫じゃないの?」
「二人いたら、奪い合いって感じじゃなくなるし、せっかくの宿敵の世界観が台無しかなぁ。良さを崩壊させたくないし。それに、カイヤの卓は、純粋に僕のいた世界だ。僕が知識サポートに回れる可能性も高いし。僕は、カイヤのゲームにしよっかな。」
決定!!
二卓に分かれた!!
「それで、ゲーム開始?」
カイヤさんとマロン=マロヌス陛下が首を振る。何らかの用紙を配って回る。
なに、この細かい記入欄!?
イラスト用の枠と、びっしりした設定記入欄の紙だ!
「それでは、自分がロールプレイするキャラクターを、キャラシートにクリエイトしてねー!わからないことは、各自の卓のゲームマスターに聞いて!」
全然わからないわよ!!
あ……この辺ならわかる?かも?
わたしだって冒険者だもん。筋力や素早さのステイタスや、経験値欄は、冒険者カードと同じ仕組みだ。
「わからん……何故か俺だけ限界パラメータ割り振りがすげぇ桁なんだが?」
ほんとだ!クロウのパラメータ割り振り数値、ほぼ限度無しじゃない!
「魔王が弱かったら話にならないし。パラメータ割り振りは、冒険者やってたらわかるか。問題は、キャラクリだ。」
「キャラクリって、そもそもなあに?」
カイヤさんとチップが交互に説明した。
「要は、なりたい自分を作って、ゲームで演じる。自分がやりたい登場人物だ。」
「ゲームのキャラクリの規制は、パラメータ割り振りだけなの。やりたいキャラは、男でも女でもいいし、見た目だって名前だって好きにしていーの。出すかわからない家柄設定まで、好きなだけ練り込めやい!」
「わたし、わかってきたかも!」
やりたい自分像なら話は早いよね。わたしは現実では戦力外で、後ろからショートソードでチマチマつついて一撃離脱の吟遊詩人だから、ゲームでは重要戦力になりたいなぁー。
モコちゃんは順応が早く、スラスラ書いている。
「モコちゃん早ッ!初心者じゃないの!?」
「初心者だけど、概要は知ってたからさー。」
クロウがついに挙手した!
珍しくも、協力要請だ!
「メンバーの意見は、取り入れていいんだな?」
「もちろんだ。」
クロウ、苦悩の言葉を吐いた。
「想像意欲がねぇ。ラウムの頃に、魔王軍側の現実を知り過ぎた。魔王の真の名前も……知っている。本家は、魔族も口にしちゃならん名前だ。」
「おぉ。兄貴の大物故の悩みが出た。おまいら、投票!要は魔王は本家と全く違う方向性で、仰々しい名前がいんだろ?一、グランゲチャラー。二、ゴアノスギドラ。三、ヒースジューダス。」
カイヤさん真っ先に投票。
「ヒースジューダス、厨二でいいと思う。」
でも、ヒースジューダスは耽美過ぎないかなぁ。
モコちゃん投票。
「ゴアノスギドラかなー。本性は邪竜みたいなイントネーションがあるし。」
「なるほど。魔族要素が確かにあるな。」
わたしも投票。
「あのね、選べないから、両方言うけど、ゴアノスギドラはモコちゃんの言う通り、邪竜が何千年も生きて魔王になったみたいでロマンがある。でもね、魔王グランゲチャラーは、なんか勇者が第一戦目に勝ったら、本性出してグロテスクな姿に変貌して、めちゃめちゃパワーアップする、古の魔王感があるのよ。」
カイヤさんまた納得。
「そうだなぁ。グランゲチャラーはグロテスクで非人間要素があるな。」
チップが補足した。
「でもよ。勇者パーティにみかんの呪詛をかけられるんだぜ?俺たち魔王軍は、魔力を補給出来ねぇ訳だから、初期ステイタスから徐々に弱ってくんだよな?」
「それはそうだよ。消費魔力は戻らないし、領地制圧ごとに魔力切れが近くなる。」
「それだと、魔王が途中からすでに邪竜やグロテスク姿が丸出しになるんじゃね?人間体、保てねーだろ。」
チップの配慮を踏まえ、モコちゃんが言った。
「魔王ゴアノス=ジューダスは?元から人間に近い姿の魔族っぽいし、それゆえみかんの呪詛に対し無敵では無い感じもする。最強だけど、万能じゃない、みたいな。」
クロウが採用!
「チップとモコを採用して、魔王ゴアノス=ジューダスを選ぶぜ。そもそも、最強過ぎたらチームプレーじゃねぇ。魔王軍の存在感が薄くなっちまうからな。」
「なるほど。なら、パラメータ割り振りに一個不利なのをあげよう。自身の治癒力ゼロで。回復魔法無効。」
ヒットポイントはものっそいけど、削られたぶん、回復出来ないのね……。
「それならチートじゃないし、いいんじゃない?わたしはどうしようかな……あっ!チップ、どうやって!?話しながら完成させたの!?」
チップのキャラシートはとっくに書き終わってる!
「俺ぁガキの頃からラゴゥ達とつるんで遊んでんの。俺のキャラは魔王軍幹部のお嬢様、魔王様に恋する脳筋乙女のラクディア=ラ=クーガ。武器はモーニングスターをぶん回して叩きつける!クラスは戦士、でも魔族だから簡単な魔法は使える。筋力に振り切って筋力583!」
「うぇぇ、キャラ濃ッ!活躍で勝てる気がしない!!」
カイヤさん、片目が光ったみたいに感じる。
いきなり、生き生きし始めた……?
「ちなみに、このゲームはもちろんバッドエンド要素も満載だ。わたしはバッドエンドが好きでな。筋力振り切りお嬢様、良い死に方を期待してるぞ。」
「げっ!いるんだよな〜死なせたがりのゲームマスターがよ〜。俺チョイスミスったかもしんねー。パラメータ割り振りに気をつけろよ、おまいら。」
わたし、思いついた。
なんてことはない。思いついたら、スラスラ書けちゃうのね。
「出来た!わたしのキャラはラクディアお嬢様の部下の魔王軍中堅、ベガ=ギガルガ護衛隊長。ホモホモしく魔王様を慕っているけど、ラクディアお嬢様をあくまで応援する側。クラスは拳法家でホワイトミストで敵を攪乱、でっかいマッスルで防御力にパラメータ振り切って588!ラクディア様の壁になる!」
「おまい……!よし、攻守揃ったぜ!」
カイヤさん、顔を輝かせた。
「いいのか……?魔族の生命線は魔力だが?魔力が尽きれば死ぬが、いいのか?」
うわー!!死んで欲しそうー!!
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