表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/38

第6話 減量レシピ!ベオアルス卿の為のヘルシー献立!! 1

「みんなー!チケット出したー!?」

 わたしがパーティーの皆に声を張り上げると、皆がチケットを見せた。

「出したよー!」

「なんでいちいち号令しやがんでぃ。ガキじゃあるめぇしよ。」

 チップに返したのは意外にもカイヤさんだ。

「いや、号令するだろ。マジモンのガキと耄碌した猛女、チケット無くさないか怪しいだろ。」

「んにゃあ。ガチレスなんとかならん?俺ぁ家族でも、姉ちゃんにゃ弱えーんだけど。」

 お膝にニャビを乗せて世話しながらも、相変わらず言葉遣いは男の人みたいだ。

「にゃあは、がきら、ないおっ!ころもらよ、ころもっ!!」

「……ころも、か。」

 エスメラルダがカイヤさんに注意した。

「カイヤ、アンタは男の子の保護者だとはいえ、そろそろ言葉遣いを改めないと……女王が子供をガキ呼ばわりは不味いんじゃないかね?」

 ラゴゥは微笑みながら見ている。

「いいんじゃない?カイヤさんがまともな人なのは、話せば皆がわかることだし。ちょっと男勝りな女王陛下でも、真っ当な方なら、俺は従うよ。」

 クロウとチップはため息だ。

「おまいらなぁ……」

「言わせておけ。だが、本腰入れた戦いは、王都アポロメルタンだぜ。宮廷ってのがどんなもんか、理想像は持たねぇ方がいい。」

 は?

 わたしはこれに猛反発。

「宮廷って言ったら乙女の夢でしょー?綺麗なドレスに綺麗なお城、金銀財宝ザックザク!あぁー王家ちょっとお宝分けてくんないかなぁー。」

「おまいは乙女から逸脱しとるわい。この強欲女め。」

 モコちゃん、いきなり毛を逆立たせ、カイヤさんを庇うように前に出た。

「モコちゃん?」

「どした、モコ。」

「嫌な匂いがする。お姉ちゃん達、カイヤの護衛が最優先なんだよね?この先、何があっても僕とはぐれないで。」

 モコちゃんはこれでも魔族だし、本当に何かあるんだろう。

 でも、わたしは楽観的に考えた。

「危険だとしても。はぐれる、はぐれない、に関しては大丈夫よ!わたし達がいるのは乗り合い馬車の待合所、乗り合い馬車に乗ってしまえば、もう王都アポロメルタンまでぶっ通しだからね!危険地帯も、通り過ぎちゃうかもよ?」

 モコちゃん、ちょっと安心したみたい。

「そうなの?人間側には転移出来ないなりに、乗り合い馬車ってシステムがあるんだね。よかった、僕一人じゃ転移魔術の同伴者は最大二人だからさ。」

 うちは大所帯だから、モコちゃんにも気苦労かけてるのねぇ。


 ついに待っていた、王都アポロメルタン行きの乗り合い馬車がやって来た。

 わたし達は皆、買っておいたチケットを車掌さんに手渡して、広い馬車に乗り込んだ。

 エスメラルダが恐れ慄いた。

「座席が無いのかい?あ、あたしの腰は?」

 わたしはすかさずエスメラルダのチケットを車掌さんに見せた。

「大丈夫よ、エスメラルダのチケットは助手席のシートだから。車掌さん、大丈夫ですよね?」

 車掌さんはニコニコ、優しく答えた。

「もちろんです。助手席は私の手伝いの雑務もありますが、腰には優しいでしょう。それに、なんと言ってもこのご時世、助手席に猛女様がいてくれたら、私も魔物に遭遇しても怖くないですよ。」

「そういうことなら、あたしに任せな!」

 エスメラルダは頼もしい所を見せようと、助手席へ。

 乗り合い馬車はわたし達パーティーだけでも人数が多いんだけど、まだまだ人が乗ってくる。

 車掌さんが後続のお客さんに制限を出した。

「ごめんなさいねー。これ以上は運べませんから、次の乗り合い馬車を待ってくださいねー。」

 わたし達パーティーが大人数だからなぁ。すごく申し訳ないけど。


 馬車に揺られながら、そろそろお昼だ。

「お弁当にしよっか?」

「そうだね。チップ、風呂敷開けてー」

「あいよー。ほれ、ほれ。」

 チップが皆にお弁当箱を配る。

 わたし達は馬車の中でお弁当箱を開いた。


 ラビのナポリタン弁当

(1人前)


 ・ナポリタン

 パスタ 1・6cm 100g 茹で時間7分

 塩 大さじ1

 シャウエッセン 2、3本

 玉ねぎ 半玉

 ピーマン ひとつ

 パスタに和えるオリーブオイル 大さじ1

 フライパンのオリーブオイル 適量

 ケチャップ 大さじ2(増やしてもよし)

 顆粒コンソメ 小さじ1

 塩コショウ


 ミニトマト 3つ


 ・ハンペンチーズ挟み焼き

 ハンペン 1枚

 スライスチェダーチーズ 1枚

 バター 20g

 爪楊枝 4本


 パスタを半分に折る。

 鍋に湯を沸騰させ、塩をくわえ、7分茹でる。

 ゆで汁を大さじ2、フライパンへ。

 ザルで湯切りする。

 ボウルにパスタを入れ、手早くオリーブオイルを混ぜる。


 玉ねぎをスライス。

 ピーマンは縦に切り、種を取り、横から薄くスライスする。

 シャウエッセンを横スライス。


 フライパンにオリーブオイルを敷き、玉ねぎ、ピーマン、シャウエッセンを炒める。

 ケチャップ、顆粒コンソメ、塩コショウで、味付けする。


 パスタのボウルにフライパンの中身を入れ、全体を混ぜる。

 追いケチャップもよし。

 粗熱がとれたら、お弁当箱へ。


 ハンペンとチーズを1口大に切る。

 ハンペンを薄くする為、サイドから切る。

 ハンペンにチーズを挟み、爪楊枝でしっかり刺して固定する。

 フライパンでバターを溶かし、ハンペンを焼く。

 粗熱が冷めたら、お弁当箱へ。


 ミニトマトを添える。


 お弁当、完成。


「んまい。」

「にゃあ、なぽーたん、らーいしゅきらよ!」

 わたし達のランチタイム中。

 王都アポロメルタン行きの乗り合い馬車が、いきなり止まって、馬車が揺れた。

「わわぁ!おかずが、おかず、どぇぇ〜ッ!!」

 お弁当箱を必死に守ったわたしは、すっ飛んでって馬車から落ちかけた!

 すかさず、チップがわたしをキャッチ。

「バッカモン!飯より自分の命を守れっての!!」

「だってわたし、まだ一口も食べてないのよ!?」

「何だ?急に止まるなんて。」

 車掌さんが、中に入ってきた。

「今、エスメラルダさんに馬車を護衛していただいております!王都アポロメルタンへの通り道の街道、スルタ町が魔物の侵攻を受けています!妨害結界で馬車はこの先通れません!戦える方は、馬車から降りて魔物を追い払ってください!!」

「!急ごう、クロウ!チップは馬車で皆を護衛してて!!」

「チッ、なんの金にもならねぇ依頼か……」

 ラゴゥとクロウが街に飛び込んで行く。

 入れ替わりに、エスメラルダが戻ってきた。

「エスメラルダ!街の人は?」

 エスメラルダは困惑顔だ。

「それが、なぁんか、妙さね。魔物達と市民の睨み合いで……なんだか、いい匂いもするし。」

 カイヤさんが気づいた。

「む……ほんとだ。カレーらしき匂いが……」

 ニャビが馬車を出ようとした!

「かえー!にゃあも、たべうっ!!」

「ダメよニャビ!!罠かもしれないのよ!!だいたい、魔族は人間食べるんでしょ、モコちゃん!?」

 モコちゃん、毛並みを立たせて、張り詰めている。

「カレーだの人間食べるだの以前に、降りちゃダメ!!この気配は、僕の胴体をやった奴だよ!!強過ぎるし、危険だ!!」

 !

 ……モコちゃんの胴体切断の、犯人ですって!?

 エスメラルダは尋ねた。

「魔王城の勇者パーティって訳じゃなさそうだね。」

「わからない。僕は弱り過ぎて名前を失っているから、記憶も曖昧なの。確か、僕を襲ったのは、勇者候補のパーティだ。各地から王都アポロメルタンで任命されに行く勇者志願の一組。それに、この街には上級魔族も来てるよ。呪いが蔓延してるから。」

 チップがわたしのお弁当箱を見て、驚いた。

「おい!ラビ、おまい、弁当が……!?」

「へ?」

 なんと!

 わたしのお弁当箱、ナポリタンやおかずが魔術封印かかってるじゃないの!!

「えぇ〜!!?まだ食べてないのに!!!わたしのナポリタン弁当!!ニャビ、何とかしてよ!!」

 魔物さえいなければ、吃音症は出ないし、どんな高度な呪文も知っているニャビだが、杖でつついて、ちっちゃな眉をシワシワにした。

「……らびぃ、こえ、わかんないお!ふーいんの、じょーけん、しらべらいと、にゃあにはとけないお!」

 チップがお弁当箱を見て囁いた。

「封印の条件ねー。カロリーだったりして?」

「そんな馬鹿な事で、勇者候補と上級魔族が戦う訳無いじゃない。なんにしても、モコちゃんの仇だし、お弁当の仇よ。どっちもわたし達の敵!昼ごはん抜きで吟遊詩人(ジョングルール)は唄えないの!わたし達も討ちに行こー!!」

 チップが突き進むわたしの襟首を捕まえた。

「バーロイ!モコの話聞いてたか?仮に討ち取りに行くとして、ガキの魔族の胴体凪いだ勇者候補と、呪い蔓延させとる上級魔族、両方相手にする気かよ?今は犬と女性陣しかおらんだろがい!」

「そりゃあそうよ!魔族と言っても子供の胴体ちょん切る輩は、勇者なんかじゃないし、わたしが認めないからね!そうでしょ、カイヤさん!?次期女王からも言ってやってよー!!」

 カイヤさん、立ち上がり、剣の塚に手を当てた。

「モコが怯えてる。成敗するなら、それで理由は充分だが?」

 慌ててエスメラルダがカイヤさんを止めた。

「焚きつけるんじゃあないよ、ラビ!おやめ、カイヤ!お前の剣は人に向けちゃならないと、あれほど習ったろう!?お前やたらに強いんだから、勘弁しとくれ!!」

 ニャビが何か高速詠唱して、モコちゃんにステッキをあてた。

「あれ?防護魔術?すごいや、ニャビちゃん!」

 モコちゃんの周りを、薄いブルーの光が覆っている。

「ニャビ!参戦してくれるの?」

「こえで、いいお!にゃあたちで、もこちゃんのかたき、うとー!!」

「多数決だ!多数決で可決ですー!!さぁ、馬車を降りて行くわよー!!」

 チップとエスメラルダが呆れている。

「ラビや。何がお前さんをそんなに強気にさせているんだい?」

「だって猛女エスメラルダがいて、ジェダイトさんの剣の師匠のカイヤさんがいる!逃げとなれば、チップもいるのよ!それにね、あくまで食い意地だけじゃないわ。モコちゃんの仇は、道徳的にもおかしいじゃないの。そんな人が勇者候補として王都アポロメルタンに行くのは、阻止しなくっちゃあね!」

 車掌さんが慌てて引き留めた。

「戦える他の冒険者さんは残ってくださいね!あちらは訳ありのようですが、馬車がやられては、徒歩ですからね!?」

 わたし達は車掌さんに頭を下げた。

「車掌さん、手薄にしてごめんなさい。わたし達、戦いに行ってきます!」

「どちらにせよ、街の状態が戻らなければ道は通れないのです。お任せしますよ、猛女さん達。」

Copyright(C)2026 燎 空綺羅

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ