表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
99/205

隔離されてる島1 再戦


島の海岸にて 小さな光と共に複数の人間が現れた


「生存者は…… 全滅か……」


一人の男が島を見渡すなりそう呟く


「いや…… 二人か? そう遠くは無い場所にいる」


「元々他所者にやらせるのが間違いだったんだよフリード」


呆れる素振りをする別の男に対して フリードは視点を島から男の方に移す


「俺が言った訳ではない 社長マスター……

いやオーナーである国王様の気まぐれだ

時期に残った奴等も消える 今回は想定通り失敗だ」


「どうせ来たなら捕獲すれば良かったのに」


「任務じゃない ただの死亡確認だけ…… 帰るぞ」


そう言って三人は再び姿を消した




時は戻って集落にて 族長の話を聞いていた束縛されたニクロは考えている


ーー賢族には賢族なりの考えがあった 何かを助けよう 何かを守ろうとする意思

俺達人間と変わらない だけど……


ニクロは苦しくも顔を上げ 辛そうな表情で言った


「言えないな…… 憎しみを抱かない それがお前達だったんじゃないのか?」


「…………」


族長が手を挙げた瞬間 焼き印では無く 鉄の串を数本 ニクロの両肩に突き刺した


「あがぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」


「痛むか? お前も我等と一緒だ そして……

我々もお前達と一緒で痛みを感じる 肉体的にも 精神的にも

痛いものは痛い そうだろう?」


族長は激痛に悶え苦しむニクロを笑うのでもなく まして哀れむのでもなく

ただただ真顔で彼を見定めるかのよ様 視線を外さなかった


「儂は先祖方を謙遜している 他族と争わないそれが平和だ

しかしあくまで自己の思想でしかない 現実は血を流す様だ

我々は隔離された島で安泰を待ち焦がれ 外からの害は無いと思い込んできた

そこに現れたのがお前達だ

戦わなければ死ぬ それを気付かされたのは他でもない人間からだ

お前のような人間に説教される覚えは無い!」


「……あの~~ 族長さん そこら辺にしといた方が血圧上がりませんよ?」


エヴァノールのフォローが族長の火に油を注ぐ


「黙ってろ人間!! お前等の指図は受けん!!」


先ほどまで冷静な態度をとっていた族長が今や周りの誰よりも怪物らしいと

あくまで今の状況をクールに傍観するエヴァノールは察した


「落ちつけよ親父」


「……ラングールか」


凶暴化したと思われた族長に 沈痛を打つかの如く声を掛けたのはラングールだった

そしてその横にワルムも一緒に宥めている


「兄さん!! 身体はもう大丈夫なの?!」


ルーサが近寄ってラングールに心配の表情を見せている


「あぁ 傷はまだ残るがな」


ラングールはヨロヨロとした動きで族長の前に出て来ると


「怒り出したら昇るだけ……

万が一の時でも 俺達種族の舵取り役が常時冷静であれと言っていただろ親父」


「悪かった……」


「俺も…… 癇癪を起してしまったから隙が生まれ 人間に負けてしまった」


「長もラング-ルも私も反省かな?」


ワルムが笑うとその場にいた皆がクスクスと笑い出す 今までの緊張状態が一気に無くなった


「ラングールよ ハヌマンはどうした?」


「アイツはまだ怒ってるよ 何せそこに仕返ししたい奴がいるからな」


ラングールはニクロに指を差す


「…………」


ニクロが黙っていると 族長は一つの提案をした


「なら戦わせるか?」


「ちょちょ! 族長さんいいんですか? アイツから情報を引き出さなくても?」


「捕えた囚人はまだおる 連れ出せ!!」


エヴァノールの意見をも無視し ニクロは集落の広場に引っ張り出された

ニクロは辺りを見渡す 毛深い猿のような人種の集まり

まるで自分は食料にでもされているのかと そんな恐怖を覚える

集落を歩かされ 外へと出ると大きな砦が目の前に立ちはだかった


ーーなんだこれは?


中に入りしばらく進むと光る出口が見えてくる

青空が見える場所に出たニクロは感じた 踏み入れる大地を囲むように造られた砦

逃げられない状況 まるでここは


「闘技場 そういえば分かるか?」


ニクロをその場に投げ捨て 族長らは砦の上にて高みの見物だ

彼はフラつく身体で何とか立っていて 反対側より静かな空気を裂くその音はやって来た


「…………」


ニクロの目に映る 入り口の柵がゆっくり上がって暗闇からハヌマンが出て来る


「また会ったな……」


ハヌマンはその鋭く尖った歯を見せ 肩を鳴らしながらニクロに近づいてきた

それと同時に族長も立ち上がり 催し物でもあるまいが試合前の習わしを淡々と進める


「ハヌマンよ 今回は特別だ 炎豪の誓いでお前を親分の職に定める」


「はいはい…… 態々なんでこんな面倒くせぇ……」


砦の上で見ている族長の隣にエヴァノールも立ち会う


「何ですか? 今の〝炎豪の誓い〟とは?」


「ただの習わしだ 相手を殺すのではなく しっかりとした儀式の下で刑を与えるだけ」


「ふ~~ん」


エヴァノールは何かに引っかかったが 今は観戦を楽しむことにした

一方で開戦の合図を出されたハヌマンは一気に走り出し ニクロへと近づく


「オラァ死ねぇ!!」


ハヌマンの一撃に立っているのがやっとのニクロはギリギリで横に避け しかしその場に倒れる


「ハァ…… ハァ……」


荒い息と共に一歩一歩距離を取るが すぐにハヌマンに追いつかれ


「まさに処刑だな…… でもあれでハヌマンは納得するのですか?」


エヴァノールの質問に族長は難なく答える


「彼奴はただの馬鹿だ 一度勝った相手を殺すことができれば十分なのだよ」


「そうですか……」


エヴァノールが見た光景は彼に笑みを作らせる


「でもまだ勝敗は分からないようですね」


それは族長も いやその場にいたギャラリー全員が見ていた



「治癒魔法〝パナケイラ〟」



ニクロに与えられた傷は数分も経たずに治り始め即完治


「なん…… だと?」


目の前にいるハヌマンも今起き状況を理解出来ずに焦り出す


「ただの危害ある種族では無いことはよく分かった だから俺達は帰る」


「……はぁ? 何言ってんだてめぇは?!」


ニクロは構える ハヌマンは考えることを止めて獰猛に襲い掛かる準備を始める

するとニクロは全身のオーラを足に集中させ 砦の上にいるエヴァノール目掛けて跳んだ


「!?」


不意を突かれたエヴァノールは動くのに遅れ


「俺達が狙ってんのはお前らだ!! 革命軍!!」


ニクロの一撃がエヴァノールに襲い掛かった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ