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創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
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ギルド入社試験会場12 炎豪の民


島で一番目立つ山岳地帯 上空からでも探せないとある種族が密集する集落が存在した

外見は人間とは少し異形で全身体毛が特徴的な種族

衣類・食料・住処は全て自足で至り 今の時代とはかけ離れた原始的な文化を持つ

そんな中で数か所 石で造られた牢獄が聳え立っている

薄暗い階段を松明で照らしながら下りる一人の人間 その後ろを数名の人ならざる者が同行する


「…………」


少年はジッと目の前の檻を見つめる


「さっさと殺せばいいものを……」


隣の人ならざる者が不機嫌に呟いていた




場所は移って檻に囚われるはまた別の人間達


「……あの黒人のことを話す気になったかな?」


「知らない…… と言った筈だが?」


「……はぁ」



「エヴァノール! お前は何がしたんだ?」



「まぁ…… そう焦んなさんな」


檻の向こうでエヴァノールと化け物が言い争っている一方 檻の中にいる一人が尋ねる


「お前らが革命反士か?」


「こっちの質問は答えないクセに随分な態度だなぁ」


「……確かにな」


繋がられた鎖が地面を擦る音が鳴る中 質問した囚われの男が黙りこくる


「引き続き見張りを頼む」


そう言って見張り役を残し エヴァノール達は外へと姿を消した


「ニクロの奴…… 大丈夫かな?」


「さぁな」


「勝てるわけなかったんだ あんなに魔力を消費した後で」


人が消えるなり 檻の中の六人は密かに話し出す


「アタランテ もういいぞ」


「あぁ」


アタランテが息を吐くと同時に その場にいた六人の内二人が姿を消す


「こんな能力あるんですね?」


「地方別で言葉は違うが…… まぁアタシらは特殊魔法と言ってるよ」


「まさかライトとイリアの人体をそっくりそのまま造り出すなんて……」


ダルタは小声で驚いていた その横からヴェルが冷静に質問する


「それ全員分造って脱出出来ないのか?」


アタランテは冷や汗を掻きながら言った


「三体でも吐きそうになるのに六体なんて魔力……

保たないよ…… 一体でさえ造るのやっとなの」


「それ考えたらニクロは特別だな」


ダルタは今でもあの神秘的な治癒魔法が頭から離れなかった


「何種類の魔蛍を組み合わせたら あんな魔法が出来るのか教えて貰いたいもんだな」


そう言ってカーソンは 頭上の小さい檻から覗ける外の空を見ながらゆっくり立ち上がった


「カーソンさん?」


鎖が地面に擦れる音で牢番が気付いて近寄った


「貴様! 大人しくしていろ!!」


「悪いな化け物」


どこからともなく突風が吹く

すると突然ダルタの目の前にいる檻越しの番人二人が静かに地面に倒れた


「何もしてないのに……」


「アタラン あの鍵だ」


「了解」


アタランテは番人の腰にある鍵を記憶し 同じ物を精製した

全員の手錠を外し 檻まで外した彼女の完璧な動きにヴェルは軽く言葉を投げ掛ける


「暗殺者も尊敬する極微な動きだ すげぇ……」


「……俺にはさっぱり分からなかった」


武器を剥ぎ取り 階段まで辺りを見渡しながらカーソンは忍び足で進む


「外の状況を知りたい お前達はここで待ってろ」


ゆっくり階段を登るカーソンをダルタが止めた


「カーソンさん…… 逃げるんですか?」


「敵の懐にいるんだぞ 皆でさっさと逃げようぜ」


「…………」


何か言いたげなダルタの背中をアタランテが強く叩く


「痛っつ!!!」


「皆でって言ってんだろ なっ! カーソン」



「置いてくと思ったか? ニクロも捜しに行くぞ」



その時見たカーソンの背中は偉大だった 経験故の信頼と安心をダルタにくれた




時は遡り 別の建物の地下の牢獄

そこにはニクロが拘束され 椅子に座らされていた


「調子はどうですか? 族長」


「リーダーさん…… この者一向に口を開かんな」


「尋問というより拷問が似合う今の状況でまだ口割ってないんですか……」


鼻で笑うエヴァノールに隣にいた者が槍先を向ける


「口が過ぎるぞエヴァノール」


「やめろルーサ そいつは客人だ」


「チッ……」


ルーサと呼ばれる者は槍を引き 長い髪を靡かせながら外に出て行った


「気高く気丈な外見とは打って変わっての子供っぽさがありますな」


「儂の娘だ さてこっちに戻ろう

ニクロよ もう一度聞く 其方らをこっちに寄越した黒幕は誰かな?」


「…………」


ニクロが黙秘してると 一族の紋様がある焼き印を背中に押し付けた


「ああ…… あぅ……」


「もはや声も出せぬか? 相当疲労が溜まっているようだな」


「……ここは」


「!?」


族長はニクロに対して初めて恐怖を覚える


「ここは…… 〝無黒〟なのか?」


「ん!? 何故お前がそれを言う?」


ニクロの発言に動揺を隠せない族長の顔をエヴァノールは見逃さなかった


「……?」


「儂の質問をまず答えろ」


「…………」


族長に対してまた黙秘するニクロにエヴァノールは痺れを切らす


「焼き印だけじゃ足りないんじゃないか?」


「……そうだな」


族長は近くにあった椅子に腰を下ろし ニクロと対面に向かい合う


「昔話をしてやる 我ら〝炎豪の民〟のな」 


「……?」



ーー自分のことを先に話して相手の心を開かせる手法…… か……



エヴァノールは今から話す族長の話に興味を示さず

ウマが合わない猿達の行動に呆れて 近くの監視室で一服していた



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