ギルド入社試験会場11 引き受ける
崖に衝突したラングールは 微かに身体を動かしながらも生きていた
「あぁ…… あの野郎……」
ラングールが必死に藻掻き苦しんでいると 辺り一帯をも消し去る黒い光線が
無慈悲にもラングールを巻き込んで崖と崖の間に巨大な隙間を作った
「っ……」
その光景はライトとダルタも見逃さなかった
しかしライトは文字通り全身全霊を尽くし その場に倒れる
「ライト!!」
ダルタは即座に駆け寄る 全身に火傷を負っても生きてるのか判からない彼を前にして
何をすればいいのか答えが見つからない
「ライト! ライト!!」
回復魔法を身に付けても どの類を使えばいいのか分からない
ただ声を掛けるだけしかできないダルタに巨大な影が迫る
「……何だ!?」
遠くの森から泣き声が聞こえる
方向は黒い光線が飛んで来た場所からだ
それはこっちに向かっていることをダルタは察する
「サル寅」
木を薙ぎ倒し 狂いながらこちらに迫って来ていた
ダルタはライトを担いで逃げようとするが 全身が熱くて上手く持てない
「クソォ……」
どうにかして正反対に逃げようとライトを運ぶが 身を隠すには遅過ぎた
「ウホゥ!!」
巨体が目の前に現れ ダルタはライトを庇うように背を向けて死を悟ったその時
「破音!!」
別方向から襲い掛かる謎の衝撃は サル寅を遠くへと吹き飛ばす
「ハハ…… 生きてたのか……」
ダルタは腰を抜かし 目の前の人物に笑顔を見せた
そこに居たのはラウルとヴェル そしてカーソンだった
「レイ……」
アタランテはカーソンに全身を押し付けて地面に倒す
「おいおい…… これでも重症なんだ 当たり障りは延期で……」
「馬鹿野郎…… 心配…… じだんだぞ……」
心のそこから涙を流すアタランテに カーソンは苦しさを抑えてただただ笑う
その後ろにいたニクロはライトの姿を見るなりすぐさま近寄った
「ライト…… まさか……」
「あぁ…… 魔約を使った」
ダルタは今まで起きた全てを話す
「イリアはいつ……」
「数時間前だ…… すまん…… イリアはもう……」
燃え盛る炎に囲まれ 守られてるかのような形で その渦の中にイリアはいた
それを見たニクロは立ち上がり イリアのもとへと歩き出す
「ニクロ…… 何を……!?」
ダルタはふとライトを見下ろす
そこにはさっきまで火傷状態とは程遠い
ピンク色の健康な肌に再生されていた
「イリア……」
ニクロはそっと頬に手を置き 数十秒間ジッとしている
「アイツは何者なんだ?」
アタランテがただただ驚きを隠せないでいると そばにいたレイフが呟く
「英雄さ」
ニクロはそっと手を離し イリアを抱き上げて戻って来る
「成功か?」
ヴェルの問いにニクロは ニコッと薄ら笑みを見せた
「手遅れではなかった…… けど時間が立ち過ぎていたから当分は目覚めない」
何を言っているのか理解が追いつかないダルタは すぐにイリアのもとへと駆け寄った
「生きてる…… のか……」
「あぁ」
状況は理解出来なかったが ダルタはその場で泣き崩れた
「悪いがダルタ…… 時間が無い」
それは突然だった ニクロの雰囲気が変わりイリアをダルタに背負わせる
ライトはヴェルに担いで貰い急いでこの場を離れるよう促す
「なんだい…… せっかくの再会を……」
アタランテがぶつくさ言ってると 隣にいるカーソンも感づく
「仲間か…… いや〝それ以上〟の奴らだな」
「俺が引き受ける 今すぐ正反対の方へ逃げてくれ」
ニクロの指示にダルタは納得出来ず 彼の胸ぐらを掴む
「仲間を失うのはもう嫌だ カッコつけんなよ……」
「……ライトとイリアを守ってくれ」
「!?」
「勝てるのか? 二クロ?」
カーソンじゃ不安の声をそのまま口に出すが ニクロは静かに頷く
「あの怪物とは多分…… 次元が違う
だから俺がやるしかないんだ」
ニクロが前に出ると ヴェルも前に出て来た
「俺も足手まといか?」
その質問にニクロは躊躇無く答えた
「あぁ」
そう言われるとヴェルは何も言わず ダルタ達と共に後方へと逃げた
「そろそろ来るな……」
森がざわめき ニクロの瞬きと共に三人の刺客が現れた
「まさかこいつがあの猿共とサル寅をねぇ~~」
「気を抜くな どうやら俺の予想は正しかったようだ」
三人は構え 目の前にいるニクロも構える
数時間に渡る激戦 それは遠くに隠れるダルタ達にも伝わった
この戦いが原因で島の中枢には巨大な大穴が創られた
そして夜が明ける頃 ニクロ含めた六人はとある集落に生け捕られた
とある集落の集会場
「ワルムは戻ってきたのか?」
「はい先ほど…… あのハヌマンとラングールも酷い重症でして……」
「即始末した方がいい!! 長!!」
「……リーダーさんはどう思うのかな?」
「…………」
「エヴァノール!!」
「あっはいはい……」
ーー劣等生物の処理を劣等生物に決めさせるのか?
特攻部隊リーダーのエヴァノールは立ち上がり 静かに口を開く
「始末する件に関しては何の反論も無いが
内一人には尋問したい 及び人間共の首をはねるのは少し待って欲しい」




