ギルド入社試験会場4 第三の敵
撃たれた奴は生きていた
身体を自由にすることは出来ず 機械のようにぎこちなく
しかしその目はニクロを殺そうとしている
「何人も殺しやがって……」
ニクロは構えた そして全身の纏蛍オーラを右拳に集める
ーー奴はそう動けない…… 余裕で溜められる
右拳に魔力が集中し その拳は爆発的に光り輝く
「まず一体……」
ニクロが殴ろうと拳を突き出したその時だった
「やめろぉ!!!!」
ドルがニクロを抱きかかえ 攻撃を対象の頬に擦らせてつつも地面に滑り込んだ
「何すんだよ!!」
「利用できる!!」
ドルの笑顔にニクロは理解出来ず硬直した
「その通りだニクロ」
ホットも木から降りて来て ニクロの頭をど突いた
「一回は見逃してやる 次単独で行動したら銃口をお前に向けるからな?」
「っ……」
敵を拘束してニクロ達は改めてその姿を見る
「人間…… なのか?」
「いや…… 猿じゃね??」
ニクロとドルが考察していると 捕えられた敵は口を開く
「ヒトだ馬鹿!!」
「意外に友好的…… 知性はそこそこあるんだな」
敵のツッコミにホットがツッコむ
「てめぇら……!! 兄さんが来たら覚えてろよ!!」
「お前もこいつくらいに積極的にしゃべれるようになれよ」
「っ……」
ドルがニクロに絡んでる中 ホットがあることに気付いた
「お前…… 女…… いや雌か……?」
「うるせい!!」
女性らしき敵の罵声を聞いた後に ホットは二人を少し離れたところに連れ出して
「どうしんだ?」
ドルが問い掛けると ホットは少し青ざめた表情で話し始めた
「アイツを始末した後 すぐに海に向けて移動するぞ」
「「 何で?? 」」
二人同時に疑問に思った ホットは慌てるように説明する
「あれは雌だ 雌であの戦闘能力だとしたら雄はどうなる?」
「「 ……ヤバいな 」」
「革命反士よりもまずこっちが問題だ すぐに移動するぞ」
ホットは再び敵のところに戻り 銃を構える
「グゥ……」
「悪いな……」
ホットが短銃の引き金を引こうとしたそのとき
「やめろ!」
突然ニクロがホットの銃を掴み 銃口の向きをデタラメな方向に変えた
「チッ……!」
ホットはニクロの胸ぐらを掴み上げる
「今さらどういうつもりだ?」
「殺す必要は無いだろ? 試験の条件じゃない」
「今さらそんな綺麗事は通じねぇぞ?
さっきお前…… フルパワーでアイツを殺そうとしたろ?」
「殺すつもりは無かった」
ニクロは敵に指を差し ホットに反論する
「アイツの身体は頑丈だ…… 俺の実力は分かる
アイツを殺す程度の魔力は持っていない だから気絶させようとしただけだ」
ニクロの言葉にホットは舌打ちし ニクロの身体をぶん投げた
ドル「……でどうすんだ?」
ホット「……海に移動する 各自荷物を持て」
二クロ「俺はここで別れる」
ドル「は?」
ニクロの急な発言にドルとホットは驚きの顔を見せる
「俺の話を聞いてなかったのか?」
ホットの怒りを混ぜた声にニクロは平常で返した
「俺にはバラバラになった仲間がいる 化け物がいるなら俺は仲間を助けに行く」
「「 ………… 」」
ニクロの言葉の最後に その場に沈黙が流れる
そしてホットが何食わぬ顔で荷物を取りに行った
「ニクロ」
「ん……?」
ドルがニクロに掛けた言葉は 割に合わず優しい言葉だった
「もしもの時は助けを呼ぶんだぜ!」
そう言ってドルはホットの後を追った
「ドル…… さん」
一人残された森の中で 既にいない二人にお辞儀をし
拘束したままの敵の前に立つ
「「 ………… 」」
ニクロは敵の顔を見て深く頭を下げた
「お邪魔します」
「…………」
そう言ってニクロは洞窟の荷物を持ち 日の出と共にライト達を捜しに出たのだ
数時間後 囚われた敵の前に一つの影が現れる
「強かったかワルム?」
「ラングールの兄貴……」
ラングールと呼ばれる仲間はワルムの拘束を解いて自由にしてやった
その瞬間ワルムは 辺りの小鳥が逃げるほどの叫び声を発する
「あぁいぃぃつぅぅらぁぁぁぁぁ!!!!」
その怒りは森全体に響き渡り 思わず近くにいたラングールも耳を塞ぐ程だ
「アタシは殺しに行く!! 人間の分際でぇ……」
「俺は人間が密集している場所を見つけたからそこに行く
別行動は構わないが 次から次へとヘマをするなよ?」
「わかってるよ!!」
そう言ってワルムは物凄い形相でその場を去った
「さて…… ハヌマンは既に向かってるから行くとするか……」
ラングールもまた木々を蹴り その場から移動した
少し離れたライト達は今回の参加者達と共に行動していた
「アタランテさん! 煮込みはこのくらいで?」
「上達したじゃないかイリア~~ やっぱり女の子は料理も上手くないとね!!」
少し年上の女性にイリアは朝飯の仕込みを教えて貰っていた
その近くでライト達は 複数の参加者とこれからについて話し合っていた
「近くで悲鳴が何件も出ている 俺達も複数固まってるからといって油断は出来ない
既に方々で戦闘が始まっているということだ」
大勢の人間が輪を作り その中心にいる人物が次々と話し進める中
他の参加者も次々と意見を述べていく
「罠をもっと増やすべきだ 地雷を持ってきてある」
「敵を知らない以上 罠の仕掛け方も考える必要があるのではないか?」
「一先ず拠点は出来たんだ 周囲にでも仕掛けるのは悪くないと思うが?」
次々と話が進み 数十分後ようやく会議が終了する
疲れ切ったライトの様子を遠くから見ていたイリアは彼のもとに駆け寄った
「お疲れ様~~」
楽しそうに迎えるイリアに対し ライトは笑う体力も無くその場に座った
その後ろからはダルタが楽しそうにやってくる
「いや~~ やっぱりプロは言う事が違うね 参考になるわぁ!!」
「ダルタは知識欲があるからね それに比べ……
ライトは座学とかに縁が無かったから……」
イリアとダルタが心配な眼差しで見やるライトは 腹に手を押さえて料理に手を出す
「こら!!」
手を伸ばすライトにアタランテの持ってるお玉が直撃する
「痛て!!」
「サバイバルでしちゃいけないことは期待を裏切ることだ 覚えときな!」
「はい……」
手を撫でるライトの肩を 後ろから組んで来る男が現れて
「アタランに説教されるようじゃまだまだ子供だなライト!!」
「カーソンさん……」
「飯時まで女の手料理を黙って待つのが男ってもんだぜ?!」
カーソンは普通より少し大きめの声で助言を授け
それを聞いていたライトは ただただウザがっていた




