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創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
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ギルド入社試験会場3 元有名人な二人


転送されてから数時間後 とある場所で


「ハァハァ……!! 皆やられちまった……」


一人森を駆け巡る参加者 その背後から追ってくるのは


「ウホゥ!!」


人の何倍もある体を持つ怪物が辺りの木の枝を掴んで移動し

並の速さでは無い速度で逃げる男に迫って来た


「なんで…… なんでこんな所に……!!」


男は地面に沿って伸びる木の根に足を引っ掛けて横転してしまう


「ウホゥア!!」


男は怪物の方へ振り向けば死を覚悟した


「何でこんなとこに〝サル寅〟がいるんだぁ!!!!」


叫び声は森一面に響き渡ったが それも一瞬で消える




一方ニクロは森を彷徨う中である人物と再会していた


「お前もはぐれたのか?」


「ハァハァ……」


ニクロと一緒にいる男の息は荒く 何かから逃げてきた様子だった


「ハァ…… 水あるか?」


「あぁ」


ニクロは貴重な水を一杯分け与えた


「うはぁ~~ 生き返る~~」


「アンタ名は?」


「同じ参加者だからって敬語使わないと企業ではやっていけねぇぞ?

まぁ水貰ったわけだしぃ?? 偉そうなことは言えねぇがな!!

俺はドル! ドル・マーフィーだ お前は?」


「俺は……」


ニクロが名乗ろうとした時 木の上から人が降りてきた


「アンタがあのドル・マーフィーか…… 元AAの」


「それは痛い過去だ 掘り起こすなよ」


「あぁ悪かった」


突如上から現れるなりドルと話す男をニクロは知っていた


二クロ「ホット…… さん?」


ホット「お? 敬語使えるようになったなクソガキ!!」


ドル「俺が教えてやったからな」


そう言ってドルはニクロの頭を軽く叩くと ホットは銃の装填に入っていた


ドル「まずは現状を確認しよう お前らの転送後の状況を教えてくれ」


二クロ「俺は一人だった 教えられるようなことは何も起きてない」


ホット「クソガキもか…… 俺もそうだ まぁ好都合だったが」


ドル「俺は三人だった…… 途中で何十人かと一緒に行動していたが……」


ホット「どうした?」


ドル「全滅した」


「「 ?? 」」


ニクロとホットの驚くタイミングが合う


「あれは化け物だった…… 

俺は奴等を見捨てて一人必死でここまで逃げて来てしまった……」


「……取り敢えずもうすぐ日が暮れる 今日は野宿する場所を探した方がいい」


「そうだな……」


三人は共に行動する事にした 偶然見つけた近くの洞窟にて暖を取る


「木の枝にも燃えやすいもんや全然燃えないもんがあるんだなぁ」


「こういうサバイバルを常にやってる奴は多種多様の地味な知識も持っている」


二人が焚き火を熾していると ニクロも枝を掻き集めて帰って来た

そして火を囲み 釣った魚を焼いて三人は頬張る


「しかしドル…… 四年前と全く別人になったな」


「……そうか?」


「落ち着きあるって言うか 悪い方で元気が無くなった…… と言うべきか」


ホットとの会話でドルは 食べていた焼き魚を火のそばに戻す


「俺の時代は終わった 最近の魔法の発展の所為でな……

お前が入っている〝人間国宝サブエージェント〟は健在か?」


「フッ……」


ホットはゆっくり拳を握り 親指を立てて自分の首を斬るように横に引いた


「クビにさせられたよ オーガ国王殿にな」


「マジか…… いつ?」


「四年前のあの大会で何の功績も残せなかったからな

今は大活躍したルンウェイという男が任せられている……

人間国宝と言っても 国の力を他所に知らしめる兵力の代表といった形になっている

俺は銃の腕が良かったから当時認められていただけだったんだ」


「国の宝は兵器ってとこか……」


「あぁ 水面下では七大国のどの奴等も天辺を欲しがってる

戦争なんざ表向きにならないだけで 裏で数多くの血を流し続けているって時代だ

今や革命軍なんてものも出て来ているからなぁ」


「その一部を俺達は今追ってるんだよな」



「あの~~」



二人の会話にほったらかしのニクロが割って入る



「二人は知り合いなのか?」



「まぁ実際に会って話すのは初めてだがな」


「互いに昔は有名だったってことだ」


二人が笑い合い ニクロがついていけない中

その温かい焚き火が僅か一吹きで消えた


「見~~~~っけた!!」


辺りを巻き込む風と共に 三人は謎の声だけする方に向けて戦闘態勢に入る


「敵か?」


「挨拶の仕方からしてそうだろう」


戦闘慣れしている二人に対し ニクロは奇襲に遭ったことは無く

出遅れたことによって動揺を生む


「ど…… どうする?!」


「俺は接近戦は得意じゃない 二人共囮になってくれ」



「「 はぁ!? 」」



ホットの直球かつ安易な提案に二人は驚いた

その二人を見てホットは軽くほほ笑む


「焚き火を囲んで素で会話したのは数年振りだ 友を裏切りはしない 信じろ!」


ホットは洞窟から出るなり すぐさま森に逃げ込んだ


「どうすんだ?」


ニクロは今頼れるドルに聞く


「……見晴らしの良いところを走る 〝絶円〟は習得してるか?」


「何それ?!」


「纏蛍の裏技だ まぁ習得してる奴は少ないから覚えてるわけねぇか」


ドルは目を瞑って纏蛍を発動し その体外を覆うオーラが膨張し始めた


「これは……」


「俺は精々8m ニクロ!! この円の中からけして外れるな」


ドルは勢いよく走り出し ニクロも必死に後ろを付いて行く


「キャハハハ!! 逃がさねぇよ!!」


その影は常人では有り得ない速度で木々を駆け巡ってドル達を追う

一方ドルとニクロは走りながら不安を抱く


「おい! 適当に走って良いのかドルさん?」


「大丈夫だ! アイツは銃の名手

こういう隠れんぼに打ってつけの場所はむしろ奴の領域なんだぜ?」


ドルは今日会ったばかりの相手に不安を隠せないが

ホットの職業というだけの信頼を頼りにそのまま走り抜ける

しかしニクロは違った


「……ニクロ?」


「ごめん 俺…… あんまり人を信用出来ないんだ」


ニクロは立ち止まって構える


「来るなら来い 逃げるだけに三ヶ月修行したんじゃねぇんだよ!!」


「よせ!! ニクロ!!」


立ち止るニクロは格好の標的 その影は躊躇なく彼をターゲットに定める


「…………」


自分を中心に辺りの木を飛び回る敵に対し ニクロはその者を視界から外さない

そして敵は足音と共に二クロ目掛けて急接近した


「死ね」


鋭く尖った爪はニクロの首筋に近付いたその時


「!!!?」


敵は恐怖を覚える 何故ならニクロの両目は間違いなく自分を見ていたからだ


ーー何なの…… こいつ……


その一瞬が敵の命取りだった

乾いた音が意味するのは敵を仕留めた合図

そう言われる程の腕を持つ彼の通り名は マスターホット



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