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創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
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隣国ヴァジュラ5 成長した姿を君に


高台の家のオグルの部屋ではオグルが紙を見ながらニヤニヤしていた


ーー ライトは赤の魔蛍 無邪気で無鉄砲なところもあるが

臆することなく前に出る特攻向き そのまま火属性魔法を教えようかの

  

   イリアは黄の魔蛍 心が豊かな証拠じゃろう 

特に口を出さず自由に自分の合う魔法を身につけて貰いたい

  

   ダルタは桃色の魔蛍 いかなる時も優しさを忘れないダルタだからこそ

希少種である二世代魔蛍が寄ってきたのじゃろう

桃色の魔蛍が生み出す力は主に治癒魔法 

全員のサポートが出来る技を教えるのが最適じゃろうな


   ヴェルは黒の魔蛍 これは予想外じゃが普段から素を見せないから当然か

それよりも黒の魔蛍を見て咄嗟に浮かんだのはやはりメゾ-ラ族

またの名は〝氷河の民〟 やはり何か関係してるのか


   いや それよりも問題なのがニクロだな

彼奴あやつだけは本当に謎だらけだ 素性を言わないヴェルよりもな

海辺で拾ってきたワシの行いの結果じゃからして得体の知れなさは仕方ないが

まぁ~~多種の魔蛍が寄ってくるなぁ…… 只者ではない……


オグルは椅子をワザと傾けて座りながら悩んでいた中

ドアをノックする音が耳に入ってきたので開けてみると


「お前は……」


「久しぶりだなぁオグル……」


玄関先には銃を背負った男が ニクロとヴェルを担いで立っていた


「ホット……」


「これアンタんとこの弟子か? 懲りなくやってるねぇ」


二人を玄関に落とせば そのまま立ち去る素振りを見せる彼をオグルは呼び止める


「待て!」


止めようとしたオグルに 殺意に満ちた目でホットは睨み返す


「悪いが…… アンタを見てるとどうも吐き気がするんで帰らせて貰う」


そう捨て台詞を吐いて奴は徐々に高台を下り オグルの視界から姿を消した




「痛っ……」


目が覚めた二人はお決まりに拳骨を食らう


「あの森で何してた? 特訓ってレベルの音じゃなかったぞ?」


「「 ………… 」」


ヴェルは黙りこくり ニクロも敢えて答えなかった


「はぁ……」


オグルは諦め 理由は聞かずに午後の実践へと移る




場所は森の奥 ニクロとヴェルが交戦した場所だった


「オマらが暴れたおかげで良い練習場が出来た

これより各々の個性に見合う魔法を身につけて貰う じゃが……」


オグルは始める前の明るい表情を壊し 険しい表情で問うた


「何だよ先生 急に怖い顔して」


「な~~に! ちょっとした二択の内どちらかを選んで貰うだけだ

仲間との連携を考えた常人より遅れる修行をするか

己の潜在能力を最大限に引き出し 人一倍強くなる修行をするか選べ!」


「「「 ?! 」」」


突然の質問に五人は戸惑う


「あの…… 今になってどうしてそんな……」


「魔法の上達は魔蛍操作・筋力・知識を必要とするのは基本!!

じゃがここぞというときに試されるのは判断力!!

それにより 自己を集中的に鍛錬するならば誰よりも早く上達出来る上に

実戦でも格上を負かす戦闘スタイルを持つことが可能だ

けして運では届かない領域があることを知って欲しい

苦労せずに力を手に出来るのは神だけだ 以上!!」


オグルが五人に背を向けるとライト達は相談し始めた


「おいどうするよ?」


「いやただ練習メニューが変わるだけだよ

判断力が試されてるって分かったんだから自分の思った方で良いんじゃないの?」


ライトの焦る言動にダルタは的確にツッコむ

そこにイリアの意見が割って入って来て


「私は自分のことを解ってるつもりだからもう決めてる

自分の能力を最大限に引き出す修行をするよ」


「やっぱそうだよなイリア?! じゃぁ俺も俺の力を高める!!」


ライトとイリアが決意したそのとき


「でもそれって協調性を無くしてるって言われてるのかも……」


「「 !? 」」


三人が揉め合う中 ニクロとヴェルはただ黙って立っていた


「お前らはどうすんだ!?」


錯綜するライトはイライラを二人にぶつける


「俺もイリアと同じだ」


「左に同じ……」


二人のあっさりした返答にライトはぶち切れそうになったが

なんとかダルタに引き止められた


「クソ…… そしたらどっちが正解なんだ」


困惑しているライトにニクロが口を開いた


「そういところをオグルは見てんじゃないのか?」


その一言にライトは自分を制御できなくなってニクロに殴り掛かる


「やめなって!!」


イリアとダルタは止めに入るが ライトの怒りは収まらない

しかし拳は一発も当たらず全てニクロは躱していた

一方オグルは振り返ろうともしない


ーーワシが言いたいのはどっちが正解では無い 考えろガキ共


時間は過ぎ ようやくライトの怒りが静まって


ライト「クソッ!! 何で当たらねぇんだ?!」


イリア「……今は考えないと!」


ダルタ「ニクロもニクロだ!! ちゃんとライトに謝れ」


ニクロはそっぽを向くが 何故かヴェルが無理やりニクロの頭を下げさせた


「何すんだお前……?」


「人を傷つけたなら謝る…… 常識だ」


ヴェルの似合わない発言に四人と遠くにいたオグルも驚愕した顔を見せている


「一番はバランスだ そうだろ??

ダルタはサポートに向いた魔蛍だから当然サポート 

イリアは性格上何も考えず自分の力を高めることに集中しろ」


「性格……」


「俺は協調性が無いからイリアと同じく自分のことだけ考えることに集中する

ライトもそうだ どうせ不器用だろ?」


「さらっと馬鹿にすんじゃねぇ!!」


「ニクロは……」


ヴェルは急に黙る


「おい…… 俺はなんだ?」


「お前は未知数だ 好きな方へ行け」


「はぁ!? さっきいきなり襲い掛かってきて分かんなかったのかよ!?」


「あれは別の目的があってだな……」


ヴェルは何かを言おうとしたが 咄嗟に会話を遮断した


「とにかく俺が推測するのはここまでだ

あとはお題の通り各々が決めること……」


「「「 ………… 」」」


三人はじっくり考え 数分後に答えは出る


「それじゃぁ聞こうか?」


何時間も待たせられたオグルは敢えてそのことには触れず 

先程と打って変わって落ち着きのある五人の返答を聞いた


「……そうか なら二人はここに残って三人は別々の場所で修行をして貰う

だが安心しろ!! 試験一ヶ月前は実際に全員の魔力を見る

ワシ独自のテストがあるから 連携だの共闘でのチームプレイなど

様々な組み合わせを試せばよい…… では解散だ」




各自練習場に向かう中 ヴェルはニクロのもとに駆け寄った


「お前がサポートに志願するなんて意外だな……」


「ダルタだけになるだろ??」


「……お前に協調性があったとは」


「お前もそんなに話すとはな……」


ヴェルはそのまま立ち去った しかしニクロは微かに逃さなかった

彼の別れ際に見せた口元の引きつり 



ーーあれで笑顔かよ


 ……アイディー 俺にもやっと力が付く

 だけど強くなりたい訳じゃない いつかお前を見つけて そして

 二度と遠くに行かないように守ってやれる術を身につけたい

 だからもう少し待っていてくれ 必ず見つけてやるからな



世界の反対側にいるかもしれないだろうと思ってしまう人に対して

一坪の世界にいた彼にとってはそんな不安は微塵も無かった

きっと近くにいるだろう 一回海に出ればすぐに会える

そんな自信過剰とも言える彼なりの思い込みや自信が

努力に向き合い 既に身の内に宿る目覚めつつある力に加え そして三ヶ月後

技を磨き 知識を取り入れた彼は 〝兵の戦人つわもののいくさびと〟として成長するのである



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