表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
82/205

隣国ヴァジュラ2 奴隷と主


ーーここに鎖に繋がれたままの奴隷が……


ニクロはサクバサがいなくなるなり街中を駆け巡って奴隷を探した


〝助けたい〟


彼は心の中でそう思っている そして町の角を曲がると


「ニクロ!!!!」


ニクロが立ち止るとそこにはライト達がいた


「チッ……」


「何舌打ちしてやがんだ!! せっかく捜しに来てやったのに!!」


ニクロはライト達と出会った途端に無口になった


「まぁまぁ……! 結果見つかったんだし

これで修行させて貰えるんだから一件落着ってことで良いじゃん…… ね!」


イリアが中間に入り 必死にライトを説得した


「甘いんだよイリアもダルタも……」


ライトはふて腐れながらも高台に戻ろうとニクロに背を向ける


「さっ! ニクロ君も行こう!!」


イリアに引っ張られてニクロは渋々高台に戻った




高台の民家に戻ると

ニクロはオグルに地面にめり込むほどの拳骨を食らう


「まさか…… オマらが捕まえるとは修行の成果もボチボチ漏れ出してきたな」


「ヘヘヘ!! じゃあ教えてくれるよな?! 魔法!!」


「…………」


オグルは少しの間黙り込み 五人の名前を言った


「ライト・ローラン イリア・カローラ ダルト・ギルダー」


「「「 はい!! 」」」


オグルは違う方向を向き


「ヴェル・メゾーラ そしてニクロ」


「「 ………… 」」


「オマらは二チーム分れ これから練習試合をして貰う」


「え?」


ダルタは戸惑いながらオグルに問う


「先生!! あの…… 失礼ですが二人は魔蛍操作を身に付けているのですか?」


「…………」


ーーそれがまだ分からん以上 まだまだ未熟じゃな……


「その変は大丈夫じゃ なぁ二人共!!」


「「 ………… 」」


何も返事を返さない二人に オグルは怒鳴らないのかと待つライトだが

オグルから見れば 既に彼等は戦闘態勢に入っていることを見切っていた


「それではオマらも戦闘準備に入れ」


一応実践訓練だと三人は納得し 配置に着く


「練習通りだ 二人とも分かってるな?」


ライトの指示に後ろに下がるイリアとダルタは頷いた


「はぁあ!!」


ライトの体内からオーラが吹き出し 一瞬でその全てを両足に流し込む

そしてニクロの背後を瞬時に取りに行った



ーー守核よりに近い技も出来るようになったな



「まず一人だ!!」


勢いに任せたライトの蹴りがニクロの頭めがけて振り切る

しかしニクロは背後にいるライトを察しその足を掴んだ


「何……」


ライトの動きが遅く見えている二クロ そんな彼の前にイリアとダルタが攻め入り

イリアの押し出しとダルタの蹴りがニクロの腹に入った


「「 よし!! 」」


ニクロが体制を崩し 掴んだ足が離れると思いきや

右足を地面に踏み込ませ ライトを二人に向けて思い切り投げ飛ばす


「ぐあぁぁ!!」


三人は衝突し まとめて吹き飛んだ


「クソ……!!」


負けじとライトが立ち上がると 次の一手を繰り出そうとしていた

だが背後から微かに震える声が耳に入る


「イリア……!!」


ライトが振り向くと 獣の様な鋭利な爪を尖らせたヴェルが彼女の首を寸止めで突き刺していた


「降参…… します……」


ライトとダルタもイリアの言う事に同意してやむなく降参するしかなかった


「勝負あったようじゃな」


オグルの手を叩く音と共にヴェルもイリアの首から爪を遠ざけて距離を取る


「クソ……!」


ライトは地面に拳を叩き着け 悔しそうな顔で二人を見た


「お前ら使えるのかよ…… 魔蛍操作」


ニクロはライトの顔を数秒眺め オグルのもとに向かうと


「もう町へ下りても良いか? やりたい事があるんだ」


「勝ったから仕方ない 夜までには戻ってくるんだぞ!」


ニクロはそれを聞くと三人に見向きもせず町へと下山した

同時にヴェルも森へと勝手に入って行く


「先生…… 何がいけなかったのでしょうか?」


ダルタの質問にオルグの答えは簡単なものだった


「まだまだ基礎修行不足だってことだなぁ」


オグルは鼻を高くしてただただ笑っていた


ーーギルドの入社試験はもうすぐ この三人が化けさえすれば……




ニクロはさっきの続きで町を走り回った


ーー奴隷…… 鎖している奴……


しかし一向に見つからなかった

日が暮れて いつの間にか町の外れの森の中を捜し回っていたとき

草木が急にざわめきだした


「誰だ!?」


ニクロが近付くと そこには青紫色の髪を靡かせる

少し歳が上くらいの少女が足を丸めて座っていた


「お前は……」


ニクロは少女の手足を見て察した


「お前は奴隷だな?」


「…………」


少女は鎖を隠すように蹲ってしまった


「……俺も元奴隷だ」


「!?」


ニクロは彼女の側に座り 会話を試みる


「飼い主がいなくなったらどうしたらいいか迷うよな……」


「…………」


「自由になったと思っても どこからでもやって来る恐怖が消えない限り……」


ニクロは自分に興味なさそうな彼女を見て会話をやめて


「取り敢えずここは危険だ 付いて来い」


ニクロが彼女の腕を掴むと勢い良く振り払われた


「っ……」


ニクロは払われた手を見て 彼女の手を見て思い出した

自分が奴隷だった頃の無力感や無能感が見せていた死んだ目を


ーー俺…… 少しは変わったんだな……


二人の間に沈黙が流れる

その沈黙を打ち破るのは恐怖の対象だった


「探したわよ~~ ポポ!」


声がする方向にはサクバサがいた


「これお礼ね」


サクバサから硬貨を受け取る近くの住人

その男は大喜びしながら町へと帰って行った


「さて…… 大体揃ったし散らばった奴隷も同業が見つけたって言うから

……この国にはもう用が無いわね」


サクバサは奴隷の少女ポポの側に近寄り 優しく抱きついた

ニクロはただ見ているしか出来なかったがその光景にさらに怯える


「お母…… さん……」


「待たせたわねポポ」


我が子を愛でるように頭を撫でるサクバサにも違和感を感じるが

ニクロがゾッとしたのはポポの笑顔と自分にも伝わる安心感だった


ーー……これが 奴隷と飼い主の関係??


ニクロは腰を抜かしてその場に尻を着く


二人がその場を離れようとするが ニクロはそこから立ち上がれないでいた

立ち上がれなかった 正解と間違いの分別ふんべつが整理出来ていない証拠


「ま…… 待ちやがれぇ!!」


サクバサは足を止める 遠くて腰を抜かしてる少年に目を向けて上げると


「お…… 俺は連れて行かないのか?」


「私のじゃないし~~ 自由ならそれでいいんじゃない?」


「そうか……」


ーーそれを聞いて安心した


ニクロは少し心に余裕を取り戻したのか その場から少しずつ立ち上がり


「その奴隷を置いていけ!!」


「はぁ? 飼うってこと??」


「お前らクズにはそういう言い方もあるかもな いくらだ??」


「……ウフフ アハハハハハ!!!!」


サクバサは森中に響き渡る高笑いを二クロに見せる

そして腹を抱えた状態で冷徹な表情へと豹変した


「ナメんじゃないわよぉ?? クソガキが……」


サクバサの人で無いような目に 臆しはしないニクロは立ち向かう


「ほ…… 本気だ!! 俺はお前等全員から奴隷達を取り返す!!」


「……もう笑い疲れたわ ほんっと子供ねぇ 良いわ」


サクバサの発言にポポは悲しそうな顔をする


「飼うならこちらの飼い主ベンダーの価格でいいわね?

こっちもこっちで大切にしてるんだから」


「あぁ…… 人の何を大切にしているんだか知りたくもないけど……」


ニクロの目に何かを感じ取ったサクバサはクスッと嘲笑を見せて


「〝ルース隷団現八名〟 30,0000ルピアで売ってアゲル♡」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ