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創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
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海賊の島9 守りたい思い


ーーアン姉さん……!


アイディーは必死に走った

イングランが助けようとする光景が目に入り

間に合わないのをどこかで察していたがそれでも走り続ける


「アン! クソ女!!」


イングランは巨人の群れを掻い潜って助けに行こうとしている

そしてアンが浮かぶ海の真上に着くと


「よし…… あとは……」


巨人を踏み台にして跳躍力高め 彼女のもとへと向かったそのとき


「ヴォォォォォォ!!!!」


巨大な棍棒を掘り下ろした巨人が イングランを海の底へと叩き落とした


「うぁぁぁぁああああああああ!!!! やめろぉぉぉぉぉ!!!!」


アイディーは涙を流しながら走ることを止めなかった


「やめろ!! やめろぉぉぉぉぉ!!!!」


巨人達がアンの方へと標的を変えて武器を振り上げる



ーーボニー…… 今行くよ



アンが薄れゆく意識の中で死を悟ったその時

赤い何かが瞬く間に辺りの巨人を一掃した


「!!?」


アイディーは見ていた

突如として空から溶岩の塊が巨人に降り注ぐ光景を


「やるね~~ラウル! ホント昔と段違いの力を得たもんだ」


「何を今さら……」


頂上にいる神器を構えたラウルの隣でマッドが拍手と歓声を贈る

それを遠くにいる全員も目の当たりにしていた


「一体何が起きた!?」


少なからず余裕を保っていたアルべトスが一気に焦り出す


「おいおい…… あれは」


喜びながら驚くゲヘナ それと同時に全艦隊が緊迫して動き出す


「ラウルだ!!」


「何!?」


ウィリアム達も島の方に釘付けになる


「さてどうするんですか? ナンバー4さん」


「言うまでも無い…… 殲滅する」




注目がラウルに集まる中 アイディーはアンを引っ張り陸へと向かった


ーー無事に救出できた 後は……


ふと陸を見る すると彼女は急に泳ぐのを止めた


「フフフ…… フハハハハハハ!!!!」


クロガネが掴んでいたのは血まみれのニクロ


「ぁぁ…… ぐぅぅ……」


少しでも動くことで激痛が走り 

体のほとんどが動いていない程までにニクロは痛めつけられていた


「貴様……」


睨みつけるアイディーを煽るかのようにクロガネはニクロを前にぶん投げる

下り坂を何の抵抗も無く転げ落ち その惨い姿にアイディーは完全にブチ切れた


「うぁぁぁぁ!!!」


アイディーは海を蹴り 宙を蹴ってアンを陸まで運び 瞬時にクロガネ向けて剣を突き付ける


「何度も言わせんなよ六番さん……」


突き付けた剣はクロガネの身体と同化した

しかしアイディーは即座に剣から手を離して後ろに下がる


「良い反応だ……」


「……お前はもう少し周りに気を配れ」


「!!?」


クロガネはゆっくり下を向いた

そこには剣に糸が巻きつけられていて数個の爆弾がぶら下がっていた


「なん……!!」


爆風が辺りの建物諸共吹き飛ばし クロガネの身体は跡形も無く散った


「ハァハァ…… 不死身の身体になったつもりでいるが体が鉄になっただけだろ

いやカモフラージュの類か? どちらにしても全くダメージを受けないわけではない」


アイディーは息を切らしながらニクロを持ち上げ 港の方に歩き出す


「アイ…… ディー?」


「ジッとしてろ 港で手当てしてやる」


「俺…… かっ……こ悪いな……」


「いや…… 惚れ直したよ」


「??」


アンの隣にニクロを寝かせ アイディーは疲れたのかその場に座った


「船長達はどうなったのだろうか……」


溜息を吐くと突然 島に砲撃の嵐が降り注ぐ


「!!?」


辺りで爆発が爆発を呼び 島全体が一瞬にして業火に包まれた


「クソ!!」


アイディーは二人を担いで島の奥へ避難しようとしたその時


「しつけぇぞお前!!」


二人を担ぐアイディーの目の前には

全身に血を流し 右腕と脇腹を失い さらに左目が焼け垂れたクロガネが立っている


「……まだ立てるのか?」


自分を見るアイディーとは別に クロガネは沈んだ自分の船を見つめていた


「ジキョクも……死んだ メタラスも……死んだ お前らの所為だ……」


「…………」


「海賊……!! ルシファード教会……!! 俺の仲間を返せぇ!!!!」


失った右腕に鉄を流し刃を象る 左も同じように刃を生み出すと


両鉄剣(ツイン・シザリオン)


クロガネは千鳥足でアイディーに襲い掛かり その巨大な刃を標的の首に向けて振り払う


「っ!!?」


アイディーは後ろに避けたが蹌踉けて尻餅を着いた

しかしクロガネは我武者羅に躊躇というものが無く襲ってくる


「くっ!!」


足が限界なのか 思うように立てない


「死ねぇ!!」


振り上げた剣が非情に振り下ろされた


ーーせめて…… 二人だけでも


彼女はクロガネから視線を外してまで二人をどうにかしようとした

しかし何故か刃がいつまでたっても当たらない

恐怖を感じながらクロガネの方を見やる そこには身を呈して自分を守るニクロが立っていた


「ニク……ロ……」


斬られた身体からは血が吹き出し ニクロは今にも倒れそうだが


「俺は…… お前より…… 多くの人を失った」


「……ハァ!!?」


ニクロの突然の発言にクロガネは理解できない


「俺の後ろにいるのも…… 友達だ」


「…………」


「失う気持ちが解るなら…… 殺さないでくれ!!」


「…………」


クロガネは一瞬黙ったが何の前触れも無くニクロの腹部に斬り込みを入れた


「ニクロ!!!!」


アイディーの叫び声と共にニクロは倒れそうになるが


「!!?」


ニクロは側に転がっていた鉄パイプを拾い上げて再び立つ


「お前…… 何者なんだ……?!」


「海賊だ!!」


ニクロは大量の血を流しながらも鉄パイプを構えた

その姿にクロガネは恐怖を覚え始めてしまって


「アイディー…… 俺に魔装してくれ」


「!!?」


そのアイディーの顔は驚きというよりも人がそんなことを言うのかと言わんばかりの表情だった


「お前…… どこでそんな単語を?」


「多分爺ぃの口からだと思う 強くなれる話だったから覚えていた」


ニクロの好奇心旺盛な笑顔にアイディーは立ち上がって強く説得する


「よく聞け! 魔蛍操作を身に付けていない奴にそういう行為をすると

全身の肉体が弾け飛んで死ぬんだよ!!」


「それでもいい…… 一回でいいから友達を助けてみたい」


「!!? 止めろ!! 俺には出来ない!!」


「アイディー!!」


彼女の目に映るおよそ大出血している人間には尚更不可能なのだが


「ニクロ……」


「お前のおかげだ…… 俺が笑おうなんて思ったこと今まで無かった」


「…………」


「お前を守りたい やってくれ」


「くっ……!」


アイディーは手をニクロの背中にそっと置いた


「行くぞ!! ニクロ!!」


その手から纏う大量の魔蛍をニクロに流し込んだ


「っ……!!!!」


ニクロは予想だにしない激痛にも微かな声も漏らさずに耐える


ーーこんな人間がいるのか……?


アイディーが驚きを隠せない中

クロガネがさらに震えが止まらなくなる力が今 目覚めようとしていた



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