海賊の島7 主力の相殺
「表……」
「裏!」
島の頂上で丸い硬貨を投げ コイントスするラウル
「表だな……」
「え~~……」
ラウルの手の平には表向きのコイン そしてそれを見てガッカリしているマッド
「しかし意外だな…… マッドが他の海賊を捨てる方を選ぶとは」
「別に必要と思ったことないし…… 利用するかしないかでしか見てなかったよ」
「そうか……」
ラウルはその場に立ち 土煙と共に身体が空中に浮いた
「一人で大丈夫なの?」
「一人で一国潰す気でないと俺の目標は果たせないからな」
ラウルはさらに上昇し 島全体と近海を囲む数十隻を見渡した
「よし…… 準備するか……」
アルべトス率いるルシファード教会 VS ドラモンド大艦隊率いる同盟海賊船数隻
「時期に他の船もこちらに来る 諦めろ海賊共!」
ルシファードの兵や奴隷が一斉に海賊の船に雪崩込む
「部下に任せてたらぁ あちらの船に追いつかれちまいあすねぇ……」
「同意見だ やっとしゃべったと思ったらそんな口調か〝オロチ〟?
名前からして日の国出身か?」
「ご想像にお任せいたしあす……」
雪崩込んだ筈の兵達が一瞬にしてその場を中心に吹き飛んだ
「な!!?」
アルべトスの前に現れたのは同盟を組んだ海賊の船長達だった
そんな中で一人 全員と違う方向を向いている奴が
「ラウル…… やっと見つけたぞ!!」
「おい!! なに余所見してる?!」
蔡が注意を促した先にはアライヴがラウルを見ている
「怯むなぁ!! 全兵と奴隷共は怯まず突撃せよ!!」
突き進むルシファード兵達
それに負けじと海賊の組員達も先陣を切る
「こっちには平均額約1,0000越えの大物船長達がいるんだ お前らなんぞ恐れるに足りねぇ!!」
海賊達が広範囲に進もうとすると同時に 海の様々な場所でも戦闘が起きていて
「聞いてないぞ!! お前等なんとかしろ!!」
「と言われましても!! 敵は海中からも攻めてくるんですよ!!?」
船内はパニックになっており 成す術なく次々と船は沈んでいく
「結局は非力な幹部共よ…… 偉そうなだけなら何も変えられねぇぞ!!」
海中を暴れ回るウィリアムに呼応するかのように
海流という化け物は彼の力となってルシファード教会に牙を向ける
「アヒャ!! アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
「指示をお願いします!!」
「まさに天災だ!!」
狂乱に笑う男のいる船も 渦に巻き込まれて無残に跡形も無く沈没した
「一方にだけ気を取られるな!! 化け物は他にもいるぞ!!」
アルべトスが目線をこちらに戻すと 兵と奴隷が一方的に吹き飛ばされる光景を見る
「うぉおおおおおおおお!!!!」
蔡は全身に流れる魔蛍を足に集中させ
一気に足場を踏み込むと同時に広範囲に渡る衝撃を走らせた
「「「「「 うわぁあああああああああああ!!! 」」」」」
「俺に力で挑むとは生意気なぁ……!! 俺は〝オーガ・バルトノヴァ〟を越える漢だぁ!!!!」
「……ふぅん!!」
蔡の背後で闘うオロチは 大気をまるで布を掴むかのように押さえ 一気に腕を横に振ると
「おいおい嘘だろ!?」
蔡が後ろを振り向けば そこには敵兵どころか船もろとも海の上から消えていた
「千年くらい生きてれば 使えるようになるぞ?」
「……何歳だよアンタ」
その現場を遠くで見ているアルべトスの額には冷や汗が流れ
「出番のようね?」
「サクバサか……?」
「行きなさいお前達!」
突如姿の見えない風が暴れ回る 蔡の腹を貫き その瞬間に彼の腹に当てる拳の主が姿を現す
「ガハァァッ!!」
蔡は気を失う寸前に青紫に光る髪を見た
「〝古の賢族〟 神の子孫と呼ばれる奴等か……」
遠くにいるマルクスも気付いた
「さぁ人間離れしたその肉体を思う存分振る舞いなさい 〝ルース隷団〟!!」
「「「 ………… 」」」
宙に舞う隷団の一人が 両腕の鎖を垂らしながら海賊の一人目掛けて落下する
「んな!?」
気付くには遅く まるで槍の如く腹と共に地面にめり込んだ足
そしてただ無表情にそれを見つめる女の奴隷も
「こ…… 殺せぇ!!」
海賊達は女の奴隷に形振り構わず襲い掛かった
「白の魔蛍…… 創造しさらに精錬せよ……」
腕を広げ 刃の付いた鎖を踊るような動きで振り回し
周りにいる海賊を次々と斬り崩していく
「蝶舞」
「おい! たった一人の女に何してやがる!!」
「無理だ……!! あの女の他にも同じ奴が数十人いやがる……」
「蔡の頭がやられた…… もう終わりだ」
「アライヴとその一味もいねぇ!! どうなってんだ!?」
戦況はルシファード側に勝機が傾く しかしその差はすぐに埋まる
「下がってろ!!」
突如海賊側から 巨大な岩がルース隷団目掛けて降ってくる
「……!!」
しかも岩石が落ちた衝撃により高波が生まれ 辺りの奴隷を全て巻き込む
「マルクス!!」
「無茶しなさる……」
マルクスは咄嗟に近くにいた海賊達を安全な後ろへと転送させていた
「……あれが二番船指揮者〝剛流ドミンゴ〟」
サクバサは親指を噛み締めながら不満の表情を晒す
「少しは周りに気を遣えドミンゴ」
「あぁすまん…… だがそう言っとる暇も無いだろう」
二人の会話を瀕死のゲージィ・クラウンを掴んでいるアルべトスの目にも入っていた
「一番船船長ベルク・マルクス 二番船船長ドミニカ・ドミンゴ
そして大艦隊提督のエドワード・ウィリアム……」
彼は喉に中指を当て大声で叫んだ
「ゲヘナぁぁぁぁ!!!! いつまで海に潜ってる!!!! 早く来い!!!!」
思わず耳を塞がずにはいられない肉声を荒げたアルべトスの声に
エドワードに船ごと沈められた 狂った笑い方をする男がゆっくりと海の底から浮上した
「俺達も出るん??」
「仕方がないが…… 〝アレ〟を使うぞ」




