海賊の島6 混沌の亀裂
今回の事件を引き起きしたと思われる海賊クロガネ
そのクロガネとニクロ達はその場で対立していた
「お前にもリスクがあった筈だ 何故こんな……」
「何故って…… 金が入るからに決まってるだろ~?」
アイディーの質問に平気で答えるクロガネにニクロは怒りの限界を越えていた
「クロガネ……」
「あぁん?? なんだお前まだいたのか?」
クロガネはニヤニヤと笑みを溢しながらニクロに近付く
「元奴隷で? 何の取り柄も無くて? 挙句は女に頼りっぱなし?」
「っ……」
「世の中でお前みたいなものを何て言うか分かる? 〝無能なゴミ屑〟って言うんだ……」
「テメェ…… いい加減に……!!」
アイディーが怒鳴ろうとしたとき ニクロは手を彼女の前に出して落ち着かせた
「クロガネ……」
「あん?」
「〝俺は海賊になる〟」
「はぁ?!」
「海賊のルールで〝同志は同胞〟ってのがあった」
「…………」
「俺には解る…… お前は海賊じゃない ただの〝屑野郎〟だ」
「フフフ…… じゃあどうする?」
ニクロは近くにあった鉄パイプを拾い上げ クロガネに向けて構えた
「無茶だニクロ!! そんなんで勝てる相手じゃない!!」
アイディーが必死に止める中 ニクロはクロガネから目を離さない
それに対してクロガネはヘラヘラ笑っていた
「お姉ちゃんの言う事は聞いといた方が良いぜぇ ニクロ君」
クロガネはそう言うと 右腕を腰に差していた剣で斬り落とした
「!!?」
「来るぞ…… 鬼鉄の能力」
「フハハハ…… どうせお前ら全員は死ぬんだ 俺にも一人くらいやらせてくれよ……」
クロガネの切断された腕からは剣士や海賊
戦う者のほとんどが持っている刀が生えて来たのであった
「ニクロ!! 逃げろ!!」
アイディーがニクロに駆け寄ろうとしたとき一本の鉄材がアイディーの視界を横切った
「……なんだ?!」
「そっちは頼んだぞジキョク」
「はいよ~~ せ~~んちょ~~~ぅ!!」
ジキョクはアイディーの真横に立っていた
「始めようかぁ?? お嬢ちゃん!」
「…………」
ニクロとクロガネ アイディーとジキョク 二組の戦闘が始まる
「いくぞぉ!!」
クロガネは剣を振り上げ ニクロに襲い掛かる
「ニクロ!! 取り敢えず相手に触れずに避け続けろ!!」
「え!!?」
ニクロの目の前にはクロガネの刃が迫っていた
彼はスレスレで躱してその場に転がる
「おらぁ!!」
クロガネの蹴りが体勢を崩しているニクロの腹にめり込んだ
ニクロの身体が地面から離れ 蹴り飛ぶ飛距離が常人のそれではない
「ガハァ!!」
ニクロはそのまま建物の窓に突っ込んだ
「まさか……」
「そのまさか…… な訳ねぇだろ あのままくたばっちゃぁ面白くないしな」
アイディーの真顔に対し クロガネのニヤつき度合いが彼女の心を動揺させる
「よそ見すんなよ!! 女の分際で男に勝てるかぁ?!」
アイディーがジキョクの方を振り向くと
辺りに落ちてた鉄製の物が全てジキョクに纏わり付いていた
「俺の能力は〝磁気流〟 全身に鉄を寄せ付けるまさに磁石人間だ」
数々の鉄物が蓄積されて巨大化したジキョクは
右腕の部分を振り上げてアイディーの頭上に振り落とす
「能力が安直だな……」
アイディーはジキョクよりもさらに上空にいた
「魔法を使いたいが為に基礎を学んで来なかったな?
格好悪いって噂が流れているそういうのを付け焼刃って言うんだぜ?」
鼻で笑うアイディーは剣を腰に差し戻して構える
「!!?」
「日の国伝来〝ソラノ地〟」
アイディーは何も無い宙を蹴り ジキョクまで一気に間合いを詰めた
「魔装・武具強化!!」
剣からオーラが噴き出すと
「クソォォォォ!!」
ジキョクの巨大な身体は二つに割れ 肉体は抵抗も無く崩れ落ちた
「まさか…… ぶった斬るとはな」
ゆっくりと息を吐くアイディーを遠く後ろにいたクロガネが見ていた
「基礎と剣術さえあれば 充分六番船船長は務まるんだよ」
「フン…… 片方いなくなった同士 決着つけるか?」
「そんなゲームに乗った覚えは無い」
「?」
クロガネの横の建物から 鉄パイプを持ったニクロが弱々しく出て来た
「ニクロ!! 俺が隙を作る お前はその隙を撃て!!」
「わかっ…… た……」
二人が構えるとクロガネは顔を手に当ててゲラゲラ笑う
「二対一か…… 卑怯だな…… なんて言うとでも思ったかぁ!?」
クロガネは両手を刀に変えて二人に迎え撃った
島から離れた近海にて ニクロ達がいる島を囲んでいる戦艦では
「そろそろ良いんじゃないアルべトス!? 捕獲作業に移っても」
サクバサの問いにアルべトスと呼ばれる男は無表情に答える
「もう少し待とう あのエドワード・ウィリアムがそう簡単にやられる筈が無いからな」
「了解…… それより……」
「アヒャヒャヒャヒャ!!! 撃てぇ!! 撃て~~~!!!!」
彼は遠くで叫び続ける品性の欠片も無い男に着目していた
「あのうるさいのを誰か黙らせて来い」
アルべトスの部下があちらの船に向かおうとした瞬間
「な…… 何!?」
「っ……」
突然の地響きにより 全艦隊が揺れ始める
「まさか……」
「「「「「 ?!! 」」」」」
アルべトスが海中を見下ろした
そこには一人の男が海を固体の様に掴み 出鱈目に海流を生ませては辺りを渦だらけにしていた
「冷静になったらすごい方なのに 何で少しのことで混乱するかなぁ……」
サクバサが声のする上空を見上げると そこには空中より臨戦態勢万全のマルクスが
そして同盟を組んだ船長を含めた海賊船七隻がサクバサらの目の前の海に落ちてきた
「〝転送魔法〟…… こんな力誰が?」
「お褒めの言葉素直に頂戴します…… ルシファード教会様」
ウィリアムも海上に姿を現すと
「野郎共!! 強行突破だぁぁぁ!!!!」
「「「「「 うぉおおおおおおおおおおおお!!!! 」」」」」
今 七大国の一角と海賊同盟との戦争が始まる




