海賊の島4 あの男
島内では既にパニック状態になっていた
「何故ここがバレたんだ!!」
「分かりません! それより船長 早く指示を!!」
船の錨を上げる船員や帆を張る船員など等がバタついてる中
イングランはこちらに近付く艦隊を見ながら焦っていた
「クソ!! 内通者か?! 誰だ!!! 同志をハメやがったのは!!」
次々と他の海賊達も出航準備を始める中
エドワード達も裏にある洞窟の中の港に停めていた 二十隻の艦隊の出航準備を急がせる
「すぐに島を出る!!」
「戦闘はどうします?」
「今回は分が悪い…… ここの特別な海流を一番知るのは我等だ
上手く行けば逃げ切ることなど雑作でもねぇ」
「エドワード船長!!」
洞窟の奥からアイディーが現れる
「内通者は見つかったか?!」
「いえ……!! しかし大変な状況になりました」
「どうした?!」
「島全体が囲まれています!」
「なんだと!? この海流の中で囲むだと!?」
「海流自体無くなってるんです!!」
「!!?」
エドワードは島の高台へと走る そこから見える先は驚愕の光景だった
「そんな馬鹿な……」
辺りは渦一つ無い静かな海になっており
しかも全くの無風 そして敵の艦隊が360度全域に構えていた
「約五十隻…… 完全に囲まれています」
「いつの間に情報が漏れていたんだ……」
正気ではいられないエドワードに次々と災難が降り掛かる
「マルクスさん!! 敵が砲撃を始めました!!」
「島の中は安全だ そこに避難するぞ…… 船長を運べ!!」
「いえ…… それが……」
「!?」
島の港では
「おい! 何か飛んでくるぞ!」
「砲弾だろ? 気を付けろ」
「いや…… 違う…… 人だ……」
「は?」
船員達が空を見上げると そこにはまるで鳥の様に空を飛ぶ奴隷達がいた
〝奴隷砲〟
特別製に造られた人間を弾とするルシファード教会の兵器
奴隷の数だけ何度でも撃てる
「相変わらず見てて飽きねぇ なぁサクバサ?」
「そうね そろそろ巨人も出した方良くない?」
不気味な笑みをするサクバサ等の背後には 複数の巨人の奴隷達が大きな鎖に繋がれていた
島では次々と奴隷達が陸や海 海賊船にも無残に激突する
「クソ!! 滅茶苦茶しやがる!!」
「船長!!」
イングランを呼ぶ船員の方向を見やると
「おいおい…… ウソだろ!!」
イングランの見た先には今にも死にそうな奴隷が甲板に倒れている 問題はそこでは無かった
奴隷が身に付けていた物 それは大量の爆薬だ
「にっ…… 逃げろ!!」
イングランが叫んだときには遅く 海賊船に突っ込んだ数人の奴隷達が次々と誘爆して行き
辺りの港を巻き込む大爆発が起きた
「クソ!! 船には宝があるんだぞ!? 水に流してたまるかぁ!!」
同じくしてグリル・タンクの船も 船員諸共大爆発により宝と共に海に沈んだ
「ハハハ! アハハハハハ!!!」
「何笑ってんだ!!」
港から離れた海岸では高笑いするマッドと
その笑みの意図が分からず 彼に対して恐怖するニクロが惨状を目の当たりにしていた
「いやぁ面白いねぇ!!」
「もしかして…… お前がアイツら連れてきたのか!?」
「まさか…… 俺は奴等を憎んでいるよ
でも海賊の同盟は裏切りが当たり前だからね 先に部下を退避させてたのさ」
「他の奴等に教えようとしなかったのか……?」
「何でぇ?? 別に仲間じゃぁないし」
爆音が鳴り響く中 ニクロはマッドを睨んだまま立ち止まっていた
そして空中から降ってくる奴隷は二人の頭上にも落ちてくる
「「 !!? 」」
マッドはニクロの服を掴んだ
「な!?」
爆発音と共にニクロの視界は光で覆われた
気が付けばそこは島全体を見渡せる山の頂上に瞬間移動していたのだ
「え…… 俺どうなったんだ?」
ニクロが辺りを見渡すと 後ろにはマッドともう一人見覚えのある黒装束のフードを被った人物が
「お前は……」
「……こいつは?」
「君に似ててね~~ ついつい連れて来ちゃった!」
マッドと話す怪しい人物はそのフードを取ると
「!!?」
ニクロは言葉を失った
目の前にいる奴の顔は人間本来の皮膚では無く まるで溶岩の塊を顔に象った形
一面灰色で溝を流れる溶岩流のような赤い脈は見る者を圧倒させる
「紹介するよ」
「紹介しなくていい……」
「良いじゃないか別に…… 世間が知ってて逆にこいつは知らない方なんだから」
「ハァ……」
「革命反士と呼ばれている反政府組織〝革命軍〟 彼等は〝放旅者〟と呼ぶ
その中のナンバー4と呼ばれているのがこの〝ラウル・ウォード〟殿だ」
「情報流し過ぎだ馬鹿!! あと殿って何だ気持ち悪ぃ……」
「ラウル…… ウォード……」
ニクロはラウルを凝視していると
ラウルは一瞬目を合わせたが すぐに今起きている現状に目を向けた
「今度は海賊を奴隷にでもするのか?」
「そうだと思うよ~~ 海賊は力有り余ってるし」
「……自由を奪われた海賊は屍同然だと思うがな」
「んでラウルはどうするの?」
「…………」
ラウルは無言で前に出た
「別に…… 海賊もあのルシファードの奴らも嫌いだからな 暫くは高見の見物でもするよ」
「やれやれ…… 何しに来たのやら」
そう言うと二人はその場に座り込み 今起きている騒動を見物し始めた
そんな中でニクロは立ち上がる
「せっかく助けて貰って悪いが俺は戻る」
「せっかく助けてやったのに~~ 何で?」
「アイディーが心配だ アイツだけでも助けたい」
「今言っても無駄死にだと思うよ~~ 君よりそのアイディーの方が強いと思うし」
「っ……!! そっ それでもジッとしてられねぇよ!!」
ニクロは意地を張りながら山を下った
「ね? 昔の君に似てるでしょ?」
「どこがだ? 全然似てねぇよ……」
ーー気の所為か顔も少し似てるんだよな~~ 肌は白と黒だけど……
「あっ ラウルの今の肌は溶岩色か」
「相変わらず腹立つなぁお前」
「それが嘗ての師匠に向かって物言う態度かねぇ?」




