表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創設の放旅者 --ラウールヴァンデラード--  作者: 滝翔
2章 鎖が解くとき
63/205

無法の俗領島1 芥の集会場


海辺の砂浜

そこで波に打たれながら横たわる ずぶ濡れでそれ以前にボロボロの服を纏う一人の男

その男を見つけたのか 近寄って現れるもう一つの人影

自分と同じ身長の男を担ぎ 賑やかな町の方へと運んで行った



ーー……死んだのか? ……生きてる!?



突然顔に水が零れ落ち 男は勢い任せに起き上がる


「冷た!?」


「お! 酒で起きたか」


「俺は…… なんでこんなとこに?」


「大丈夫か? 名前は?」


「……お前は誰だ?」


ニクロの問いに 近寄る男は瓶でおでこを突く


「!!?」


「こっちが質問してるの 名前は?!」


「……ニクロ ……ナット」


「ニクロナット??」


ニクロは突かれた頭を押さえながら 次第に記憶がはっきりしてきたことを覚える


「お前どこから来たんだ?」


「…………」


「おい聞こえないのか?」


「ここはどこだ?」


「……ハァ ここは酒場の裏の控え室だよ」


「俺はなんでここにいる?」


「待て! 次は俺の番だ」


ギブアンドテイクを強いる男に焦るニクロは

勢い良くベッドから起き上がり 床に足を着いて部屋から出る


「ハァハァ…… 出口はどこだ?」


ニクロはフラフラの足で訳も分からず

数あるドアを只管開けて進むと 騒ぎに騒いでいる貧相な輩で溢れる場所に辿り着いた


「家族を殺し 友を殺し 恋人を殺した!!

俺が愛するモノは この世の富と財宝のみ!!」


椅子に上がって酒瓶を零しながら飲み叫ぶ男

それに共感したのか 周りの男達からの歓声が湧く


「いいぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「お前こそが漢だぁ!!」


すると目立つ男は 椅子から下りて出口まで走って行く


「これを見ろ!!」


男は地図のような紙切れを上に掲げた


「宝の地図はもうある!! 俺と一緒に財宝が欲しい奴は俺の船に乗り込め!!」


目立つ男がそう言うと 数人の男達も雄叫びを荒げて付いて行く


「「「 オオォォォォォォ!!!! 」」」


ーー何だこいつら……


「海賊っていうのはどいつもこいつも馬鹿だよね~~」


ニクロの後ろから先ほどの男がやってきた


「申し遅れた俺はアイディー アイディー・ドラクードだ よろしく!!」


アイディーは名乗ると同時に ニクロに手を差し伸べる


「…………」


「おいおい…… 余程貧相な海賊にでも憧れたのか? 普通は握手くらいするだろう?」


「……あくしゅ?」


「…………」


ーーこいつは…… 


ニクロに溜息を漏らすアイディーに さらなる溜息を吐かせる一言が飛び出た


「船を貸して欲しい この島から出たいんだ」


「……どうやってこの島に来たの?」


「頼む」


そのまま真顔でアイディーの顔にガンを飛ばしてニクロはお願いした


ーー期待外れか……


「お生憎だが…… 俺は船を持ってない 他を当たってくれ」


そういうとアイディーはそのまま酒場の奥へと去ってしまった


「……船を探そう」


ニクロは酒場の外に出て港へと足を進める

怪しい店が立ち並ぶ中で 色んな情報が入ってきた


「聞いたか! 数年前にこの島に来て

島の守り神を身体に宿していったのは革命反士の大物だって話だ!」


「アヒャヒャヒャ!! お前は馬鹿か??

島神なんて迷信じゃねーかよ そんなホラを鵜呑みにしてんじゃねーよ」


「だけど数年前まではここの大半に木や草が生えていたんだろ?

噂じゃぁ四年前の例の事件で七大国が神を宿してたなんて話もある」


「魔法だろどーせ!!

最近有名になってきたらな~~ あの事件以降からまるで世界が変わったみたいだぜ」


「でも一部の奴にしか扱えないんだよな……

魔蛍操作だっけ? 血の滲む修練をしてもショボイ基礎しか身に付かねぇって話だ」


「七大国の連中も魔法都市に留学してたって噂も訊く……

結局のところ特別な奴が身につけられんだよ!」


「七大国や小国騎士団長は良いとして海賊や盗賊

才能秘めたガキですらなれるって話だしな」


「俺達には縁がねぇのよ! 小物感を感じるな……」


「自分で言うかぁ?? ……なぁ!?

あんだけ海賊船が並んでりゃぁ海賊の一人や二人 魔蛍操作を持ってる奴がいるんじゃねぇか?」


「いたとしてどうするんだ? この年で血反吐出る修行は勘弁だぜ?」


「でも今よりずっと優雅な暮らしが待ってるよな?」


「いいんだよ俺達は…… 今まで通りチンケな海賊船専門の強盗してりゃぁさ……

今まで通りちったぁ名の知れた天下御免のゴンザとパンチョで行こうや」



ーー海賊船か…… 一隻くらい乗船させてくれる船があれば良いけどな



ニクロは港の方へとそのまま進路を変えずに歩いた




港には数十を超える船が停泊しており 海賊旗を掲げた船の列に二クロは圧倒されていた

一応海賊船以外の船に頼ろうと一隻ずつ見て回っているが


ーー確か海賊旗って人の頭蓋骨みてぇなマークってホビーが言ってたような……


しかし驚く事に ここに停泊していた船は全部海賊船だった

しかもこれだけ海賊がいながらも争い一つ起きないのが不思議だ

港に入る船員は貯蔵していた食料や財宝を出したり

手に入れた戦利品を倉庫に持ち運んだりしていた


ーーなんで海賊の倉庫があるんだ?


ニクロは疑問に思いながらも昔のことを思い出していた


ーーそういえば昔 面白い瓦礫の欠片を牢屋に持ち帰ってコレクションしてる奴いたなぁ

その趣味を教えていたのも爺ぃだったから覚えてたけど……


昔の思い出に耽っていると やっと目の前で海賊同士の揉め事が始まった


「お前の持ってる宝の地図 渡して貰おうか?」


「酒場での話聞いていたのか!? 渡すわけねぇだろ これから俺らの航海が始まるんだ!!」


「〝同志は同胞〟それがこの町の暗黙のルールだ

だから強奪はしない 代わりにゲームを申し込む」


「この町〝芥の集会場(ゲット・ガルズ)〟発祥の海賊ゲームか……

新たな船出に丁度良いぜ!! 進水式代わりに相手してやる!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ