それぞれの旅立ち2 露たな決意
ーー余談だが
事件が終わった後 避難した国民は徐々に国へと戻ってきた
国民は当然のように元気は無かったが その原因は言うまでもない
十年前の真相のことも含めて私達はこの一件を誤魔化すなど以ての外
憔悴した民達への配慮を一旦無視し 全員を中心街に集めた
怯える恐怖と信じようがない恐怖を一気に味わった気分だったろう
人一人の精神面は尋常ではない しかし私はそんな声無き悲鳴という圧迫に屈しなかった
〝 国民の為に戦うと 〟
私の誠意と説明は何時間にも渡り 国民へと伝えられる
精神が不安定故に反論できる者はそういなかったが
私は負けじと沈黙をこじ開けて語り続けた
次第に国民達は声を上げる
〝 あの記憶はホントだったんですか?! 〟
〝 今まで騙しやがって…… 〟
〝 怪我をしています 早く手当てしてください!! 〟
〝 私は王を信じています 〟
〝 痛い…… 助けて……!! 〟
〝 モーガン王を 返せ 〟
罵声のように聞こえる国民一人一人の声は 無数の矢の如く私の心に突き刺さる
ーー…………
一瞬言葉が詰まろうとした しかし
「静まれぇぇぇぇ!!!!」
その声は辺り全域に響き渡り その大声と共に人々は静まり返る
そしてこの一言で国民が私を許し 明日に向かって前を歩くきっかけとなった
〝 故郷を捨て 自分を見失うような道を選ぶようならモーガンと共に死ね
故郷を愛し 自分の意思を曲げぬ者は 私について来い 〟
今でも思う
最後まで貴方には犠牲になって貰った 貴方に悪者となって頂いた
疑念を振り払えない民もいれば 今までの王政を信じて歓声を送ってくれる民もいる
だがこのままで言い訳が無い ケルトや皆と真正面から向き合おうと決めていた
ケルトはそう簡単には許してくれなかったがな
当たり前と言われればそれで終わりだ
「そう思いますよね モーガン王?」
ドレイルはケルトに教えられたモーガンの眠る墓の前に座っていた
「貴方は変わっている方でしたから また予想出来ない答えが返ってくるのでしょうね……」
二つの小さなお椀に酒を注ぎ 一つをモーガンの墓前に置くと
「地獄の様な幼少の記憶……
奴隷だった私を買い取り 人と同然の扱いをしてくれた
まだ王子だった貴方の顔は今でも忘れてはおりませぬ
そして恩と苦を忘れ…… 不自由の無い生活に欲を持ってしまいました」
ドレイルは涙を流していた
その様子をケルト・ヴィーラ・ボルマー・アビア・モルガナの五人は
ただ遠くで黙って見ている
ドレイル「私も約束します!!
この先どんなことがあろうと逃げないことを誓います
後ろには〝忘れてはならない人〟がいますから」
ケルト「ふんっ……! まさか言った次の日に来るとはな 情があるのか無いのか……」
ヴィーラ「私達があの方を見てやらなければなりませんね」
ケルト「モルガナ様が王位を継いでれば良いものなのに……」
モルガナ「今さら王女になっても何やるか分かんないし」
機嫌の悪いケルトの隣にモルガナがやって来て
「王女になるんだったらまず言葉遣いから直さねぇとな!!」
ボルマーがモルガナの頭を軽く叩く
「おじさんに上品は教わりたくない」
「んだとぉ!!?」
「昨日地味に女湯覗いてたクセに」
「な!? 見てたのかよ……」
ボルマーの正直な反応にモルガナとアビアは冷たい目を向ける
ケルト「貴様!! 自分の姪に何しとるかーー!!」
ボルマー「別に暇だから見ただけだろうが 欲はねぇよ」
ヴィーラ「そんな訳あるかぁ!! ……妹の裸を見たからには生きては返さぬ!!」
まるで新しい光景を見ているようです
モーガン王よ見ていますか この国は滅びません
時間が変わろうともあの方達は変わらない
ですのでどうか 安心して見守っていて下さい
ーー 私も…… あの輪に入れるかな?




