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始まりの国3 凍える防壁と燃える流星


この国はどうなるのだろうか 海岸沿いに避難した誰もがそう思った

闘技場の広さから被害は少ないものの

周りの建物は少しずつ崩壊し 黒い力は近くの街並みを壊し尽くす

何も出来ないガルバーク兵 唯一交戦可能な七大国

互角のようにも思えたがそこには次第に差が生まれる

そこへ先陣を切り ヴィーラやマッド達一行が到着した


「これは……」


ヴィーラの目に入る景色は 爆風で舞った海甘砂漠の中に見える超巨大な穴


「あの火女桜の爺さんが掘った穴の比じゃないな……」


マッドが険しい表情を見せるが 視界が晴れるとその険しさが恐怖の底から湧き上がる

砂煙が次第に収まると同時に徐々に黒いオーラが一人の男を歪に纏っているのが見れた


「なんだあれは…… あれが人…… なのか……?」


ヴィーラは黒く染まっているルーナイトを人として見る目ではいられなくなっていた


「……ウェホォッ!!」


穴の下では妖雷がなんとか息が出来る状態で倒れている


マッド「七大国でもこの有様なのか……」


ミルク「ぶっちゃけ俺らが行っても歯が立たない気がするんだけど?」


ボルマー「同感……」


現状に納得するミルクの発言に ボルマーは似合わず同意した


「じゃあ闘技場から避難してて下さい」


一人前に立つ趙炎


「神の力も持たないお前に勝ち目があるとは到底思わないけど?」


マッドは趙炎の肩を優しく掴んで忠告するが


「俺の今回の使命は火女桜に同行すること 命令は…… 絶対」


趙炎は半ば苦しそうに言う


「フゥ……」


趙炎の体中から半透明なオーラが吹き出し 二割は両足に八割は持っている槍に魔装を施す


「魔装 滅槍・軍火竜(フレアム・グングニール)


その纏った槍は赤く燃え上がり 名に相応しき業火を纏う槍へと変えた


「趙炎!! グズグズしてねぇで妖雷を助けろ!!」


反対側にいる妖龍が脳に響く声で叫ぶ


「……参る!!」


趙炎は躊躇なくルーナイトのそばに空いている穴目掛けて走り出した


「おい…… 俺達はどうする?」


「どちらにせよ 私はルーナイトを止めなければならない

サベルさ……ボルマー選手もそのつもりですよね?」 


「今さら改まる必要ねぇよ 前みたいに悪者扱いしろや」


ボルマーとヴィーラも前に進む 残りのミルクとマッドは


「君はどうするんだい? ミルク」


「……今さらなんだけど大事なこと忘れてた」


「??」


ミルクは額に微量の汗を流す


「俺…… 今日雇われて来たんだったっけ……」


ミルクは渋々付いていく 残されたマッドは


ーー好都合


彼女が不意に振り向くとそこにマッドはいなかった




一足早く戦塵を切る趙炎の前には ルーナイトが早くも標的として身構えていた


「……死ね」


容赦なく数本の触手が彼を襲う しかし趙炎は怯むどころか突っ切ようとする


「〝海雲神の精製・積乱雲マーキュ・ジル・グラビティ〟!!!」


上空から超巨大な雲の塊が黒い触手を踏み潰す

それは趙炎をも巻き込んだと思っていたが


「〝氷河の造形術 開口(ギゴール・トネーラ)〟 全く無茶してくれる…… 趙炎こっちだ!!」


およそ自然では到底造れない 綺麗な半円のトンネルが趙炎の頭上で造形され

出口は妖雷のいる穴まで一直線に続いていた


「行きましょう!!」


趙炎は急ぎ妖雷の救助を目指して駆け出すが その一本道を簡単に通過することは叶わず


「趙炎!! 下がれ!!」


妖刹の声が発するのと同時に反射的に後ろに下がる趙炎

目の前にはあの鞭の様な黒い触手が建造した氷のトンネルを簡単に突き破って二人に襲い掛かる


「走れ!! 元々目隠し用に造っただけだ あの触手は黒以外の魔蛍を喰らう!!」


「……そんな」


無茶苦茶に襲ってくる中で ただ二人は出口を目指し疾走するしかない




一方トンネルの外では


「やるぞ焔竜!!」


ヒズチが焔竜から飛び降りてルーナイトに標準を定めて剣先を向ける

そしてルーナイトの死角になる焔竜はルーナイトというよりヒズチに向けて口から火を吹いた


「限界火力 突破!!」


その業火はヒズチを包み込み ヒズチはその勢いに乗りルーナイトに突進する


「やめろ! 相手に突っ込むな!!」


ヴァースは大声で呼び止めるがヒズチの勢いももう止まらない

と同時にルーナイトも触手を巧みに操り ヒズチとルーナイトを一直線上に

何層もの触手の壁を作り上げた


「〝輝火神の陽雷針(カグゼツ・シャールセーマ)〟!!」


まさに天より降る流星の如き

その炎を纏った巨大な槍は 触手とルーナイトに物理的感覚を与えぬ間に肉体を貫通させた


「っ……!! ……ざまぁみろ」


魔力を吸い取られるだけでなく黒い触手に少なからず触れた事で

ヒズチの肉体の半分が焼け爛れた


「ぅぅっ……ぁっ……」


ルーナイトの動きが一定時間止まった


「妖雷さん!!」


「……只者じゃぁ ……ねぇな」


妖雷の元へ駆け付けた趙炎はヒズチの着地した方向を見る


「彼は 日の国の侍だそうです」



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