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滅亡へと導かれる国5 復讐者の憎悪


「隊長!! 私達は闘技場に行かなくていいんですか?!」


「あぁ…… 行っても邪魔にしかならない

我らに出来ることそれは…… 逃げ遅れた国民の救助だ 急げ!!」


ヴィーラ率いるガルバークの兵士達は国中の避難を優先して行動していた


「ん?? アレは……」


ヴィーラの視線の先には闘技場を目指すラウル一行が見えた


「君達何をして……」


そのとき記憶が戻っているヴィーラは

ガルバークの悲劇よりずっと前から存在する恐怖が心身を凍らせる


ヴィーラ「サ…… サベル…… さん」


ボルマー「…………」


ラウル「あっ…… ガルバーク帝国の……」


ミルク「サベルって誰?」


ラウル達の足も止まる


「生きて…… いたんですね……」


「隊長……! どうされたんです?!」


「……?」


不可解なヴィーラの様子に疑問を抱くボルマー除く四人だが

その中でラウルだけ 違う方向に何かを感じていた


「これ……」


ラウルの見た物は道端に浮く光る薄黒い球体

それは小さくどこか冷たさが滲み出ている


ボルマー「なんだこりゃぁ?」


マッド「俺も初めてみた……」


ミルク「俺も……」


趙炎「何ですかね…… これは……?」


皆が疑問に思う最中 ラウルは一人の兵士目掛け瞬時に飛んだ


「……?! な…… なんだ君!?」


〝 てめぇ…… 放火魔だな……? 〟


「!!?」


兵士の胸ぐらを掴むなりそう質問した


「どうしたラウル?」


〝 ………… 〟


ミルクの声がまるで聞こえてないのか ラウルはその兵士から目線を逸らさない


ーーラウル…… じゃない


マッドがやっと事の異常事態に気付いた


〝 お前がママを…… 〟


生気を感じない目をしたラウルは 一殴りで兵士を数枚の壁の向こう側へと吹き飛ばした


「!!?」


ラウルは止まることなく次の兵士へと跳ぶ


〝 お前も…… お前もだな…… そこのお前も…… 〟


ラウルは次々と兵士に深手を負わせる

状況を把握していないヴィーラは取り敢えずラウルに剣を突き付けた


「それ以上勝手なことされたら困るんだが?」


〝 ………… 〟


ラウルはヴィーラの顔を見るなり不気味な笑みを見せる


〝 僕だよ…… ヴィーラ兄さん…… 〟


彼の冷たい眼光から ヴィーラは何かを感じ取った


「お前は…… ルーナイト……」


ヴィーラが名前を呟いた瞬間 ラウルは悶え苦しみ出す


〝 …………!! 〟


「今度は何だ!!」


誰もが二転三転する状況に追いつけず ただラウルの行動を見続けるしか出来ない


「ふぅ…… やっと完全に乗っ取れた」


そう呟いた瞬間 ラウルの体内からドス黒いオーラが吹き荒れる


ラウル「この身体は…… ハハ…… 当たりだ!!」


ミルク「思うに…… 意識は完全にラウルでは無いってことだよね?」


ボルマー「どっちだろうと俺は殴れるが?」


趙炎「どうしましょうマッドさん」


マッド「…………」


マッドが俯いて考えていると ラウルの側にいたヴィーラが不意にラウルの胸部に刃を刺した


「……?」


「………貴方様も ……モルガナ様も ……妹も

誰一人守れなかった俺の無力さが今回の事件を招いた

亡きモーガン王やディゴイル王にあの世で謝って済むことではない……」


「それが…… なんだ?」


ラウルを乗っ取ったルーナイトが 剣をゆっくり抜いていく


「……ハハハ!」


ルーナイトは剣を強奪し そのままヴィーラの腹部に突き返した


「ウゥ……!」


ヴィーラの腹から黒ずんだ血が流れ その場に倒れる


「誰かが遠いところに行ったなら 自分から会いに行けばい!!

僕は望む!! 誰もが死なない世界で…… パパとママと永住するんだ!!」


両手を空に振り翳し 完全に正気では無い曇る眼で空を仰ぐ


「ハァ…… ハァ……」


「勿論ヴィーラ兄さんも一緒だよ……

本当のお兄ちゃんみたいにいつも一緒に遊んでくれたからね」


「ハァハァ…… まだ死ねない……」


「?!」


「アビアを…… 置いていく訳にはいかない……」


「……アビアも一緒だよ」


ルーナイトはヴィーラの腹部に刺さっている剣を ゆっくりとねじ込む


「あがぁ!! ぅがぁぁああああああああああ!!」


死ぬ思いをしているヴィーラを優しく抱擁した

 〝愛情〟 今のルーナイトの胸の内にはそんな感情がある

それは行動と相反していて歪み切っていた

ヴィーラを抱擁するルーナイトは

殺人鬼が見せるような笑み 誰もが愛情と思うことは出来ない


「いい加減に目ぇ覚ませ!!」


ラウルの背後からいきなりボルマーが両手で殴りかかる

その威力はラウルの頭を地面にめり込ませた


「……ボルマー」


「過去のことは分かるが…… 今生きてる奴まで殺すとなればただのイカレ野郎だ」


ラウルはピクピクと微かに動いていたが数十秒後 完全に体が停止した


「え~~ 殺したの~~?」


「そんなヤワだったのか…… こいつ」


あまりにも反応を見せないラウルにボルマーは変な汗をかき始める


「でも近付かない方がいいでしょう…… フェイントを仕掛けてくるかも」


趙炎が槍の刃先をラウルに向けると マッドが趙炎の肩を掴む


「いや…… さっきまであった薄気味悪いオーラが今は全く無い

黒い魔蛍では無くラウルの周りに流れてる正常な赤の魔蛍が何よりの証拠だ……」


マッドは異常が無いことを説明するも疑の目は払拭していない


「取り敢えずラウルは縛ってここに置いて行こう また暴れられても面倒だからな……」


マッド達とヴィーラ率いる兵士達はラウルを民家に拘束し 闘技場へと急ぐ



ーーおかしい…… なぜ急に乗り移った者がラウルから離れたんだ……




謎の異空間


「ここは…… また暗い場所に来たな」


ふと目を覚ましたラウルはまたもや暗い場所にいた


「確か…… 黒い光を見つけて……」


ここから先の記憶が思い出せないラウルの視界には 小さな光が見えている


「??」


近付くとそこには 成人男性くらいの扉が現れた


「……なんだ この心の内から潰されてる感じは」


ラウルはその扉を開けようとした

ドアノブに手を付けると 心に切ない憎悪を孕む冷気が沁み渡ってくる


「……」


警戒心を常に高め 恐る恐る入るとそこには


「?!」


ラウルの目の前にいる一人の青年


「確か…… ラウル…… だったよね?」


「お前は?」


「ハハ…… 考えてみれば初めましてだよね?」


「??」


「改めまして 僕はルーナイト」


「……!?」


ラウルは名前を聞くなり反射的に後ろに下がる


「まぁ…… そうなるよね~~」



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