ディアス闘技場FR2 4vs2
「ヴァァァァ…… ァァ」
ヨロヨロでも尚 立ち続けるラウル
近くのギャラリーで念じ続けるメモル
そして何も判らず固まるゼッペル
離れた場所ではオーガ率いる三人+ヴァースとクロズメ&クロサギが睨み合っていた
「じゃあおめぇら! あの二人頼んだぞ!!」
「「「 ?? 」」」
その場にいた四人が驚愕した
「王!! 貴方様が闘いを好まぬとは前代未聞!! 風邪でも引きましたかな?」
「違うわ! その二人ともやり合ってみてぇが……
なんだか知らねーがあっちのガキとやってみたくなってなぁ」
オーガの指差す方には血塗れのラウルがいる それを見た四人は
ガタルゴ「ヌバババ…… 甚振る気ですか?」
チャゴ「……ドS」
ルンウェイ「オーガさんも物好きだな……」
クロズメ「最低だな……」
罵声の雨と共にオーガは笑い返す
「ワハハ!! あれは甘く見ねぇ方がいいぞ!!」
そう言ってオーガはラウルのもとへと無邪気に走り出した
「ハァ…… ヴァース殿…… ここは一先ず互いの敵を倒すということでどうですかな?」
「三対一で勝てる見込みも無いですからねぇ…… 良いでしょう」
手を組む四人に対し 退屈していた二人はようやく戦闘形態に入った
「やっと始まるか……」
「待ち侘びたと言えば本音っすけど
作戦に移らなくていいんすかシフォンさん?」
「その名で呼んでくれんなって ったくこの新人は……
まだお前の先輩の合図出てねぇんだ いいんだよ遊んでれば」
彼は片手を後ろに隠し 黒い魔蛍を手中に集め始める
クロズメ「お前も付き合え! クロサギ!」
クロサギ「へ~~い……」
ヴァース「あっちもやる気だな… こちらも行きますか? 御三方」
ルンウェイ「あぁ!!」
ヴァースとルンウェイが先陣を切る それに応える相手側二人も動き出す
「〝無作為・無責任の悪魔〟!!」
クロズメの手中に集まる黒い魔蛍達が形を変え始めた
しかしヴァースとルンウェイ側の方が一手早い
「天地圧制!!」
「如来心象 降誕!!」
二つに生み出された重力場が 一人に一つ集中し押し潰す
「自分の身は自分で守れよクロサギ!!」
クロズメはクロサギを気にもせず その場から姿を消す
「ヒッド~~!! あなたも先輩なんすから助けてくれたって……」
クロサギがヘラヘラ言ってる間に その身体はミンチの如く潰された
「まずは一人」
ルンウェイがクロサギが潰されたことを確認してるとき
重力場から逃れたクロズメが攻撃に移っていた
「貫通式銃か…… 13位だな……」
何処からともなく出現した銃を構え 狙いを定める
「フゥ……」
呼吸と共に引き金を引いたその銃口からは黒鉄の弾丸
その弾道の示す道はヴァースだった
「……!!」
気付いた時には遅く 弾丸とヴァースとの距離は僅か数センチに達す
しかし弾丸はヴァースの肉体に振れることなく何も無い空気中で止まった
「?!」
「ヌバババ! 私めの魔法を忘れたわけじゃないだろぅ?」
クロズメの背後に立つガタルゴ
しかしクロズメは一寸の歪みも見せない表情
その顔面は霧の様に揺らめき 最後には体全体が黒い煙に変わって姿を消す
ーー分身!?
誰もがそう思った時にはヴァースの背後に殺気が現れた
「!? おいおい…… いつの間に……」
後ろを振り返るヴァースの目には巨大な包丁を振りかぶっていたクロズメが
「〝肩斬包丁〟…… 悪くない8位だな」
「ヴァース!!」
ルンウェイは身体と地面をまるで磁石のように引き寄せ
重力の原理を遥かに超えるような引力で地面に着地した
それと同時に足に踏み込みを入れ ヴァースのいる宙の方へ跳ぼうとしたが
そのルンウェイの頭上には圧死された筈のクロサギが
血だらけのチャゴを片手で首を鷲掴みの状態で立っていた
「身体硬直・暗闇……」
クロサギが呪文らしきものを唱えた瞬間ルンウェイの視界が真っ暗に包まれた
まるで今いた場所から深い谷の底に移動したかのような
ーーなんだこれは…… 幻か?
ルンウェイは辺りを手で追う しかし何もない
「ど…… どうなってるんだ!! ここは闘技場の筈だ!!」
次第に緊張が増幅し 焦りを隠せなくなった
「ハァ…… ハァァ……!! 落ち着け!! 落ち着け!! ……!!」
その冷静を失ったルンウェイを見るガタルゴ
今何が起こっているのか理解出来ない状態
「ぐあぁ……!!」
空中からは背後を取られ 背中を斬られたヴァースが無残にも落ちてきた
「相変わらず醜い呪文だな……」
「武道家は心に悟りを開いていると訊いたけど…… これが人ってもんすよ」
「まぁ 真っ向から化け物四人相手にする訳にはいかねぇしな」
クロズメが空からゆっくりと降りてクロサギと合流した 一人残されたガタルゴは言葉を失う
「確か…… 〝光河の精霊壁〟だよねあの透明な壁
魔法の命令式は素人が簡単に辿り着けない領域 知識量が底知れないっすねぇ
さすがライゴク王国の大臣っす!!」
クロサギがヘラヘラ笑っているのに対し
ガタルゴはオーガの方を見た それはただただ助けを求めたいという目でしかなかった




