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10年前ガルバーク帝国6 国を守る為に


国民の心を完全に掴んだドレイルは一旦王宮へと帰ってきた

これから自分の物となる宮殿内を見渡しながら行く先は会議室


「やぁ! いい芝居を見せてもらったよ」


「まだいたのか…… これ以上いられると契約の範囲外だぞ」


会議室の机に座る一人の男 この事件の手助けをしたルランだった


「わかってるよ…… 金の上で裏切るようなことはしない」


「……それより ちゃんと殺したんだろうな?」


「あぁ契約通りちゃんとモーガンを殺したよん!」


ニコッと不気味に笑うルランに対してドレイルは目を合わせ辛い


「それ以外に用は無い ……金は払った 即刻この国との縁を切って貰う」


ドレイルは底の知れないルランの恐怖に耐えながらもなんとか言い切る


「はいはい…… じゃ~~ね」


ルランは窓へと歩き窓の桟に軽快に飛び乗る


「あぁ~~あとモーガンを消せって意味…… 勘違いしてたみたいでさ~~

国民全体の記憶から存在消しちった!! ついさっき!!!!」


「……!! なんだと……」


「いや~~ まぁごく普通の現象を魔法にした奴なんだけどね……

恨みから来るモーガンを忘れたいと思う感情を著しく早める術式なんだよね

すぐ消せる程じゃないけど…… 魔法学サボっちゃってさ~~」


ヘラヘラ笑うルランに対して

何故かドレイルの顔に凄まじい焦りが見えた


「ん~~?? どした??」


「いや…… なんでも……」


「一年経てばぁ モーガン・ラ・フェリア・ガンルイスなんて名前

君ら新王政を除いてこの国に残る歴史上の大悪人になってるから大丈夫だよん!!」


ーーあの三人を除いて…… ね……


「じゃぁ僕はもう行くから」


まるで鳥のように跳び出し 何事も無かったかのようにルランは消えた




王宮から離れた森 その奥にある隠れた一軒家

そこから少し歩くと木の無い小さな広場が見える 真ん中には石だけで作られた小さな墓が


「ここに居たか」


森を抜けた一人の男が墓の正面に座る男に声を掛ける


「ケルト…… あまり話さなかったのにあの事件んときの会話だけでよぉ

今さら親父の大切さが分かった気がするよ」


「……国を出るのか? サベル」


「あぁ……」


ゆっくりと起き上がり モーガンの墓を見つめながらサベルは言った


「この国には俺のように人生を諦め 悪に染まろうとしてる奴らがまだごまんといる筈だ」


「サベル……? 何を……」


「親父は欲を出し過ぎて 国を含めて世界を変えようしていた

ドレイルは国だけを全力で守ろうとしている…… それなら俺は……」


サベルはモーガンの眠る墓に背を向け ケルトの来た方向へと歩き出した


「俺は…… 国民を守る それが昔からウンザリして聴いていた親父の切実な思想だった」


「サベル……」


ケルトを通り過ぎたところで一旦止まり 彼の方へと体を向けて


「その為にも今の俺を変える必要がある 無くなった右腕もなんとかしなければな……」


「モルガナ様はどうするつもりだ!?」


「アンタに任せる まだ俺には……

人を守る力は無いから大人になるまで生きる術を教えてやってくれ」


「…………」


「町を見てきた…… どうなってやがる……」


「私も異変に気付いた

まるで時間が何年も経った気分だ…… 数日だけであんなに人々が立ち直れるのか?

死者を悔やむ者どころか事件に遭った国とは思えない」


「ルランだろうな…… 魔法っていうのはまるで神の業だな

この分だとヴィーラやアビアもアンタの事を忘れてるだろうな」


ボルマーの発言にハハハと虚しく笑うケルト


「今出て行っても迷惑をかける…… 今はモルガナ様をお守りしよう」


「ありがとう 親父に代わって礼を言う」


深くお辞儀をした後 サベルは海に向かって歩き出す

潮風が漂う西海岸に停めてあるボートにぎこちなく乗り込むと


「サベル!!」


森からケルトが慌てた顔で出て来た


「いや次期国王よ!! 必ず…… 必ず!!!! うぅ……」


ケルトの目から涙が頬を伝う それを見たサベルは


「ケルト!! 俺は…… 俺の旅の目標は今の自分を捨ててこの国民(くに)を守れる男になること!!

親父の仇であるルランを負かすくらい強くなってそして…… 生まれた国に帰ってくる!!」


「……あぁわかった 約束したぞサベル!!」


「……その名も捨てる」


サベルはボートと岩を繋ぐロープを切り 波任せに揺られながら進み出す


「俺がこの国に帰ってくる時はもう俺じゃない」


「……」


そう言い残してサベルは旅に出る

その目的は多々ありながらも一言にまとめれば自分を変える為

それを目的とし 放旅者(ほうりょしゃ)となった


ケルトは必ず約束を守ってくれるだろうという生き生きとした眼差しで

水平線の奥まで振り翳す手が見えるように見届けていた



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