10年前ガルバーク帝国2 次世代への困難と先進への覚悟
ガルバーク宮殿から北にある町のとある酒場
「わっはっはっはっは!! 今日もすまねぇなぁサベル!! お陰様で大儲けだぜ!!」
「ホント全戦ほぼ無敗の王子!! 今日も祝してカンパーーイ!!」
真ん中の机を囲んで祝杯を挙げる男達
その男達が注目するカウンターで飲む一人の男
「うるせぇ…… 別にてめぇらに協力した覚えはねぇよ」
愛想悪く酒を飲み 代金を置くとその酒場を後にする
「相変わらず無愛想だね~~ あいつは」
「せっかく勝ったんだんから パァっとやれば良いのに……」
「無い無い! あいつに限ってそれは無い!
闘技場出てる理由も家庭の不満かららしいしな……」
「まぁ…… あの出来の良い兄の前じゃあな~ 次期国王も多分ユサン王子だろうし」
男達が笑い合ってると 突然目の前の奴らが次々と床板に顔をめり込んでいった
「あ……! おいサベル…… お前酒場出てった筈じゃ!?」
「……あぁ? んなことどうでもいいだろうよ…… てか何つった今?」
「あっ……! えと…… 悪かったよ!! 謝るからさぁ……!!」
サベルは焦る男の頭を掴んで軽々と持ち上げる
「カッ……! ア…… ヤメ…… 止めて……!!」
そのまま床に顔を押し付けた 周りの客は見て見ぬフリをする
その客一人一人の額はサベルが店を出るまで汗が噴き出ていた
ーークソッ!!
サベルは道の真ん中を不機嫌に歩き 目に映る巨大な宮殿へと帰って行く
「おっ…… おかえりなさいませ! サベル様!」
使いのお出迎えは無視で一人寂しく部屋に戻る途中 十字の廊下で一人の男とバッタリ出会う
「サベル…… 戻っていたのか」
「……」
サベルはまたも無視してその場を通り抜けようとしたが その老人に足を止められる
「待て 誰よりも真面目だったお主が何故その道に走ったかは私でも解らぬ……
しかし親として身捨てる訳にはいかんのう」
「親として…… だと?」
次の瞬間
サベルは横の壁を思いっきり殴り 大きな穴を開けた
「アンタは親としてじゃねぇ! 一国の王として俺じゃなく兄貴を選んだんだろうが!!」
「……」
サベルは舌打ちをモーガンに飛ばし 右手から血を流しながら自分の部屋に閉じ籠もってしまった
「ハァ……」
「王よ!! ご無事ですか?!!」
「ケルトか…… 私は大丈夫だ」
「これは……!! またサベル様ですか?!」
壁の穴を見るなり ケルトはすぐ様サベルの名前を出すが
「大したことでは無い…… 心配するな」
「壁に大穴開く事が大したこと無いで済む訳ないでしょう……
最近は城にいることも少なく 名物と言えど闘技場にまで顔を出しているって話じゃないですか?!」
ケルトはオロオロしながら頭を抱えていた
「それよりも会議の準備は出来たのか?」
「はい…… こちらです」
サベルのことは一旦忘れて会議室へと向かうモーガン
扉を開くと近隣小国の王達が顔を揃えていた
「さて…… お忙しいところお集まり頂いてまずは感謝しよう」
王は頭を軽く下げ 椅子に腰を下ろした
「それで独立国家の話はどうなりましたかな?」
隣に座る王がいきなり先日の話題を振る
「それに関しては…… 今日結論を出すつもりだ」
二人の会話に他国の王が介入する
「私の反対は変わらんぞモーガン王!!
七大国に隠れて内密に集ったこの集会だからと言って
そんな行為をすれば我らの国全域は敵と見做されるのは分かるじゃろう?」
「私も乗れませんなぁ……
いくら未知の文化や技術を知ることが未来の発展だからと言っても
七大国を差し置いて独占が成功しても万が一バレれば それこそ水の泡……」
二人の王に反対されたモーガンは黙っている王に問い出した
「ディゴイル王はどう思われますか?」
「……確かに未知の発展を目指すのも悪くない
だが今の時代に強大な大国に背く行為は そこの王の言う通り無謀な行為と判断致しますが?」
「結局はどっちなんだ」
「私の考えはこうです
率直に言ってこの小国内同士で決めていても無駄なら
七大国の一つでもこちらの味方にするべきではないのか?」
「……!!」
ディゴイルの一言で他の王達は返す言葉が無かった
「どんな行動に出ようと七大国という言葉で否決となるのなら
まず七大国という力を手中に収めるべきではないかと…… そう思わないか? モーガン王」
「……」
ディゴイルの言葉で モーガンの表情に笑みが生まれる
「ディゴイル王の言う通りだ まずは七大国をこっち側に置く必要がある」
「しかし…… ワシらに耳を貸すかどうか……」
「それなら問題ない!!」
モーガンはどや顔で立ち上がる
「実は話を聞いてくれる国があった 私が思うにこの国こそが最も信用に足る
そして世界の未来を的確に見極める何かを持っていると断言する」
「その大国とは一体……」
「【スレイシャガル国】だ」
モーガンの一声に全員が黙った
その沈黙の中で口を開いたのはディゴイル
「私としても悪くは無い 実質一番信用があるからな…… ここの領界よりも」
ディゴイルは笑顔でモーガンに返した
「今日結論を出すと言ったが
それはスレイシャガルとの会談の許可を得たというだけの事だ
しかし確実な一歩 私の思想に近付いているということを皆に感じて欲しい」
「まさか…… いつの間にそんな……」
微かな不安が漂う中 ディゴイルだけはゆっくりと拍手を送った
会議が終わり
「モーガン王!!」
「おぉ! 今日は…… いや今日も助太刀感謝するディゴイル王」
モーガンは呼び止めたディゴイルに感謝を述べる
「良い結果を待ってるぞ!!」
モーガンはこの移り変わる時代の中で
ディゴイルという存在は 周りの国でも数少ない信頼を持てる人物
それ故にこの言葉が何よりも励みとなった
「……あぁ必ず!!」




