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ディアス闘技場Dブロック3 黒魔法


サル寅が戦闘不能になり

地面に倒れた場所から少し離れた場所ではもう一つの決着がつこうとしていた


「ハァ…… 腕を挙げたな~~ ゴルクゥ……」


両腕を切断され 片膝を地面につけながら荒い息をしているスランダム

目の前には長い太刀を片手で持つ選手が一人 もはや勝ち目の無い相手を見下している


「お前の犯した事は許されることじゃない…… ここでお前の寿命を摘む……」


ゴルクレットは長い太刀を軽々と振り上げて 両腕の無いスランダムに躊躇無く振り下ろした


「…………ヒヒ……」


スランダムの不気味な笑い声でゴルクの太刀筋に迷いが生まれた

警戒すると共に視野を広くすると 何も無い右肩の切断面からドス黒い手の様なモノが


「?! なんだ?」


ゴルクレットも得体の知れないモノから離れて距離を取る


「ハハ…… アハハハ!! ……オェェ さすがに扱いにくいな……」


左の肩からも同じような黒い手が生え

周りの選手も何が何やら解らない姿へと変貌した


「これは…… まさか……」


「ハハ…… さすがにここまでに成れば解るだろ?!

()()()()だ 模創型(レプリカ)だがな」


「レプリカだと……?!」


「さす…… がにキツいぜぇ~~ これぁ~~よぉ」


既にスランダムの目は白目を向いており

足もフラフラで唯一生気を感じるのは 黒く染まる物体の両手のみだ


「ヒィィ!! こんなのと戦えるか!! 気味悪ぃ……」


「こんな選手が出てるなんて知らねぇぞ!!」


近くの観客席でもざわつき始める


「スランダムっていや…… 今は無いアレス王国に仕えていた大槍の名手じゃなかったか?」


「結構デカイ魚捕まえるのが趣味で漁もしてたって…… でも裏切ったんだよな確か」


「でもアレなんかヤバくね? 肩から変な黒いもの出てるし…… 魔法なの?」


不安の声が大きくなる中 その空気を引き裂くかのようにスランダムが動いた


「……え? ……ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


いきなり近くの選手の断末魔と共に次々と悲鳴が鳴り響き始めた


「あぁぁぁ!! どうなってんだ……?」


「熱っ!! アッ…… お…… 俺の腕?!」


黒い二本の手は次々と辺りの選手の手・足・首・胴体

選手達の本来ある身体のパーツを次々に斬り崩して行った


「ク…… クソ!!」


一人の選手がスランダムの出す触手に顧みず一気に突っ込んでいく


「どうせ黒魔術だろ? 触っただけで害をもたらすような未知の魔法だ 

下手に魔法を使うより本体を狙ったほうが良い!!」


選手はスランダム本体に近付き 一気に距離を詰めて剣を振るう


「……ヒャハ…… ハ……」


スランダムは襲ってきた選手を嘲笑うかのように 崩れる顔には余裕が見れた

あと一寸で当たる選手の刃先はその表情を見た途端

微かではあるが恐怖故に振り落とす剣の速度が落ちてしまったのだ

それが敗因かは後に知る由も無いが 選手にとってスランダムの

不気味な笑顔が人生最後の景色となる


一瞬の黒い腕がスランダムの視界を遮った

それがどういう意味かは誰もが察しがつく 目の前にいた選手の身体は跡形も無く消え去るが

そのスランダムがしでかした隙を彼は見逃さない


ーー自分で視界を塞ぐとは軽率な男になったもんだ いや既に意識は薄いか


背後に現れたのはゴルクレットだった

既に準備は完了しており 0.5秒で振り斬れる状況に至る


「終わりだ…… 裏切り者」


ほんの一振りでスランダムの首筋に一線が走った かのように見えた

首に刃は届いておらず刃が当たっていたのは黒い触手だった


ーー!!? まさか…… この黒い物体自身にも別の意思が


ゴルクレットは一瞬の間考え事をしてしまった その一瞬が彼の右腕の最後となる

 

「ウッ…!!」


地に足を着けた時 ゴルクの右腕は目の前の地面に転がっていた


「チッ……」


ゴルクレットは距離を取り 紐かなんかで切断した腕の止血に掛かる


ーー油断した…… 不利になったな


表情には出さないが 顔に似合わない程の絶望を感じていた

その絶望を感じさせる暇を与えない黒い手に ゴルクレットは成す術が無かった


破音(はおん)!!」


突如上空から黒い手より少し薄い色をした風の様な波動がスランダムに直撃する


ーー……何が起きた?


自分にも吹いてくる突風を腕で覆うゴルクレットは 突然の出来事に頭の整理が追いつかない


「アンタがゴルクレットさん?」


「……お前は?」


「ちょっと待っててね 今アレ消してくるから」


謎の少年は醜い姿と成り果てているスランダムを指差すと

目では追えないほどの速さでその場から奴の下へダッシュした


竜爪・三節玄(りゅうづめ・さんせつげん)


少年は両手の中の指三本を合わせて さらに青い炎を手に発火させた


「…………」


スランダムの顔は少年を見ているものの意識は無く 黒い手が目の代わりをしているように見える


「死ねよ」


少年は鋭利と化した手刀を構えて一気に敵の首を捕らえた

しかし黒い手は見逃さず少年目掛けて襲いかかる

完全に捕えたと思えた少年の姿は 自分の真下にいた


「己の意思が無い抜け殻か…… 醜いな」


少年は鋭利な右手を敵の腹部に突き刺し一気に上まで押し上げた


「…………」


スランダムの上半身は綺麗に三つに裂けて中に詰まっていたかのような黒い塊が上空に吹き出す


「ふぅ…… 危な~~~」


少年が首を鳴らしていると少年を知る選手が駆けつけてきた


「ミルク!! 大変だ!!」


「ん~? お前は確か…… ちょうせん?」


「趙炎だ!! そんな場合じゃない…… ラウルが」


「?」


趙炎の尋常じゃない動揺にミルクは戸惑っていたが二人の前にもう一人の選手が近寄ってきた


「ラウルがどうかしたのか?」


「貴方は?」


「ゴルクレットだ…… 一応敵だがこの状態だ もう優勝は無理だな」


そう言って笑いながら落ちた右腕を見せた


「ラウルが…… 巨人に」


趙炎は二人の真後ろに指差した

差した方向には人とは全く次元が違う約二十メートルの化け物の影が目の前の観客席を覆っていた



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