ディアス闘技場Dブロック1 二体の怪物
「しゃぁ行くぞぉ!!」
ラウルは叫びながら気合いを入れて双剣を構える
「そんなにいきり立つと後が持たないよ?」
ラウルの隣に立つ同い年に近い選手が 両腕を上イッパイに伸ばして欠伸しながら近づいてくる
「…!!?」
ラウルはいつから居たのかと疑い 急に出てきた選手に対して剣先を向けて警戒する
「ちょっ! ちょっと~~! 別に殺気とか全然放ってないでしょ!?
いきなり警戒しないでくれるぅ?」
敵意が無いと示すように両手で横に振る動作をラウルに見せ 不意に右手をラウルに差し出した
「俺はミルク 家は暗殺家業で殺し屋の端くれさ」
「今は大会中だ…… 手を組む話なら始まる前に言いに来るんだったな」
ラウルはミルクに向けていた剣先をさらにミルクの首まで近づける
「……なかなか警戒を解いてくれないね 無理もないけど」
ミルクは両手をポケットに仕舞い ラウルの目をじっと見ていた
そんな二人の頭上から巨大な斧が降ってくる
「「 !!? 」」
二人は瞬時にその場から離れて距離を取る
「ハハッハ!! ガキが大会に出てると噂があったが
まさかDブロックに二人もいるとはなぁ……!!」
「……でけぇ」
ミルクはポケットに両手を入れたまま構える
「よくもそんなデカイ斧が持てるな……」
ラウルも双剣を構え 斧を投げた選手に視線を変えた
「俺はスランダム・ムーメン!!
数々の国の壊滅の手助けてきた戦争屋だぁ!!
さぁ潰していくかぁ? グランダルさんよう!」
スランダムの背後に続くもう一人の巨漢な男
しかし その背の高さは徐々に低くなっていく
「……?! どうした!? おい!」
スランダムの視線は地面を指し
その先は腰から首まで深い刀傷が彫られて倒れているグランダルが
「俺を…… 覚えてるか……? クズ野郎……」
大きめの太刀を染める血を一振りで掃い
スランダムにこれ以上無い殺意の目で立ちはだかる
「おおぉゴルク…… ハハハ 久しぶりだなぁ!」
スランダムが近づくと 躊躇無くゴルクレットの太刀が振り下ろされた
「おっっとぉ…… 危ねぇ……」
「国を裏切った分際でよくもそんな顔が出来るなぁスランダム!!!
敵国からいくら貰った!? ゼルの恩義より良い額を貰えたのかぁ あぁ!!?」
「おいおい…… お前もっとクールだったろうが…… どうしたんだよ?」
ニヤニヤと笑うスランダムに対しゴルクレットは問答無用で斬りかかる
その音は相手の肉に当たる音では無かった
ゴルクレットの身長に近い長さを誇る太刀を受け止めるスランダムの両腕が
ニヤリと笑う白い歯を見た彼は 本能で危険を察知する
「俺の纏蛍がお前の太刀を通すことは今まで無かったよな~?
懐かしい思い出だねぇ~~ゴルクレット~~!!」
そう言い張るスランダムの両腕はほぼ全身が黒く変色し 肌本来の色合いがまるで残っていない
「やっぱこれ無しではいられねぇな~~ 黒い魔蛍は世界一だぜぇ~~」
「闇に堕ちたな スランダム」
スランダムとゴルクレットととの闘いを 距離を置いて見ていたラウル達
そこに槍を持った選手が血相変えて走ってきた
「ラウル! 手を貸してくれ!!」
「ん? 趙炎?」
趙炎はラウルのところに着くなりすぐさまラウルに背を向ける
「最後の一人になる前に まず倒さなければならない化け物が二体いる」
「化け物?」
ラウルの隣にいたミルクが尋ねた
「ん!? こいつは誰だ?」
「あぁ…… 一先ず敵じゃ無いらしい…… それよりその二体の化け物って?」
三人が話し合っていると
大きく分けて二か所から数多くの悲鳴と猛獣らしき叫び声が聴こえてくる
『さぁ!! Dブロックも盛り上がってきました~~!!!!
注目はお察しの通り 目立つ二体のモンスター!!
まずは!! 神の生まれ変わりと言われる人並み外れた身長!!
いつからか人はこいつらを巨神と崇め始めたぁ?! 巨人族の一人!!
〝戦弾巨兵〟ダンガ~~バレッツ~~!!!』
ディッツは興奮のあまり 観客の歓声を無視するかのように解説を続ける
『そしてぇ!! 巨人に負けじと猛威を振るう闘技場の盛り上げ屋!! サル寅ぁぁぁぁ!!!』
一般の選手とはまるで別種の姿と動きをするまさに猛獣〝サル寅〟
その長く太い体毛を纏った腕で周囲の敵を一掃する
「ウホッホッ!!」
そのサルの様な顔は まるで玩具で遊ぶ子供の屈託ない笑顔で満ちている
また別の場所では身長五メートル以上あるサル寅のさらに倍
巨人のダンガーがゴミを見る目で選手を次々とダウンさせて進む
「人種が違うだぁ? 神の子だぁ? 冗談じゃねぇ……
なんなら成ってやろうか!? 景品手に入れてよぉ!!」
「ヒィ!! なんなんだあいつ!!」
「怒りながら闘ってるぞ!! 滅茶苦茶だ!!」
暴れ狂うダンガーの攻撃は受ければ死
躱せられるのなら奇跡と言わんばかりに周りの選手達は死に物狂いで逃げ惑う
そんな中 サル寅に近づく一人の選手
「おい!! 何してる?!」
「俺は腕試しって言う目的で旅に出た
その目的を果たす為の最初の一人…… いや一匹には丁度良い相手だ!!」
その選手は双剣の内一本の持ち方を逆に持ち替え 刃が腕に反るように構える
「あいつは俺一人でやるぞ…… 趙炎!!」
「っ……!!!?」




